表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お金が世界を救います! ~大切なモノって何ですか?  作者: ・w・(テン・ダブリュー・ドット)
6/51

06◆◆◆場所:『紫煙渦巻く研究室』……語り手:【殺人視考(やさ男)】

◆◆◆場所:『紫煙渦巻く研究室』……語り手:【殺人視考(やさ男)】

「『猫が喋ることがあるか』だと? いきなり不躾(ぶしつけ)な質問だな。――題意を図りかねる」

 葉巻の煙を吐きながら、『人を殺したことありますよ』と言わんばかりの眼光で睨まれた。

 いや、この人のことだから、『一切合切(世の中全て)、(ただ)の研究対象(実験マウス)』ってニュアンスで見ただけかもしれない。

 だけど、『撃墜(トレード)マーク』の『白眼鏡』ごしに伝わる、この『殺気』は、『邪眼』並みにぶっ飛んでます。

「『前提条件』が無い以上、なんとも言いかねる。それに、私の『専門分野』は知っているだろう? 私の専門は【殺人に至るメカニズム】だ。『動物学』や『言語学』は『専門外』だ」

 『真っ白な白衣』を袖を通さず、『威風堂々羽織る姿』は、『軍曹』とか『パラライカ(ロシアン・ギャング)』にしか見えない。

 だけど、この人、僕の『研究(ゼミ)担当』なんだよな……。

 しかも、ほとんど歳変わらないはずなのに、教授だし。

 オマケに『美人教授』って呼ばれるスタイルの抜群さってどうよ?

 世界には、『知らぬが仏』で『触れると即死』な『地雷が腐るほどあり過ぎ』て困る。

「まぁ、お前のことだ。どうせ【都市伝説好きの馬鹿(ショートヘア)】と、おかしな『約束』でもしたんだろう。――そうか『賭け』をしたのか。で、お前が負けたと。何々、負けた理由は――」

「ちょっ、いきなり人の心を読まないでください! あなたは『レクター教授』ですか!」

「何を言っている。『心理学』の授業で最初に言っただろう? 『心理学じゃ心を読めない』と。今時、定説過ぎて、『スイーツ(笑)』も信じないぞ」

 いや、『アンタ』だったら、ホントに心を読みそうだから困る。

「まぁ、話を戻そう。『猫が喋ることがあるか』だったな。これについては、ある学者がこう答えていた。――『喋る必要がないから喋らない』と」

 一呼吸。

 【殺人容認主義者(白眼鏡)】の答えをじっくり考え、反芻したが、抽象的過ぎる。

「……どういう『意味』ですか。喋れるんなら、喋ればいいじゃないですか? そのほうが『便利』でしょう」

「――それは『人間の勝手』な道理だ。一秒に満たない『小鳥のさえずり』に含まれる『膨大な情報量』の例を挙げるまでも無く、『狼の遠吠え』、『猫の鳴き声』、『昆虫のフェロモン』、『ミツバチダンス』など多種多様な『コミニケーション技術(ツール)』がある。『進化』の過程で得たその個体群に『ベストな方法』がな。――哲学を(から)めれば、『ソシュールによると』と繋がるのだが、ここではその話をする必要はいいだろう」

 ――あぁ、その必要はない。

 『どの生物も自分たちのオリジナルの言語を話す』のが重要ってのが分かればいい。

 ――だけど、それでは腑に落ちない。 

「じゃあ、それを踏まえた上で、『動物が人間の言葉』を話すってのは、どんな意味があるんですか?」

 【殺人容認主義者(白眼鏡)】は『ふむ』と、紫煙を(くゆ)らせながらに、微笑んだ。

「――ただの気まぐれだ。または、そう仕組まれたか。――いや、『萌え』というヤツだな。それにしておこう」

 ……おい。

 今、この人、なんか突拍子もないことを言いやがったぞ。

「冗談ですよね?」

「冗談だ」

 即答された。

 気持ちよく、断言された。

 ――今の笑顔、『ものすごく可愛い』と思っちまった!

 この人、『俺』が慌てるのを見て楽しんでやがる。

 ……なっ、気づけば『一人称』が乱れてるぞ、『僕』!

「じゃあ、ホントのところは何ですか?」

「簡単なことだ。そう。実に簡単なことだ。だが――」

「だが?」

 一呼吸。その一呼吸で、紫煙を蓄え、一気に吐き出す。


 【いくら真実を教えたとしても、人は、自分で見つけた答えにしか納得しない】 


 《だから、自分でよく考えることだな》、と【殺人容認主義者(白眼鏡)】教授(先生)は、(おっしゃ)った。

 結局、教えてくれないんですね。――わかります。

 ……やっぱ、この人、『S』に違いない。

 それも、『自分がSだったら、人類は皆Sだ』と思ってるぐらいの『ドS』に違いない。

 とても悔しかったんで、一応、反撃しておく。

「今更ですが、『学校(ここ)』は、『禁煙』ですよ?」

「自分の研究室(へや)ぐらい構わんだろ。ここは『私の領域(テリトリー)』だ」

 またもや、即答された。しかも、どっかの『能力者』みたいな言い回しで。

 嗚呼、『副流炎(受動喫煙)』万歳(マンセー)

 嗚呼、『教授を中心としたカースト制』万歳(マンセー)

 ……思わず、『学生は 単位のために 必死デス』とか川柳を詠んじまった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