海~決意~
夜になるとミクと話をする。アルはガーガーいびきをかいている。
ミク「ジン大丈夫?」
僕 「いや、かなり落ち込んでる。
前世で沢山こんなような状況は見て来たんだけど、
なぜ人間は宗教や権力で争うんだろう。
静かに暮らしていた村を焼き払うなんて・・・
ことなんで出来るんだろう・・・うぅぅ・・」ポロポロ
ミク「そうね。ダークスライムも元は、人間の戦争によるものなの。
罪もない人々の怨念が形作られたものだったのよ・・・」
僕 「そんな・・人間が世界の滅亡を引き落としていると・・・」
ミク「そうねそんな一面もあると言う事。
世界に良い影響を与え続けている者も多いのだけど・・・」
僕に今できることは強くなることだ。
今できることををすることにした。
まずは冒険者として実力を証明する。
ギルドでの依頼は始め薬草の採取、鉱石採取など採取系の依頼だった。
森育ち獣人の僕には苦労はなく難なく依頼を達成するのだった。
そして、魔物狩りの依頼を積極的に受け、
ポイント溜り、G~Eまではすぐに上がった。
Dランクには試験が必要で、ギルドで実力試験があった。
ギルドマスター「よし今日は俺、ジルベルトが直々に試験を担当する」
僕 「初めまして。ジンです。よろしくお願いします」
ギルドマスター「ああ、では始める。
どんな攻撃でも良いぞ!ヤメというまで戦う」
僕 「はい。行きます」
まずはアイスアローを5本生み出し、放つ。
放った矢を追って剣を繰り出す。
5本の矢と剣によってさすがのギルドマスターも、防戦一方だったが、
さすがというべきか、1撃も当たらなかった。
ヤメ――!ヤメヤメヤメダー!!
ギルドマスター「これ以上は大けがじゃ済まなそうだ。合格だ。」
僕 「え?いいんですか」
ギルドマスター「氷の矢なんざ出せる者は殆ど居ねぇ。この時点で合格さ」
僕 「そうか・・・」
アル「さすがジンだな!楽勝じゃねーか」
僕 「ギルドマスターは本気じゃありませんでしたし」
アル「本気でもいい勝負出来たはずだぜ」
ギルドマスター「アルベルト余計なこと言うんじゃねー」
アル「ヘイヘイ兄貴」
僕 「え?お兄さんなの?」
アル「そうだぞ言ってなかったか?」
僕 「聞いてない・・・」
ギルドマスター「お前たち、マスター室に来い。話がある・・」
ギルドマスターの部屋では、教会についても最新情報を教えてもらった。
やはり、猫村周辺にはおかしな連中が見回りしており、
近付くのは危険だと言う事だった。
気分を変える意味でも、海に行こうかな!
Dランクに上がり大分色んな依頼を受けることができるようになっている。
最近、浜に巨大な魔物が出るため、遊泳禁止になっているらしい。
僕 「わ~!海だ!懐かしいな・・・よくお魚食べさせてもらったな・・・。」
キラキラ太陽の光に、お魚のにおい~!クンクン・・・
アル「うげ!磯くせ~」
ミク「アルは海が嫌いなの?」
アル「昔うねうねニュルニュルの魔物に襲われて以来な・・・」
僕 「タコ?イカ?」
アル「しらね~な~なんか嫌な予感だな・・・」
ズバッシャーん!!全長3メートル位の巨大タコが現れた!!
アル「ゲ―――――!!奴だ!」
僕 「タコさんだーーー!デカイ!」
え~い!ザシュッ!
僕 「あれ?切れない。刺してみよう。」ニュルン・・・
アル「ダメだジン!
そいつはニュルニュルで物理が聞かねーんだそして体中をヌメヌメしてくるんだ!キモイんだ・・・」
僕 「じゃ、硬くしちゃお!フリージング!カッチーン!!!!!
あれ?凍っちゃった!死んじゃったみたい?
簡単だったね。解体して食べよ~!」
アル「はあ?なんで食うんだよ!?」
僕 「美味しいからだよ~」
まず足をチョキンして、棒にさして。ジュウジュウして・・・
ガブリ・・・モグモグ。アルもどうぞ。
僕 「美味~い!!食べないの?」
アル「う、うん・・・カプリ・・モグモグ・・・!!!美味い!!!」
僕 「でしょ」
アル「こんなニョロニョロがなんで美味いんだよ!」
僕 「分かんないよ。でもニョロニョロしてるのは対外美味しいかも」
アル「なんで海のない村のお前が知ってんだよ・・・」
僕 「まあ良いじゃないか。」まだアルには前世の記憶とか言ってないんだよな。どうしよ・・・
ギルドに帰り、タコを倒したと報告し、報酬とポイントをもらった。
今度はお魚釣りしたいな・・・。
アルに相談すると、翌日には、釣り具を買ってきてくれた。
僕 「ヤッター!!!アルありがとう」
アル「船に乗って海釣りしようぜ!」
ユラユラユラ・・・
アル「ゲ――――っ。気持ち悪っ・・・・うっぷ」
僕 「アル船も苦手なの?」
アル「いや、こんなのなれだろ!・・うっぷ・・・」
僕 「あはははは!岸で釣りしようね!」
アル「助かった・・・」ははっははは・・・
アルは、僕のやりたいことを率先して実行に移してくれ、世話を焼いてくれる。
村の事を思い出させないように、彼なりに気を使ってくれていた。
アルありがとう。
取れたての魚の塩焼きを、アルと食べる。
とても美味しい味がした。
こんな些細な幸せを感じるとき、やはり、村を思い出す。
あの幸せの家庭の味は二度と味わえなくなってしまったのだと・・・ポロリ
でもこの、優しい味は絶対守るんだ!!!
アル、話があるんだ。
ジンなんだ?
実は僕ね、まだあるに秘密にしていることがあるんだ。
ジン、別に言わなくていいぞ。
アル、聞いてほしいんだ。
実は、僕は異世界から転生して生まれて来たんだ。
前の地球では猫で動物だった。
永遠に人にはなれない、猫の輪廻を繰り返す魂それが僕だった。
しかし、人を何回も救って死んだ僕は人としてこの世界に生まれる事が出来るようになったんだ!なんでか、前世のすべての記憶があるんだけど、神様には聞けなかったんだ。
なんで猫のくせに人を救ってんだよおまえは!
ハグ・・・ナデナデ・・・
アル・・グルるグルるグルる・・・zzz
気持ちいかジン、ヨシヨシ・・・なでなで・・・