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「可愛い女の子から回復魔法をかけられたい!」と思い味方をかばいまくっていたら、過保護パーティーができた  作者: 猫野 ジム


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第27話 なぜか元気な美少女(一人だけが)

 合同探索が終わった翌日。俺達はいつものようにテーブルを囲んで、ミヤが作った朝食をとっている。


 ハムエッグにパン。そして柑橘系のフルーツ。日本だと平日の朝なんて慌ただしいだけで、ゆっくり食事する時間なんて無かった。


 転生前は、学校がある日の朝は食パン一枚でいいから食べる時間を減らして、その分を寝る時間に回したいと思っていた。それほど朝の五分は貴重なのだ。


「リクト、合同探索も終わったことだし、そろそろ休みにしてみるのはどうだろう?」


 カリンカさんが、口に含んだパンをきちんと飲み込んでから聞いてきた。


「俺が決めるんですか? パーティーリーダーはカリンカさんだと思ってるんですけど」


「私もそう思ってました」


「私もー。だってカリンカさんAランクだし、なんでも知ってるし、優しいし、美人だし、胸大きいし」


「私が? 私はリクトがリーダーだと思っていたんだけどね。あとミヤは変なことを言わないように」


「えぇー、一緒にお風呂入った時、私見たんですからね!」


 なぜか不満げなミヤ。それにしてもいつの間に一緒に風呂入ってたんだ? 


「俺はリーダーなんてガラじゃないですよ。それよりも休みですか。そういえば最近は全然とってなかったですね」


 確かにパーティーを結成してから、休みらしい休みをとった覚えがあまりない。多分だけど自由度が高い生活をしているからなのだろう。


「カリンカさんが前のパーティーにいた時はどうしてたんですか?」


「あの時はもう何年も一緒にいた二人がメンバーだったからね。その時の気分で決めていたよ。だから朝になって、その日は休日にすることもあったよ。あとはメンバーの誰かに用事があった時とかかな。彼氏に会いに行ってたとかね……」


 どことなく哀愁を感じた俺はパンをジュースで流し込んだあと、「なるほど」とあいづちを打った。


「でも俺は休みなしでも平気なんですけどね。疲れたらここに帰ればいいだけなんだし。それに少しでも早くカリンカさんに追い付きたいんです」


「その心意気は大切だけど、休むことも冒険者には必要だよ」


「そうですよ! リクトさんはもっとゆっくりすることを覚えるべきです!」


「私もカリンカさんとエミルに賛成かな。それにちょうど準備をしようと……、あっ、やばっ! そうじゃなくて! 冒険者としての準備のことだから」


 ミヤが言ってることだけよく分からんけど、三対一ということか。


「分かりました。それなら明日は休みにしましょう」


「うん、それがいい」


 というわけで、明日は休みになることが決まった。明日は日本でいうところの平日だから、どこに行くにしても人は少なめだろう。


 そう決まったところで、今日はひとまずギルドの依頼を受け報酬を得た。



 そして次の日。てっきりパーティーメンバー全員でどこかに出かけるのかと思ってたけど、どうやらそうではないみたいだ。

 もしこれで女性だけでどこかに行ってたら俺、泣いてしまう。


 さてどうしたもんかなと思ったけど、俺も一応気になってることがあるので、ある場所に行くことにした。


 家を出てガリアーノの街を歩く。大きな防壁に囲まれているこの街はかなりの大都市で、その辺を歩くだけで何かしらの店があるほど。


 レストランに雑貨屋、酒場に薬屋。そんな数ある店のなかでも異世界ならではといえば、武器防具屋だろう。

 日本基準で考えると実にヤバい店だが、今から俺はそこに行くつもりなんだ。


 この世界の看板には絵が描かれているため、ぱっと見で何の店か分かるのは素晴らしい。


 俺は盾の絵が描かれた看板の店に入った。店内の壁には様々な形や大きさの盾が飾られており、店内にはまるでマネキンのように全身鎧が置かれていたりする。


 入ったのは防具屋。あの合同探索で思ったんだ、装備が貧弱だから周りに驚かれるのだと。

 俺だって一応は、周りの人達に変に思わせないようにしたいと思ってるんだ。


 そういえば防具は一度も買ったことがなかった。剣は刃こぼれするので買い替えることがあったけど、防具は女神様からもらった冒険者スターターセットである、ライトアーマーを未だに使っている。なんて物持ちがいいのだろう。


 装備が貧弱なのにノーダメージは不自然。装備が強いからノーダメージは自然。

 というわけでカウンターにいる人に聞いてみよう。


 カウンターにいるのは40代くらいのスキンヘッドの男。背が高く筋骨隆々で、どちらかといえば武器屋とかギルドマスターが似合いそう。


「よう兄ちゃん、何を探してるんだ?」


「鎧を探してまして。何か強そうに見えるものはありますか?」


「強そうに見えるって、変なこと聞くんだな」


 俺にとって鎧の防御力は二の次で、大事なのは鎧の見た目。要は強そうに見えればいい。


(いや、待てよ?)


