旅の準備~家族~
教会から家につく頃には太陽が真上にきている、暑い・・・。
「お誕生日おめでとう!!!!!」
明るい雰囲気の家族が皆で、迎えてくれた。
テーブルには凄いごちそうがそろっている。大好きなベリーパイもある!!
一気に僕もテンションが上がった。
僕「みんな、ありがとう!とてもうれしいよ!」
母「遅かったわね。さあ、気疲れしたでしょう。いっぱい食べてお祝いしましょ」
僕「そうだね!!」
兄「所でどんな祝福だったんだ?」
僕「え、えっと・・・」
父「お兄ちゃんはせっかちだな。後でな!」
兄「そうだね、ごめん。楽しみは後にしなきゃね」
僕「う、うん・・・」
婆「おや、浮かない顔だね。まずは、これで乾杯しようじゃないか」
母「そうね!」
カンパーイ!!!!!
幸せで温かな美味しい食事だった・・・。
父「そういえば、ジンの祝福だがな、鑑定っていうスキルだったぞ!
ジンは攻撃系のスキルじゃなくてがっかりしたんだよな!」
僕「う、うん・・・」
兄「なんだよジン!鑑定なんて、超うらやましがられるスキルなんだぞ!」
母「そうよ~。どこでも活躍できるもの!」
僕「そうだね。うん」なんだか、嘘をつくのって苦しいな・・・
父「そうだジン。誕生日プレゼント用意してるんだ。」父が母に目配せした。
母「はい。はい。これよ!」
僕「なんだろう。開けていい?」
父「もちろんだ」
艶やかな皮の鞘に入っていたのは、鋼のショートソードだった。
僕「わ~!!嬉しい。でもこんな、いいの?」
父「当たり前だ。いつも木剣で頑張っていただろう」
兄「スゲー!カッケー!俺も欲しい!!」
僕「お兄ちゃんには立派なボウガンがあるじゃん。」
婆「森で生きるには何かしら武器がないと身を守れんからの」
母「そうね、最近魔物は襲ってきてないけど、いつ襲われるかわからないしね」
父「そうだ。ま、この辺の魔物は大したことないがな。ガハハハ」
僕はこの時、家族には嘘をつきたくない思いでいっぱいだった。そして・・・
僕「父さん!僕、皆に話したい。そして、この村を出ることをちゃんと伝えたい。」
父「ジン・・・!」
母「出るって、どういうことなの?」
兄「何言ってんだ、村を出るってどこに行くんだ?」
父「ジン・・・本当に話すんだな。」
僕「うん。家族には嘘は嫌なんだ。」
父「分かった。じゃ、父さんから話そうな。」
僕「うん。ありがとう・・」
この後、教会での出来事が家族みんなに話されていった。
お母さんは泣き崩れ、お婆ちゃんも泣いていた。
お兄ちゃんは、悔しそうな、変な顔していた。
僕「みんな、ここに僕がいたらみんなを危険にさらしてしまうかもしれない。
しばらく準備をして僕はこの村を出るよ。」
父「ジン!お前が一番危険にさらされているんだ。一つの所にいるよりは、移動している方が安全かもしれない。」
兄「でも父さん、村の人みんながいれば守れるだろ。魔物が襲ってきてもみんなで退治できているじゃないか」
父「教会は全世界に派生を広げた、世界の中でも大きな武力を持っているんだ。
この村程度の武力で太刀打ちなどできないだろう」
婆「おお、神々よ・・なんという試練を・・」
母「う・・うっ・・・」
僕「でもさ!僕、前から、祝福を授かったら、旅に出ようと決めていたんだ。
今回、こんなことになったけど、丁度良かったような気もしてるんだよ!」
父「ジン・・。ジンよ、準備はゆっくりで良いからな念入りにだ」
母「保存食も作らなきゃだから、できるまでは旅立ってはダメよ」
兄「俺も手伝うよ」
婆「おお神よ・・・およよよ・・・」
僕「お婆ちゃん。そんなに泣かないで・・・」
この日は家族みんなと、心から話し、抱き合い、泣いて、笑った・・・。
兄「ジン起きてるかー」ノックもせずに入ってくるのは兄さんだ
僕「おはよう~今起こされた~」ノックしてよ~
兄「狩りに行こうぜ。保存食用の肉を狩りにさ!」
僕「え?僕も一緒に連れてってくれるの?」
兄「当たり前だろう、お前は祝福を受けた大人なんだぞ。それに立派な剣もあるじゃないか」
僕「そうか・・行こう!」
朝食を済ませ、狩りに向かうことになった。兄と2人でなんて初めてだ。
母「気を付けてね。無理をしちゃだめよ」
父「父さんは神父と話があるから、気をつけてな」
兄「分かっているさ。なジン」
僕「うん。大きな獲物を狩ってくるからね。期待してて」
こうして兄と森に入っていった。
猫人族は嗅覚も聴覚も普通の人間より優れている。
獲物の足跡や臭いから、どのあたりに何がいるのか、なんとなく分かるんだ。
兄「少し先にシカがいるぞ。近づいて木の上からやるぞ」
そ~っと距離を詰め、木に上った。
シカは草をはみながら、近づいてくる。お兄ちゃんが待てと手で合図をしている。
ボウガンを狙っているようだ。
シュコッ!!シカの足に命中した。体制を崩したところに、上から剣で首を断つ。
ブシュワ――――!!ドサッ!!!
