プロローグ
ここ帝都ヴァレリは通年を通して霧が立ち込めるため迷霧の都ヴァレリとも呼ばれる。
既にあたりは闇に包まれ家路を急ぐ人々が俯き通りを行き交う。
「号外だよー!号外!ウィンザー家嫡男が殺人事件の犯人として逮捕!」
大通りには行き交う人々の波に流されながらも号外を配る少年の姿がある。
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号外
イーヴリース・ウィンザー殺人事件の容疑者として逮捕か!?
昨日の晩にイーヴリース・ウィンザー邸にて叫び声が聞こえると通報があり警官隊が出動。
邸宅内を調査したところ、婚約者であるイヴ・アッカーマン氏が寝室で死亡。
同室内に浮浪者と思われる死体を発見。
遺体の損傷が激しく身元の割り出しまで時間がかかるだろう。
イーヴリース・ウィンザー氏は婚約者のイヴ・アッカーマン氏の遺体を抱いているところを警官隊によって保護。
今後、事情聴取を行い犯人逮捕に全力を注ぐ。
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「ウィンザーってあのウィンザー家か?」
「そうだろうさ、イーヴリースって医師のリース先生だろ?あんなに物静かで優しい人がなんで……」
帝都内でも名家として名を轟かすウィンザー家の嫡男の事件とあって号外を読みその場で足を止める者もいる。
天気は次第に深い霧から小雨と変わり行き交う人々は先ほどまで読んでいた号外を捨て足早にその場を去っていく。
この事件は後に他に類を見ない惨殺事件の始まりとして長く歴史に名を残すこととなる。
こちらはサクッと短編で完結予定です!