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ツクモダン  作者: SF42
前編
6/18

Knight vs Urchin

Urchinは英語でウニのことです。

【ツクモダン】



咲卦穂はコアを探して奔走する。


手当たり次第に喫茶店に入り、コーヒーカップを潰して回った。


後から捕まるのは免れない。



「咲卦穂パイセン!俺の仲間に力になれそうなのが1人います!」


「えぇ?早く言ってよ…」



咲卦穂のポケットから釘が1本飛び出す。


そして、着物を着た女性の姿に変異した。


「咲卦穂様。ご無沙汰しております。

私はエゾです。」


「知ってるよ。私が名付けた…

え。もしかして釘たちって…強い?」


名前で強くなるのなら、釘たちにも名前はついているので強いのでは?と、咲卦穂は考えた。


「えぇ。今から行う儀式は私の力によるものでございますが、この力は咲卦穂様に名付けていただいてから使えるようになったのでございます。」


「そうなんだ。んで…役に立てそうってのは?」


「咲卦穂様の手に刺さっている珈琲カップの破片をいただけますか?」


「あぁ。」


咲卦穂は手から破片を抜く。


「イタッ…はい。」


エゾは頭から釘を引き抜く。


「では、始めさせていただきます。

…珈琲カップの破片よ…

私に示せ…その身の所在を!」


エゾは破片を勢いよく釘で叩いた。


破片は砕ける。


「…見えた…見えましたよ…

核の所在は…柏樹中学校!」


「えぇ⁉︎私の学校じゃん!」


「具体的には…購買部ですね…」



購買部には飲食スペースがあり、コーヒーも飲めたはず…



「エゾ、ありがと!」


エゾは咲卦穂のポケットに引っ込んだ。


咲卦穂は学校へと走る。





急がねば…




「勘づきましたか?わたくしの本体の在処に。」



シュヴァリが来た。



「わたくしの狙いは元からあなただけです。

天野咲卦穂さん。」



シュヴァリは片手にボロボロになった梶田を持っている。



「この方を傷付けられたくなければ止まりなさい。」


シュヴァリは梶田の喉元にロングソードを突きつけている。


「わかった…止まるよ。」


咲卦穂は走るのをやめた。


「賢明な判断です。では大人しく地面に伏せてください。」


「じ、地面…?」


咲卦穂は地面に伏せた。


そしてシュヴァリは梶田を下ろして咲卦穂の首へロングソードを構える。

ギロチンのように。


「さぁ、最後の言葉は何にしますか?」



「次は正々堂々勝負しよう。」


咲卦穂に向かってロングソードが振り下ろされる。








ガキン!





ロングソードは咲卦穂の首の辺りから生えた何本かの槍で守られた。



「…半ツクモ人間…」



「始めよう。正々堂々とした勝負を!」



咲卦穂はウニ頭になる。



「変身したところでわたくしには勝てませんよ。」



コーヒーのビームが飛んでくる。


咲卦穂は避けながら走り、シュヴァリに接近する。

そして、トゲトゲの頭突きを喰らわせた。



シュヴァリの頭は吹き飛ぶが、

すぐに再集合してしまう。


「無駄ですって。何度も言いましたよ。

わたくしにはコア以外の場所への攻撃は通用しないと。」


「うるさい。戦おう!」



咲卦穂は両手も槍に変化させ、より激しく攻撃を仕掛ける。



シュヴァリはロングソードで応戦するも、

数発槍による攻撃を受ける。


だが、すぐに再生する。


そして、コーヒーを天から降らせる。

同時にロングソードを構えて接近してきた。



「無駄なことを繰り返す人間が一番嫌いです。」


「うるさいなぁ…とりま戦えばいいんだよ!」



咲卦穂は天からのコーヒーに警戒しつつ、

ロングソードによる攻撃を避ける。

ロングソードは大振りなので、避けやすい部類なのだ。(銃弾などと比べれば)



「…もしや、時間稼ぎをしていますか?」


「そう、時間稼ぎだよ。」


「なんの?」


「そろそろ来る頃かな…」


咲卦穂はツクモ化を解いた。


そしてその場に倒れ込む演技をした。


「何が…?」






「随分と調子に乗ってるな。ツクモ。」


白いスーツを来た男女2人組が現れた。

男の方は身長185cmはありそうで、2本の剣を背中に背負っている。

女の方は右足が競技用義足である。


「強そうっちゃ強そうだけど…

まだ知識が足りなそうだね。」


「たしかに。」


「私にやらせてくれない?」


女が前に出る。


「大丈夫か?」


「大丈夫。私は仮にも君の1年先輩だよ?」


「あぁ。そうだった。」



「なんですか、あなたたちは。」



「ちわっ!私たち神鎮隊の者でーす。

通報があったんで、来ましたー!

