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ツクモダン  作者: SF42
前編
2/18

ウニのパン屋

文章書くのって難しいですね。

【ツクモダン】




トラックのツクモは高速移動をして、

ウニ頭に接近する。

そのまま勢いに任せ、腕を振り下ろす。


轟音と同時に大量の砂が舞う。


「…」


砂埃の中にはウニ頭はいなかった。


「ドコヘイッタ!」


トラックのツクモの頭上から、

ウニ頭が腕を長い槍に変化させて降りてきた。



バン!



槍がトラックのツクモの脳天を貫く。


「ガハッ!」


トラックのツクモは一瞬よろけるが、倒れることはなかった。


「ヨクモ、アタマヲ!」


トラックのツクモは頭を振り、ウニ頭を振り払う。トラックのツクモは貫かれてできた穴を塞ぐように体を再生した。


「ツブシテヤル!」


トラックのツクモはその15mほどの巨体の

手足からエンジンを生やし、超高速体術を繰り出し始めた。


ウニ頭は足に槍を生やして、団地の壁を走り、トラックのツクモの攻撃を回避しつつ、

再びトラックの頭上にやってきた。


「オナジテニハ、ヒッカカラナイ。」


トラックはウニ頭を裏拳で吹き飛ばす。


がん!


ウニ頭は団地に叩きつけられ、ダメージを負った。


「いったぁぁ…もう…なぜみんな暴力的なんだ。ふざけるな!」


「ドチラカトイエバ、オマエカラ、オソッテキタンダロ、ウニアタマ。」


「あーもう、怒った。トラック!死ね!」


ウニ頭はもう片方の腕にも槍を生やした。


「パンクさせて風穴開けてやる!」


ウニ頭は団地と団地の間を跳び回る。


「チョコマカト…」


ウニ頭はトラックの周りを回るように飛び回る。


「オソイ!

ソレデハオレニ、オイツケナイゾ!」


トラックはエンジンを吹かそうとしたが、

エンジンがかからない。


「ン?ナゼダ。エンジンガカカラナ…」




バリン!ドガッ!ズザァァン!




