冬に咲く花 19
それは生きて意思を持っているかのように、あっちへこっちへ動き回った。あげくには骨の髄までも焼かれているようだ。
関節がじりじりと痛み、一瞬全身の皮膚の表面を熱が走った。
(アレ?なんだろう、この感じ……)
孝宏の脳裏に何かがかすめた。はっきりと思い出せないが、最近よく似たことがあったような気がする。魔力の誘導などしてもらうのは初めてなのだから、おぼろげな記憶の相手はルイでもカウルでもない。
考えている間も熱はますます孝宏を内側から焼いていった。
「普通はもっと穏やかなんだ。ほんのり暖かくてね、心地よい位なんだよ。逆に魔力がなくなると、すごく寒くなる。体が冷えて動けなくなるよ。限界まで使っちゃいけない」
「何か……似た……話を聞いたような……血、だ……かな」
「そう言えばそうだ。案外関係あるかもしれない。さてと、次はタカヒロの魔力を一気に引き出すよ」
カダンが舌先で唇を湿らせた。握り合った掌を合わせたまま、一度広げて強く握り直す。
じっと静かに、呼吸すらも抑え、瞬きもせず、焦点の合わない視線で何かを探っているようだ。足へ、頭へ、それから流れるように首から胸へ、視線が移動し腰の辺りで止まった。
「見つけた」
カダンが聞こえないほど小さく、低い声で呟いた。孝宏はカダンが何と言ったのか聞き取れなかったが、しっかり一点に定まった視線にようやく終わるのかもしれないと、内心安堵していた。
だがそれは孝宏の全くの早とちりで、実際はここからが本番だったのだ。
「な!?に……!?」
熱いどころじゃない。お腹の奥から両手の先まで、骨から皮膚まで激しく痛み、裂けてしまいそうだ。
ズルっと腹の中から這い出す何かが、警告のように心臓を打ち鳴らす。
「カ、カダン、嫌だ。……これ、気持ち……悪い……」
痛みが腹の中で暴れ、内蔵を蹴り上げ握りつぶす。胃から逆流した苦いモノを堪えて前のめりに屈んだ。
(熱い熱い熱い熱い……これは……嫌だ!)
今度こそ体を支えきれずに膝から崩れ落ちた。繋いだままの手に引かれ、カダンも前のめりに倒れそうになりながらも、孝宏を支えるため咄嗟に片手を解き孝宏を抱き留めた。
一瞬にして全身が骨まで焼ける恐怖が蘇り、脳裏に張り付いてしまった。忘れるなど出来そうもなく、孝宏にはもう抑えられなかった。
掌で痛みが破烈した気がした。




