12◆◇◆場所:『でっかい闘技場(アリーナ)』……語り手:『若造』
◆◇◆場所:『でっかい闘技場』……語り手:『若造』
「皆さん、大変っ、長らく、お待たせいたしました!」
『闘技場』とか、『剣闘士』とかに出そうな、でっかい『会場』。
見渡す限り、猫、猫、猫、猫、猫、猫、一部、人。
『猫は特別席』っぽいところに陣取って。
『人は安そう』なところに集まって。
どいつも、こいつも《オラ、やっちまえ!》、《まだ、ハジまんねぇのか!》、《おらっ、そこのけ、引っこ抜け!》とかの『野次(声援)』飛ばしながらの『大合唱』。
俗に言わなくても、ココが『戦いの場(K1)』で、『競馬場(GIレース)』の熱気。
その中で、でかでかと『映すんです』って【自己主張】を放つモニターごしに、男が立ってナレーション。
もちろん、どっかで見たことのあるような、『黒いサングラス』に『黒いスーツ』。
『喋り方』は、正午のお茶の間を賑わす、あの『名司会』に決まってる。
得意の『毒舌・皮肉・カジュアル・パロディトーク』を『マシンガン風味』で話す話す。
「……この試合のために、日頃の安月給をはたいて、来た人も多いでしょう。もちろんっ、その期待は裏切りません。今、『話題の注目の一戦』。見なかったら、絶対、後悔すること間違い無しッ! 少々遅れてましたが、予定通り開催します!」
場内からは『震えるばかり』の『歓声』。
『待ってました』とばかりの『喚声』。
どこの世界も『パンと見世物』ってのは、『常識(基本法則)』。
「実況、エーンドッ、司会はこのワタクシ、『毒舌マシンガントーク』、『壊れたエンドレス・スピーカー』こと、『タモリ・モンタ・ウルチ』がお送りします! みんな、気軽に『司会☆』って呼んでYO! それでは、『決闘者』入場ーーーーーッ!」
闘技場の真ん中に、でかでかと陣取るリングが開く。
いかにも、『高級なんですよ』って【自己主張】する『大理石の狭間』から、『巨大な機体』がせり上がる。
『黒色の基部』に『流線形の形状』は、『速さ』と『残忍さ』を【自己主張】。
「進む道は、『高貴』かつ『潔癖』に。常に、『威風堂々』と闊歩する。他の追随を許さない、彼の前では『全てが外道』っ! 我れらが国を統治する、神に選ばれた『皇血の血統』ッ! 『皇血の貴公子』、『王子』ぁぁぁぁーーーーっ!」
《キャァーッ!、『王子』》と黄色い歓声が、巻き起こる。
その声を受けてか、当然とばかりに、黒の機体に乗った『白猫(カラーポイント・ショートヘア?)』が、『キリっ』とした眼光を放つ。
たっぷりと余韻を味わせながらに、『司会』が唸る。
「そして、その『運命』を担うのはーーーーッ! 引き受けた依頼は『数百種』。壊した数は『数千種』。屠った敵は、ベリベリ MOREッ! 盗みに、破壊に、『悪の華』っ! 仕事は特に選ばない。『選んだら負け』だと思ってる。『目的には手段を問わない』狡猾さ。『賭け決闘』では無敗の強さ、対戦者は恐怖に慄く、『生きた伝説』ッ! 今日もリングに墓標を刻むか、『外道の鏡』ーーーーっ!」
しっかり、めいいっぱいに、巻き舌で溜めながらに、機体の下に佇む姿を『ビシッ!』と指差して、
「『隻眼の傭兵』、『隻眼』ぉぉぉーーーーーーーー!」
《うぉぅ、殺せ殺せ!》、《イヤッホゥ》、《今日も棺おけ用意してるぜ!》、《うはっ、葬式屋が儲かるぜ》って、地響き。
いや、ホントに観客が地面を『マッハ踏み踏み』さながら『ライブ会場』の雰囲気。
「皆さん、聞いてますか、この両者への声援の数々ッ! 『高潔』と『外道』を『極めた』といっても、過言でない二人が『同じチーム』で参戦だーーーーっ! まさに異色の組み合わせ。まるで、『神父』と『死刑囚』の組み合わせ! このことが意味する意味がわかりますか、お客さんーーーっ!」
