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ツクモダン  作者: SF42
前編
8/18

クロノスタシス

【ツクモダン】




咲卦穂は右腕の槍をスタシークに向ける。



「…君のターン?」



「そう。私はもう研究したんだ。

お前と同じように。私も相手を観察した。」



「へぇ…攻撃を当てられてすらいないのに。

よくも研究したと言えるものだよ。」



咲卦穂は左槍でスタシークを斬りつけようと試みる。


やはりスタシークは瞬間移動のように避ける。



「時間操作してんだろ。瞬間移動なんかじゃない。

私の時間を遅くするか、お前自身の時間を早くしているのか。」



「おぉ。ま、ちょっと考えればわかることだよね。でもそれがわかったところでどうするって言うんだい。」



咲卦穂は右ストレートのような動作で

スタシークを攻撃する。



が、避けられる。



「ッヒヒ…」




ザグッッ!!!!




「……え⁈」



スタシークは驚いて大きくバランスを崩す。




「てりゃぁぁぁぁ!!!」




ここぞと言わんばかりに咲卦穂は連続攻撃を仕掛ける。



当たる。当たる。


しかもそれらは硬いスタシークの体をしっかり突き破っている。



「…なんで…」



スタシークは巨大な時計を出して、盾のようにして咲卦穂の攻撃をガードした。



「教えねぇよ!!」



咲卦穂は蹴りを仕掛ける。


スタシークは再度時間操作で回避した。




ザグッッ!!




「はぁ⁈」




攻撃を避けたのにも関わらず、

なぜか槍で突かれる。




さらに咲卦穂の攻撃が来る。



スタシークは今度は避けることはせず、

巨大な時計の盾で防いだ。




ザグッッ!!




「は?え?」




スタシークは何故槍で突かれるのか全く理解できていない。




「なに?何故?どうして僕に攻撃が当たるんだ!」




スタシークは剣を出した。




「…ならノーガードだ!」




「宣言ありがと。」




スタシークは時間操作で超加速をした剣術で

咲卦穂を斬る。



咲卦穂はウニ頭と両腕の槍、体から追加で槍を生やすことで防御する。




ザグッッ!!




「…何故…何故なんだい…」


スタシークは驚いて少し硬直した。




咲卦穂は動きが一瞬止まったスタシークのことを見逃さなかった。




頭突きをして大量の槍を突き刺したのち、

両手の槍でラッシュを仕掛けた。




手を引っ込める際に一度槍を引っ込めて

再度生やすことで疑似的に腕が4本あるかのような攻撃が可能となった。



スタシークは避ける暇もなく何度も槍で突き刺された。



咲卦穂はスタシークの手足を切断し、自由を奪ってから自分の席に戻った。

咲卦穂はウニ頭を引っ込める。




咲卦穂は仮にも現在試験中なのだ。




スタシークが手足を再生しようとするが、咲卦穂は再度切断して邪魔をする。


「…何故僕の回避が通用しなかった?」


「教えてあげようか。

お前が私の突きを避けた瞬間にその腕から

別の方向に槍を生やしたんだよ。」



例えば咲卦穂が右手で殴る。

それをスタシークは左側に避けたとする。

回避されたその直後、咲卦穂は伸ばした右腕のどこかから槍を高速で生やしてノーモーションの突きを回避の後の隙に差し込むことができたのだ。



「じゃあ…ガードした時は何故?」



「私は人間。そして、神鎮師志望だよ?」



ガードされた瞬間、スタシークの意識は咲卦穂に集中している。

その間に、背後に黒い槍…神鎮師風に言うなら『仮陰槍』を作り出したのだ。

それで背後から突けばこれまたスタシークからすればノーモーションの予想だにしない方向からの突きということになる。



「…大したもんだよ。」



「最後の言葉はそれでいい?」



「…俺は“ある人”に作られたツクモなんだ。

その人は君のことを殺したがってる。

僕が君を知ってたのは、その人に教えてもらったからだよ。

これからも僕のような君を狙うツクモがたくさん現れるだろうね…」



「…情報ありがと。」





グチャッ。























「試験終了。」



解答用紙が回収される。



「試験結果は3日後に連絡します。

お疲れさまでした。」



終わった〜!!