トラックの体は穴だらけになり、粉砕された。


「イツノ…マニ…」


トラックのツクモの体から青い煙のような物が噴出し、ただのトラックに戻った。


…粉々だが。



「…あんまり発散できなかったな…」



ウニ頭はトラックのツクモの周りを跳び回りながら、すれ違いざまに穴を開けていたのだ。



「…あ、警察に見つかっちゃう。」



ウニ頭は団地を去った。












翌日…


「うぇぇぇん…」


「胡縁ちゃん…」


「元気出してよ。」


三条が泣いている。



「三条、昨日は大変だったな…」


「はい…」


「お前の住んでた団地がツクモに襲われるなんてな…三条は優しい生徒なのにな。」


三条と担任が会話をしているのを咲卦穂は盗み聞きしていた。


昨日の団地に三条は住んでいたのか…


ざまぁみろ。と、咲卦穂は思った。


人をいじめるからバチが当たるんだ。









キーンコーンカーンコーン…



「朝のホームルームを始めるぞー。

気をつけ、礼。」


担任は悲しそうな顔をする。


「昨日、校区内の団地がツクモに襲われたのは知ってるな?それに三条の家が巻き込まれてしまってな。慰めてやってくれ。」


三条はまだ泣き止んでいない。


もっと泣け。


咲卦穂は少し笑みを浮かべる。


「トラックのツクモだったらしいが、

そこにはもう1体ツクモがいた可能性があるそうだ。なんでも、ツクモ同士の争いが起こったとかなんとか。まだ見つかってないようだから、気をつけて過ごすように。」










放課後…


咲卦穂の机には、昨日上履きに刺されていた大量の釘が残されたままだ。


「釘…三条の家、潰れたのどう思う?」


当然釘は答えない。


「スカッとしたよね。ハハハ…

え?どうしてかって?」


咲卦穂の幻聴などではなく、咲卦穂は今の感情を誰かと共有したいが、相手がいないためこうなっている。


「やだなぁ。あなたたちも私と同じでトガってるんだから分かるでしょ。」



咲卦穂は槍のツクモに変身することができる。

本来はツクモに変身する人間などいるはずがない。



咲卦穂の両親は咲卦穂を日常的に虐待していた。

母は相当なプレイガールで、咲卦穂の世話をすることで夜遊びが出来なくなることをとても嫌がっていた。

父はイエスマンで、母の言うことに何でも従う。


ある日、両親は山に遊びに行くといって、

周りには誰もいない深い山に連れていった。

そして、そこら辺に落ちていた槍のような物で咲卦穂の胸を貫いて山に捨てた。


咲卦穂は死にたくなくて、山を這いずり回った。


出血多量で気が遠くなり、川の近くで倒れた。



が、翌朝目が覚めたのだ。


胸を貫いていた槍はなくなって、なんならその穴すら塞がっていた。



咲卦穂は家に帰るために山の中を彷徨った。


乾いた喉は川の水で潤し、

減った腹はよくわからない野草で満たした。




3日ほど歩いて、野生の熊に遭遇した。


熊はゆっくりと咲卦穂に迫ってくる。


咲卦穂は恐怖で動けなかった。


熊は大量の唾液を垂らして牙を露出させる。


そして、咲卦穂に覆い被さるように襲い掛かってきた。


「キャァァァァァ!」




次の瞬間には熊は血だらけになった。


咲卦穂の頭から大量の槍が生えている。


咲卦穂は察した。


槍が私に取り憑いた、あるいは私が槍を取り込んだんだと。




約1ヶ月後、咲卦穂はタクシードライバーに

無傷の状態で発見された。


というのも、怪我の治りの早さが異常なのだ。斜面から滑り落ちた時に折れた骨も、

およそ6時間ほどで治ったし、擦り傷なんかは1時間以内に治った。


ツクモには再生能力があったっけか。














こうして咲卦穂は半分ツクモ人間になってしまった。


再生は出来るが、時間がかかる。

頭から槍を生やしたり、引っ込めたりできる。

槍を生やした時に身体能力が上がる。

など、色々と人間とツクモの中間のような特殊能力を得た。


そして、その能力を使ってストレス発散に

ツクモを倒すようになった。







「ねぇ、聞いてんの?」


「…へ?」


「あんた笑ってたでしょ。」


三条だ。


「いや、わ、笑ってなんて…」


三条は涙目で咲卦穂の耳をつねる。


「イテテテ…やめて。」


「やめない…今日もストレス発散に付き合って。」


「やだ。行きたくない…」


「なんで?」


鹿草と志野も加わる。


「胡縁ちゃんの気持ち考えてあげられないの?」


「最低。」


家が潰れようと咲卦穂の知ったことではない。


「だから…ね?お願い。」


最低はどっちだ。


咲卦穂は三条たちに腕を掴まれ、結局連れて行かれた。












「ねーねーお腹すいた。

咲卦穂ちゃん何か買ってよ。」


「いやだ…」


「なんで?買えよ。家潰れた人を慰める気はないの?」


そうはならないだろ。


「パン屋行こ、パン屋。」


咲卦穂は財布を確認する。


「…千円くらいしか持ってない。」


「千円有れば1人2つは買えるよ。」


「…買えないと思う。」



4人はパン屋へ入った。


「すみませーん。まだパンありますか?」


…返事がない。


「パン屋休み?」


「…定休日…木曜。」


今日は水曜日。


「学校の購買部でなんか買う?」


「すみませーん!すみませ…」


声をかけていた鹿草が急に黙る。


「どうしたの?」


「逃げた方がいい…かも…」


「え?パン買うだけだよ?」


三条たちの会話が噛み合っていない。


「あれ…何?」


「え?」


鹿草が奥の工房を指差す。


何かが動いている。


「もしかして…ツクモ?」


「ねぇ咲卦穂ちゃん…見てきてよ。」


「やだ。」


「どうせ、ほら。パンも買うでしょ?」


「え、え?え?」



咲卦穂は恐る恐る奥へ進む。


ペタペタと何かが歩くような足音がする。


「あの…大丈夫ですか…」



カウンターへオーブンに足が生えたような生き物が飛んできた。


「え…?」


犬のような動きをする。


「これ、ツクモ?」


後ろから鹿草と志野がやってくる。


「かわいい!」


「おいで!」



「ワン!」


オーブン犬…咲卦穂はかわいいとは思わない。


「よしよしよし…」





突然、オーブン犬のオーブンの扉が開き、

ものすごい炎が噴き出た。



「ぎゃぁぁぁぁぁ!」


鹿草と志野が炎をモロに受けた。



「え…?」




「オマエラノヨウナ、クズニメデラレテモ

ウレシクナイ。」


オーブン犬は大きくなり始めた。


咲卦穂は鹿草と志野に声をかける。


「ねぇ…生きてる?」


肉が焦げる匂いがする。


「ぁ…ぅぅ…ゃ…」


反応はあるが、今にも死にそうだ。

というか現在進行形で燃えている。


「三条…消火器!」


店の外を見るが、三条は気を失って倒れていた。


「クソッ…使えないな…」


「ククク…ドウカンダ。

クズハシヌベキダ。オマエモクズノニオイガスルガ、ナンダカヘンナニオイモスルナ。」

(くくく…同感だ。

屑は死ぬべきだ。お前も屑の匂いがするが、なんだか変な匂いもするな。) 