 装備が強かったら強かったで、今度はダメージを負うのが不自然になるのか……? そうなると、そのほうがダメージ調整を使いづらくなる?


(考えれば考えるほど分からん……!)


「えっと、動くのに邪魔にならない程度の、これと同じようなライトアーマーありますか?」


「それと同じようなのだったら、兄ちゃんが身に付けてるものよりワンランク上のものがあるぞ」


 そう言われ紹介されたのは、店内に飾ってあるライトアーマーだった。

 

「同じに見えますね」


「まあな。ライトアーマーってのはどれも見た目はあまり変わらん。だが使われてる素材が違ったりするから、これでけっこう性能が上がってたりするんだぞ」


「そうなんですか、知りませんでした」


「で、どうする? 買うか?」


 俺は財布と相談した。例の()ったい巾着袋の中には、これを買えるだけのお金が入っている。


「そうですね、買います」


 というわけで俺は鎧を新調した。家に帰った俺は、女神様からもらった物を自室で大切に保管することにした。

 せっかくくれた物だし、それなりに思い入れがあるのでやっぱり捨てることはできない。まぁ汚部屋にならないように気をつけよう。



 夜になり、休みが終わろうとしている。


 全員が家に帰ってきて、今はリビングでミヤが料理を運んで来てくれている。

 テーブルに置かれたのは大皿に盛り付けられた大量の鶏唐揚げ。見た感じパリッとしていそうでとても美味そうだ。そしてそれぞれにサラダ。


「あとはこれね! はい、カリンカさんどうぞ!」


 ミヤがカリンカさんの前に置いたのはコンソメスープ。


 この世界の料理は厳密に言うとどれも日本のものとは違うんだけど、味や見た目は日本のものと同じだったりするので、料理については日本のものに置き換えて考えている。


「ありがとう。やっぱりミヤの料理はどれも美味しそうだね」


「ありがとうございます。はい、これはエミルの分ね」


「わぁー! いい匂いです」


「で、これがリクトの分ね」


「美味そうだな」


「でしょー? だから残さず飲んでね?」


「あ、ああ……。俺が今までミヤの料理を残したことあったっけ?」


「ううん、一回もないよ! ホントいつもキレイに食べてくれるよね! 私、それもすっごく嬉しくて!」


(なんかミヤ、やけに上機嫌だな?)


 それからはいつものように美味い料理を堪能して、美少女達との触れ合いの時間を過ごした後、それぞれの個室へ。


 部屋に入ると、なぜかベッドに引き寄せられる感覚がした。なんだか今日はいつもより眠い。


 今日は防具屋以外にも一人でけっこう街を散策したからな。歩き疲れてるのかも。


(早くベッドへ……)


 そして意識が途切れた。



【翌日、朝のリビングにて(三人称)】


 朝になり、リビングにはリクト以外の三人が座っている。昨日のうちに話し合い、今日はEランクの中で最高難易度のダンジョンに行こうと決めてあるのだ。

 なのでいつも受けている依頼よりは数段ほど危険であろうことは予想できる。


「リクトさん、遅いですね」


「そうだね、誰よりも早く起きていることだってあるのにね」


 エミルとカリンカは何気ない様子で言葉を交わした。まだそこまで深刻そうな素ぶりは見られない。


 一時間が経った。ところがリクトはまだ姿を見せない。


「ねえエミル、リクトから何か聞いていないかな? 例えば今日はゆっくり眠りたいから起こさないでとか」


「いえ、私は何も聞いていません」


「そう。ミヤは何か知らない?」


「ごめんなさい、私も分かんないですー」


「そうか。まあこういう日だってあるだろうさ。もう少し寝かせてあげようか」


「あの、カリンカさん?」


「ミヤ、何かな?」


「このまま昼になってもリクトが起きてこないようなら、今日の冒険者活動は中止にしませんか?」


「うーん、そうだね。確かにあのダンジョンは探索に時間がかかる。だから昼から行くというのは遅いね」


「それならっ!?」


「うん、ミヤが言う通り昼までリクトが起きてこないようなら中止にしようか」


「そうしましょうー!」


 他の二人と違い、ミヤはなぜか元気だった。

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