兄「よっしゃ!やったな!それにしても、その剣めちゃ切れるな!」
僕「うん。正直とてもビックリしてる」
兄「良し、サッサと持って帰ろうぜ。魔物が寄ってくる」
僕「うん。そうだね」
大物のシカは中々重かった。
運ぶのに苦労していると、変な匂いが近付いてきている感じがした。
僕「お兄ちゃん!」
兄「ああ!木に登るぞ。シカはここに置いとく」
僕「うん」
木の上で近づく魔物を確認した。オーク!?なんでこんなところに!?
兄「オーク?顔に青い線が入ってるな。はぐれか!こんなところにまで!」
はぐれは、群れから離れ、違う群れのメスを探すオスの個体のことだ。
繁殖の青筋というものが顔に現れるのが特徴だ。
僕「シカが食べられてる」
兄「クソ!!くらえっ」シュコッ!
ズシュッ!オークの目に深く刺さった!!
グオーーーッツ。と転げまわり木を叩きつけてきた。
兄「なに!?うわーーっ!」ドサッ「ウグッ・・・ウーッ」
僕「兄ちゃん!!」
オークが立ち上がり、兄さんに攻撃を加えようとしていた。
咄嗟に剣を構え、木から肩口に剣を下す。深く剣は入ったが、致命傷にはならなかった。
地面に着地し間髪入れずに、走り出す。
身を引くし、オークの後ろに回り込むと同時に素早く横一線にひざ裏の腱を断ち切った。ドッスーン。
前のめりに倒れたオークは起き上がれないでいる。いまだ!頸椎に剣を突き入れた!!
僕「兄ちゃん!!!」
駆け寄ると、胸を苦しそうにしている。あばらが折れたのかもしれない。
兄にふれ、鑑定をしてみると、やはりあばらが折れてるらしいことが分かった。
助けたいと願うと、手から、キラキラと金色の光が兄を包み始めた。
兄「なんだこの光は!あれ、痛くも苦しくも無くなった。ジン!」
僕「この力は・・・」
兄「回復魔法なのか」
僕「あのスキルなのか・・・お兄ちゃん立てる?」
兄「立てるぞ。どこも痛くない。ありがとうな。
・・・あ!そうだ、オークって美味いらしいぞ」
僕「え?気持ち悪いよ」
兄「魔石も入ってるはずだから、これ持って帰ろうぜ」
シカより大きなオークをやっとの思いで持ち帰った。
村につくとそれは、大騒ぎになったが、はぐれだったと分かると、落ち着いた。
村人A「さすが村長の息子たちだな。ケガもせずにオークを狩れるなんてな。」
村人B「大したもんだ。どれ運ぶの手伝ってやる」
家で、オークの解体と保存食用に肉の加工が始まった。
父「ジン、このオークの魔石はお前が持っていけ旅の足しになるだろう。」
僕「ありがとう。綺麗だね黄色だ」
父「このオークは土属性だったんだな、タフだっただろうに」
僕「そうなんだ!兄さんのボウガンが目に刺さったのに死ななかったから、
兄さんがケガしちゃって」
父「なに!?ケガだと!」
兄「ジン!!内緒だったのに!父さんケガは治ったんだよ大丈夫!」
父「どういうことだ」
兄「ジンの魔法でケガが治ったんだ」
父「なに!?あの力か・・・回復魔法が使えるとは・・よしまずは、仕込みを終わらすぞ!」
仕込みを終えると、すぐ夕飯となり、
兄さんの武勇伝とともに僕の魔法の話で夜はふけた・・・
ベッドの中で自分に鑑定をかける。レベル上がっていた!
なんか、教会で見た時より見やすいな。
ヒールってある!これが傷を治す奴か。
今日は保存食のジャーキーも良い感じに仕込めたし、着々と準備が進めたな・・。
『神様・・今日も一日、素晴らしい一日をありがとうございました。明日も一生懸命生き抜きます。おやすみなさい』
名前 : ジン
年齢 : 10歳
種族 : 獣人
職業 : 村人
レベル: 3→7
体力 : 20→30
力 : 18→30
素早さ: 23→30
魔力 : 10→30
運 : 50→60
スキル:神聖魔法(神聖なる光の魔法)・ヒール。
鑑定C(あらゆる物の詳細を見ることができる)
夜目(夜の視界が昼と変わらずに見える※種族特製)
※創造神の加護(神聖魔法を使えるようになる。ステータス補正)