オーブン犬は巨大化を続ける。


咲卦穂は鹿草と志野は諦め、

とりあえず三条を連れて逃げることにした。


いなくなればいいとは思っていたが、

目の前で死んでほしいわけではない。


三条の手を引っ張って離れようとするが、

動かない。

漫画やアニメのキャラクターは超人的な力を持っているから軽々人を運べるのであって…


咲卦穂にもあるではないか。

超人的な力なら。


しかし…ここで変身すれば誰かに見られるかもしれない。


誰かに見られるのは色々と都合が悪い。


最悪、ツクモとして神鎮師に処理されるかもしれない。


三条のことは一生恨むが、ここで死なれてはろくに復讐もできない。



「んぁぁぁぁぁ!もう知らない!」


咲卦穂は頭から槍を生やした。


ウニ頭の完成だ。


「ソウカ。オカシナニオイノリユウハソレカ。」


半ツクモ人間。


オーブン犬は店を破壊した。


巨大化することで、店を上回る大きさになり、内部破壊をしたのだ。


「私は最近デカいのとばっかり戦っている気がする。まぁ…壊した時の爽快感は最高だからいいか。」


「ンン…デカイクチヲタタクモノダナ。」



咲卦穂はいきなり三条を抱きかかえて逃走した。


「マテッ!」


そして、三条を離れたところに置いて、

咲卦穂はオーブン犬の元へ戻った。


「ヤケロ!」


オーブン犬はオーブンの扉を開いて、

炎を噴射した。


咲卦穂は跳び上がって回避する。


そして、腕を槍に変化させ、オーブンの頭を突き刺す。


「グアァ…サツイノタカイヤツメ…」


オーブン犬は咲卦穂の刺さっている穴から

炎を噴射した。


「あっつ!」


咲卦穂は炎を腕に食らってしまった。

(刺している腕)


「変なところから火ぃ吹くなよ!」


頭に穴を開けるのは危険だと思った咲卦穂は

オーブン犬の手足、尾を攻撃するように動き始めた。


幸いオーブン犬は動きが重鈍だったので、

オーブン犬の周りを回りながら手足を切り落とすことに成功した。



「ゴォォォ…」


しかし、すぐに再生されてしまった。


「なに…再生早くないか?」


「ククク…」


咲卦穂は焦った。

今まで何体ものツクモを倒してきたが、

これほどまでに再生の早いツクモは初めて見たのだ。


オーブン犬は辺りの建物などに火をつけ始めた。


「やめろ!燃やすなら私を燃やせ!」


「ツクモハ、モヤシテモオモシロクナイ。」



燃やしても面白くない…か…

まぁ、パンばっか焼いてたんだからそう感じるんだろうな。



「私と正々堂々勝負しろ!」


「ア?イイダロウ。」


「おりゃぁぁぁぁぁぁ!」


オーブン犬は扉から炎を噴く。


「うらぁ!」


咲卦穂は頭の槍を伸ばして前傾姿勢で走ることで炎を弾く。

(弾くと言うより多少軽減する)


炎の勢いに押されつつも咲卦穂は少しずつ前進していく。


「うぁぁぁぁ!」


咲卦穂の皮膚は焼け、全身が痛みに襲われる。


「どるぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


咲卦穂は炎の中を走り、オーブン犬の扉の中に入った。


「ジサツコウイダ!シネ!」


「…パン屋と同じ方法でお前をぶっ壊してやるよ!」


「ナンダ?」


「ぎゃはははは!あーっはっはっは!」


咲卦穂は全身から槍を生やし、

最大限伸ばした。


「ガッ…ガァッ!」


オーブン犬の頭を内部から大量の槍で貫いた。


オーブンの中にウニを入れてスーパーキノコを食べさせるとこうなるのかもしれない。



ずどぁぁぁぁぁぁん!



これにはオーブン犬も耐えきれず、破裂した。



「ガッ…ゴ…」


「…お前のいたパン屋。よく行ってたんだよ。味が好みだった。週5で通うくらいにはね。もう食べられないと思うと残念だよ。」


オーブン犬から青い煙のようなものが出て、

ただのオーブンに戻った。

…粉々だが。


咲卦穂も変身を解く。


「お前の焼いたパン、好きだったんだけどな。」


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