第6部分、585字【見殺しにした】
二〇二〇年、七月二二日。
未明、自室で一人、テロリスト共の処遇を決定した直後にそれは現れた。
とてもとても大きな力。
その力を感じた瞬間、既に何十万人が死んでいるだろう事を確信させる程の力。
拙い。行かないと。一刻も早く。何百万人が死ぬのか。最悪日本の七割は━━
一瞬にして様々な思いが脳裏を過ぎり、気付けば僕は空を眺めて立ち止まっていた。
自宅の玄関を出た直ぐの所、それを眺めながら心に決めた。
━━飯沼は絶対に殺す。
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二〇二〇年、七月二三日。
「クソッ! 追いつくかッボケ!」
「夏鈴、口悪い」
「ッ・・・・・・春は・・・・・・いや、なんでもない」
「もうダメだよ。大を捨てて小を取ろう?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
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二〇二〇年、九月二三日。
【既にあの日、僕たちが一億二千万人を見殺しにした日から、丸二ヶ月が経過した。
多くの人が死んだけど、僕たちはまだ生きている。
もっとも、毎日誰かしら死んでいくけど。
けどきっと、きっと僕はあの日を識る者の中で一番長く生き残るだろう。
だからあの日の全てを僕が後世へと伝える。
あの日僕が、僕たちが何をしたのか。
これから先の歴史が成り立つ理由を、何もかも全て。
それは伝えるべき事で、知るべき事だ。
死んでいった彼らの為にも。
僕はまだ生きているし、これから先も死ぬ気は無い。】
今の所は個人的な日記を書き終え、ベッドに入る。
今日もまた夢を見るだろう━━