…君がツクモで間違いない?」



「…わたくしには勝てませんよ。」



「んー…それがなー。多分私の方が強いんだなー。だってほら。後ろ見てみ?」



シュヴァリは後ろを振り返る。



ドガッ!



その間に神鎮隊の女はシュヴァリを殴った。



「…後ろには何もありませんでした。」



「そこなんだよ。君の弱点。

圧倒的経験不足!」


仮陰鞭かりのかげのむち!』




ヒュヴァババババババ!




目にも止まらぬ速度でシュヴァリは全身を粉砕された。



「⁈」



「トライガ!GO!」



神鎮隊の女はトラバサミをシュヴァリに向かって投げつける。


すると、トラバサミはツクモに変異し、

虎のような姿となった。



「トライガ!BITE!」



トライガはトラバサミのツクモの名前である。


トライガは再生しつつあるシュヴァリにかじりついた。


すると、シュヴァリの再生が止まった。



「なっ⁈」



「トライガちゃんの力だよ。

獲物の治癒能力を奪うんだ。」


「ですがわたくしは…」


「二式でしょ?その余裕そうな喋り方でわかるよ。でも君を再生させなければ死んだも同然だよ。」



ヒュヴァババババババ!!



神鎮隊の女は再度シュヴァリを粉々にする。



再生能力を失ったシュヴァリは粉の状態から元に戻れない。



「後はコアを探すだけ…っと…」


「少し喋りすぎじゃ?」


神鎮隊の男が女に指摘する。


「いいっしょ。どうせ殺せるし。」


神鎮隊の2人は倒れている梶田を発見する。

女が近づいて顔を確認する。


「あっ。梶田じゃん。居合わせたのかな?

おーい!生きてる?」


神鎮隊の男は梶田の口に耳を近づける。


「息はある。俺が病院に連れてく。

コアは頼んだ。」


「りょ。梶田!情けねぇぞ!