「天野!どうだった?」


「んー…ボチボチかな。」



正直試験よりも新たな戦法を編み出せたことが1番の収穫な気がしている。


いや、試験の方が大切。



「じゃ、3日後、結果教えろよな!」


「うん。寿司の約束忘れないでね。」


「わかった。…ちなみに神鎮隊には入る…

ってことでいいんだっけ?」


「受かったらね。」


「受かったら俺の先輩紹介するよ。

多分同じとこで働くことになるからさ。」


「へぇ…あんまり仲良くなる自信ないな。」


咲卦穂は新しい出会いは嫌いだ。


「ま、いい人たちだからさ。大丈夫だよ。」


























3日後



咲卦穂は自宅のパソコンの前で合格発表を待つ。


心臓はバックバク。


「咲卦穂パイセンなら大丈夫っすよ。

俺はパイセンの努力知ってるんで。」



咲卦穂の背後には釘たちがいた。


「…なんか全員集合久しぶりだね…」


「咲卦穂様の人生の大きな転換点。

見逃す訳にはいかないですから。」


エゾが言う。


「私、サカちゃんの幸せ、望んでる。」


ラッパが言う。

ラッパはややヤンキーのような感じがするが、今のところおとなしい。


「咲卦穂さんが受かったらパァ〜っとやりゃしょうよ!」


フクロが言う。

フクロはかなり世紀末な雰囲気を醸し出している。

出てきた時はうるさいが、その時以外は害がないので咲卦穂は放っておいている。


そして後1人いる。

咲卦穂がウニ頭になった時とよく似ている、

頭に長い釘がたくさん生えている奴だ。

名はガンガゼ。




「あ!パイセン!時間っす!」


「え⁈そうじゃん!ちょっと釘たちがうるさいから…」


「俺たちのせいにしないでください。」



咲卦穂は急いでサイトを開く。



“サーバに接続できません。”



「…混み合ってますね…」


「もー…釘…」


「俺たちのせいにしないでください。」


「釘が変な電波集めてるんだよ。」


「…」





“天野咲卦穂様の結果”



「あっ、出た。」


「運命の瞬間っすね。」



“合格”



咲卦穂はほっとした。


「はぁー…よかった…」


「ま、パイセンなら当然っすよね!」


「やった!寿司だ!」


咲卦穂はベッドに飛び込む。


「寿司!寿司!やったぜ!」


アカは飛び上がる。


「アカは食べられないよ。」


「え…そうだった…俺ツクモだったわ…

いつか回転寿司食いたいっす…

外食したいっすよぉぉ!!」


「…ごめんね。いつか行こう。

でも今回は私だけ。ヘヘッ…」


「ヘヘッってなんすか。煽ってんすか⁈

いくら咲卦穂パイセンでもそれはムカつきますよ!」


「ごめんごめん。」











翌日



「合格おめでとう!」


「寿司!寿司!やったぁぁ!!」


「…お前そんなキャピキャピしたキャラだったか?」


「…んで、入隊するんだったね。

どうすればいいの?」


「はい。」


梶田は紙を咲卦穂に差し出す。


「入隊志願書。ちゃんと保護者の方のサインも頂いてね。」


「わかった。

ねね、寿司、いつ行く?今日?今日?

もしかして…今日とか?」


「…今日行きたいんだな。わかった。

というかそのつもりだった。」


「イェイ!うーれしー!!」


「あー…先輩が来たがってるんだよね…」


「……」


咲卦穂は露骨に嫌そうな顔をする。


「嫌なら断るけど…?」


「うー…いいよ。寿司食べれるならそれでいい。」


「寿司…そんな好き?」


「ウニが食べたい!

昔食べたウニが忘れらんないんだ…」


昔、家族で行った回転寿司…


「じゃあ…先輩来て大丈夫そ?」


「うん。問題ない。」


「…今夜7時集合ね。」


「うん!寿司!」











「んー…スタシーク…

なんで完全に時を止めて殺さなかったかな…

ありゃ完全に舐めプだよ…」


男はテトラポッドの上に座っている。


「名前が指定できるなら性格も指定できればいいのに…」



ザッパァァァァン!!!



波がテトラポッドにあたり、

飛沫が男に飛んでくる。



「うーん…水…水…

天野咲卦穂は神鎮隊に入るみたいだし…

少し離れた所にツクモを出してもきっと

来てくれるよね。」



ーーーーーーーーーーーーーーーー

六十九談


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





「よし…これで行こう。」

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