《わかってんぜ!》、《当たり前だろうが!》と、野次が飛んで飛んで。
「もっちろーんーーーーっ! そうです。その通りです。皆が、皆よくわかってる。そうです。マジです。ガチでやります。この二人は『マジ』なんです! 『真剣』と書いて『本気』なんです! 両者が望むのは、情け容赦の無い、『完全勝利』ッ! それしかありません、ありえませんし、許しません。彼らだけでなく、私や皆さんも許さないに決まってるッ! 『やらせなし』の『激マジガチンコバトル』、我らが望むのは壮絶な『完全決着』ッ! ただそれだけだーーーーーッ!」
《その通りだーーーッ!》、《オレについてくるか!》、《もちろん!》、《元気ですか!》、《当たり前であります(Sir)、大佐!(Yes、Sir!!)》、《ニューヨークに行きたいか!》、《当たり前であります(Sir)、大佐!(Yes、Sir!!)》、《勝手にいけぇーーーーーッ!》、《了解であります(Sir)、大佐!(Yes、Sir!!)》。
まさに、『一心同体』。
会場中が『一つの空気(存在)』。
「この『熱気』とこの『混沌』! 『闘技場』自体がもはや『公開処刑』の『死刑台』ッ! そんな『超デンジャラス』に挑む、『不幸かチャンス』な『対戦者』を紹介だーーーーっ!」
《待ってましたーーーーッ!》と、みんなハモリ過ぎ。
「誇り高く、気高きこと、比類無く。『非凡で特異』なこと、『規格外』。溢れ出る彩なし、『唯一無二』ッ! 同類項で、纏め切れない『オンリーワン』ッ! 生まれる世が、早すぎたか、遅すぎたか。遣る事、成す事、『異端中の異端の血統』ッ! 『第一級貴族』、『異彩』の『猫嬢』ぅぅぅぅぅぅーーーーーっ!」
《うぉっ、『猫嬢』キタコレ!》、《罵ってください!》、《また買いに来てください!》、《その『ツンデレ』がイカス!》、《べ、別に応援なんかしてないんだからね!》、《ちょっと、気になるだけなんだから!》って、不気味な声援が上がる。
これは、別の意味で、『篤い』声援。
だが、それ以上に、『厚い』彼女の『存在感』が、場内を支配する。
『私は偉いんです!』・『文句ある?』・『いえ、ありません』の『三段コンボ』を完成させる『鬼畜』な『カリスマ』が支配する。
「そして、その運命を担うのはーーーーッ! 『闘うことが我が生甲斐』、『俺より強い奴に会いにいく』、『戦神猛虎』の『期待のエース』ッ! 繰り出す業は、『千変万化』の『妙技』と『神技』の数々ッ! 今日も冴えるか、技と巧みの『乱痴気騒ぎ(フェスティバル)』ッ! 『技巧』の『技皇』ぅぅぅぅぅぅーーーーッ!」
《いつもお世話になってます!》、《今日もクリックしてきたぜ!》、《てか、お前稼ぎ過ぎだろ!》、《キレて金属バット振り回すなよ!》と、内容は野次なのに、何故か大応援。
何、この『憎まれっコ、世にはばかる』って、連帯感。
「それでは、『運命の議決』っ! 『審議(真偽)(ジャッジメント)』の始まりだーーーーっ! 『己が運命は、受け取るモノではなく、奪い取れ』ッ! 『答えはたった一つ、シンプル』だっ! 『勝者』こそ、『絶対』かつ、『正しい』ッ! 己が、『力』と『正義』をココに示せッ! 今日の正義は、『婚約』だァッ!」
《『婚約』だーーーーー!》、場内が『KY(空気読みすぎ)』、『復唱』。
【ランブルゥゥゥゥゥゥゥーーーーーっ、フゥゥァァァァーーーーーーーーイトッ!】
『意味』と【自己主張】の爆発。
圧倒的な主張で、闘技場(会場)全体が、殴り倒された。