…ところで通報してくれた女の子はどこ行っちゃったんだろ…」











「咲卦穂パイセンにしては珍しく頭回ってましたね。」


「それどういう意味?私が馬鹿だって言いたいの?」


咲卦穂とアカは学校へ走っている。


「いやそうじゃなくて…いつもウニ頭になるとヒャッハーするじゃないっすか。

今日は冷静に通報するっていう選択ができてたんで…」


「まぁ…あそこでまともに戦ってもキリないしストレス発散にならなそうだと思って…」


神鎮隊に通報したのは咲卦穂である。





2人は購買部に着いた。


「よし。どれだろ。」


「…あれじゃないっすか?」


青白く発光するコーヒーカップが棚の上にあった。


「うん。見るからにコアっぽい!潰すわ。」


咲卦穂は腕を槍に変化させて殺意を持って貫いた。




「ワギャァァァァォァ!!!!」



コーヒーカップを砕いた瞬間そんな悲鳴が聞こえ、青白い光は消えた。



「エゾ。反応は?」


「消えました。やりましたね。咲卦穂様の勝利でございます。」


「今までで1番強いツクモだった。

戦闘機よりも…」


「まぁ、名前がついたツクモは強いっすからね。俺ら含めて。」


「私のやらかしだな…あそこで認めさえしなきゃこうはならなかった。」


「…知らなかったんでしゃあないっすよ。

無知は罪じゃないっす。次から気をつけましょ。」


「…梶田に謝んなきゃな…」














「えぇ…まぁ、今回はコアを壊すためだったということで見逃しますが…そこら辺は神鎮師の仕事なので。次は気をつけてくださいね。」


「はい…申し訳ございませんでした。」


咲卦穂は祖母と共に警察署にいた。

もちろんコーヒーカップを砕いて周ったことについて警官にお叱りを受けたのだ。



「おばあちゃん迷惑かけてごめんね。」


「全然大丈夫よ。なんだか昔を思い出しちゃったわ。娘…咲卦穂ちゃんのお母さんも何度も警察にお世話になったから…」


「…そうなんだ…」


咲卦穂にも母親に似た部分がある…のか…


「あ、ごめんね…お母さんの話しちゃって…」


「ううん。別にお母さんのこと嫌いじゃないし。」


槍で突き刺したことは一生恨む。

ただ、今の生活があるのはある意味母親のおかげでもある。


「今度、ヒロが会いたいって言ってたわよ。」


「ヒロ…って誰?」


「あら、会ったことなかったかしら…

あなたのおじよ。」


「へぇ…いたんだ…」


「最近の学生は忙しいから…

時間がある時でいいって言ってたわよ。

今度の長期休暇にでも会ってやってくれない?」


「わかった。」


今月は9月…9月…9…


試験だ。

咲卦穂は試験のことを忘れていた。


「あー!おばあちゃん。ちょっと私勉強しないと!」


「あぁ。神鎮師の試験が近いんだっけ?」


「うん!早く帰ろ!」


「そーね…買い物してからでいい?

食材が無くって…」


「わ…わかった。急ごう!

あ…じゃあその間に梶田のとこ行ってくる。

謝んなきゃいけないんだ。」


「いってらっしゃい。」











「おう!天野は無事だったみたいだな…

いてててて…」


梶田は病室でベッドの上に横たわっていた。


「梶田。ごめん…私が名前さえ認めなきゃこんなに梶田はボコボコにはされなかったのに。」


「いやいや、俺が弱いのが悪いんだ。

まだ1年目…修行が足りない…」


「本当にごめん…」


「気にすんな。まぁ、マジで死ぬかと思ったけどな。」


「ごめん…」


「死ななきゃOKだ!」


「本当にごめんね…」


「…んなことより、試験勉強順調か?

一月もねぇぞ!気合い入れてけよ!」


「…私頑張るから。もっとツクモのことを知る。もう2度と梶田の足引っ張らないから!

絶対に!」


「お、おう。なんか熱気すごいな。」










家に帰ったら咲卦穂はパソコンに向かう。


“ツクモ 被害状況”


“ツクモ 避難方法”


“神鎮師試験 対策問題”



「スマホでよくないすか?」


「パソコンの方が気合い入るんだ。

これから毎日5時間は勉強する!」


「なぜ急にそんなに気合いが?」


「私のミスで人が死にかけたんだ。

私はもうミスはしないし、神鎮師になってもっとたくさんのツクモをボコしてついでに人も助ける!」


「…そ、そすか…頑張ってください。」
















9月29日


こうして1ヶ月間…咲卦穂は寝る間を惜しんで勉強した。


「ツクモが商店街に現れた。

平日の夕方4時。タイムセールで主婦多数。

現在アーケード上で暴走中。

さぁ神鎮師がとるべき行動は?」


「んー…私が囮になって、商店街から遠ざけたい。なるべく挑発して商店街を出るか…

平日の夕方4時なら家にいる人も少ない。住宅地の方へ誘導する…かな…」


「悪くないと思いますよ。ただ、住宅地だと損害デカすぎるんで、なるべく広い場所が良いって書いてありますね。」


アカは参考書片手に咲卦穂に問題を出していた。


「なるほど…民間への被害ねぇ…」


「それで試験大丈夫なんすか…?」


「余裕。」














「んー…コーヒーカップ以来出来のいい感じのツクモが作れないな…すぐ天野咲卦穂に倒されちゃうよ…」


『5時です…柏樹町内会から、5時のお知らせです…』


電柱についたスピーカーから5時のチャイムが鳴る。


「5時…5時…そうか…これだ!」



ーーーーーーーーーーーーーーーー

六十八談


品、壁掛け時計


名、スタシーク


型、一式


甲、明日、天野咲卦穂が最も注目した品


乙、天野咲卦穂


伝、天野咲卦穂が最も焦っているタイミング

  で、能力を行使する。

  以降は攻撃を仕掛け、天野咲卦穂を殺害

  する。


ーーーーーーーーーーーーーーーー



「よーし…これは自信作かな…

そろそろネタ切れしてきたから、頼むよ。

スタシーク君…」


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