イヌが喋った!
僕
「うとうと、うとうと」
犬
「遊ぼ、遊ぼ!」
僕
「うわ、びっくりした」
犬
「早く遊ぶよ!時間は待ってくれないんだから」
僕
「なるほど、確かにその通りかもしれない」
僕
「何して遊ぼうか?」
犬
「ここに骨があります」
犬
「この骨を遠くに投げてくれたら、僕が取りに行きます」
犬
「そして、また貴方に渡す無限ループをやりましょう」
僕
「すごい、自ら無限ループ宣言」
僕
「まあ、仕方ない。やろうか」
僕
「あれ……どうして骨を渡してくれないの?」
犬
「ぐるるるる……(怒)」
僕
「え、嘘でしょ。自ら提案した遊びなのに、全然骨を渡す気ないやん」
犬
「あ……すいません。どうも、自分のものを取られるのが苦手でして……」
僕
「まあ、犬の習性ってやつだから仕方ないね」ぐいっぐいっ
犬
「がるるるるるる……(激おこ)」
僕
「全然、反省の色が見えない!」
犬
「僕からこの骨を奪いとるところから、ゲームは始まることとしましょう」
僕
「何て、体力を使う遊びなんだ……」
*****10分後*********
僕
「ふぅー、だいぶ疲れたなぁ」
犬
「ご主人、僕はまだまだいけますぜ」
僕
「まあ、君はいけるだろうけども……僕は限界みたいですぜ」
犬
「弱い……これが人間という生き物か……」
僕
「しまった、僕のせいで人間が舐められてる」
僕
「しかし、もう動けないなり」
犬
「ご主人は体力がないなり」
僕
「すまんなり」
犬
「お腹減ったかも」
僕
「なら、準備するわ」
犬
「流石っす。人間は素晴らしい」
僕
「急に、評価爆上げだぜ」
*****10分後*******
犬
「お腹一杯になったよ。まだ全然食べれるけどね」
僕
「君はあげれば、あげるだけ食べるからね」
僕
「病気してからは、そんなに食べなくなったけど……」
僕
「あれ……君病気じゃなかったっけ?」
犬
「そんなの、もう治ったよ」
僕
「あれ、そうだったっけな?」
犬
「それより、食後の散歩だよ!早く準備するのだ!」
僕
「はいはい、何だか散歩するのも久しぶりなような……」
僕
「君は年を取ってから、散歩を嫌がるようになったからね……」
僕
「若いころは散歩散歩煩かったな……」
犬
「ほらほら、そんあ思い出話に耽ってる場合はないよ!」
僕
「はいはい、引っ張らないで……」
************
犬
「散歩だ!散歩だ!」
僕
「散歩だぞ!散歩だぞ!」
犬
「あっ、大きい犬怖いっす。ご主人抱っこよろしく」
僕
「あっ、はい」
犬
「いつまで、僕を抱っこしてるつもりだ!はやく降ろすんだ!」
僕
「はいはい」
犬
「あっ、ご主人。高い壁だ。怖いっす。ここも抱っこで」
僕
「はいはい……君は臆病だねぇ」
犬
「そんなことはない。家の中では無敵」
僕
「僕に似て、内弁慶だなぁ」
犬
「飼い主が悪いってことだね」
僕
「そんな馬鹿な」
犬
「あっ、ご主人この坂はダッシュでいきます」
僕
「ひぇー」
************
僕
「ふー、散歩終わり」
犬
「楽しかったぜ」
僕
「それはよかった」
犬
「じゃあ、そろそろ寝ようかなと思います」
僕
「はいはい、そうしてくださいな」
犬
「おいしょ!」
僕
「何と、僕の膝の上か!珍しい!」
犬
「今日はここで寝るわ」
僕
「まあ、いいけどね」
僕
「それにしても君がこの家に来て15年か」
僕
「長いようで短かったね」
犬
「……」
僕
「いつもワンワン吠えてうるさかったね、君は」
僕
「今日まで、ありがとね」
犬
「また、犬でも飼いなよ」
僕
「当分はいいや」
犬
「そっか」
僕
「僕と居て、楽しかったかい?」
僕
「この家に来れてよかったかい?」
僕
「また、いつか会おうね」
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僕はいつの間にか眠ってしまっていたようだ。
僕の膝の上で、彼は眠っているように見える。
僕は、彼の頭を優しく撫でた。
今日の夕方、飼い犬が亡くなった。