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記憶と夢の狭間  作者: 佐藤院十六夜
4/5

さぁ冒険者に

知らない天井がそこにある。が今までの出来事はしっかり思い出せる。

「俺の名前は、レオニール・スティーズ」

あの記憶の欠片との会話を思い出しながら、自分の名前を思い出せたことに喜びを感じる。今まで胸につっかえていたモヤモヤが取れたみたいだ。


ふと窓を見ると、朝日が差し込んでいる。 すると、足音が聞こえてきた。ドアの前で止まるとノックされた・・・ミラだろうか。


予想は的中した。

「お加減はいかがですか? 朝食をお持ちしました」

サッと身だしなみを軽く整えてからドアを開ける。

「ありがとうございます。何から何まで」

「いえいえ、それでどうですか?何か思い出せましたか?」

「はい、自分の名前は思い出せました。俺の名前はレオニール・スティーズといいます。レオンと呼んでください」

「それは良かったですねレオンさん」


そんな会話をしているとグ~~~っと盛大な音が鳴った。彼女は笑いながら、バスケットを手渡してくれた。


「お腹も空いていると思うので、いっぱい作ってきました。遠慮せず食べてくださいね。」

どうやらサンドイッチのようだ。見たところ卵、肉、野菜がぎっしり詰まっている。


「それでは私は仕事がありますのでこれで失礼しますね。何か御用があったら呼んでください」


と言い残すと部屋から出て行った。 昨日は何も食べていないので、胃が悲鳴を上げている。さっそくいただく事にする。

「それでは、いただきます。・・・・・・・・これはうまい!」


ベーコンの塩加減と卵の濃厚な味、それでいて野菜たちが後味をさっぱりとしてくれる。至高のバランスだ。 

それからしっかりと味わいながら全て食べ終え、一息ついてからもう一度自分の記憶がどこまで失っているのか、考えてみた。


「物の名前...覚えている。日常生活に必要なこと...覚えている。つまり記憶が無いのは自分に関することと、それに関する人物全てで間違いないか」

「どこに住んでいたか分かれば、周りの人にいろいろと聞けそうなのにな」


いろいろと考えていると、ふと頭をよぎった。

「働かなければ...いつまでもここにお世話になっているわけにもいかない。だが、どうやって稼げばいいものか。 そういえば、俺は剣士だったんだっけか。だったらギルドに行って何か依頼でもこなすしかないか」


思い立ったが吉日、早速町へ出発した。

ギルドはすぐに見つかった。建物は大きく、大きな看板が掛けられていたので一目で分かった。


使い古された扉を少し緊張しながら開けた。 カランカランと鈴がなったと同時に中に居た人の視線が一気に注がれる...が気にしない。 受付らしいカウンターへ歩みを進めた。 その間にも、ヒソヒソと声が聞こえる。


「誰だアイツ?」

「さぁ知らねぇな」

「さては、新人か?」

「でも丸腰だぜ」

とか言いながら、笑っていた。


そんなことはさて置き、茶色のショートカットの綺麗な受付嬢に話しを振った。

「すいません。依頼を受けたいんですけど」

「組合証はお持ちですか?」

「いえ、ギルドに来たのも初めてなもので...」

「わかりました。では、ギルド加入でよろしいですね?」

「お願いします」

「それでは、ここに名前と職業をお書きください」


俺はすぐに、紙にペンを滑らせる。


「レオニール・スティーズさん 職業は剣士ですね。少しお待ちください、組合証を発行してきますので」

受付嬢は奥に引っ込んでいった。


少しして、戻ってきた受付嬢から組合証が渡されるとともに、簡単な説明を受けた。


「この組合証の使い方ですが、これは我々の身分を証明するものになりますので決して無くさないようにしてください。万が一無くされた場合こちらで再発行できますが手数料を頂きますのでご注意ください。 そして、依頼を受けるときはこの組合証をご提示頂きますと依頼を受けることができます。 最後に大事なことを一つ。組合証の色によって受けられる依頼の難易度が異なりますので、いきなり高い難易度の依頼を受けることができません。 加入時は、茶色からスタートしますので簡単な依頼が斡旋されます。これらの依頼を完了していただくと上のランクにあがることができます。 以上で説明は終わりです」

と締めくくった。

「何か質問はありますか?」

「いえ、大丈夫です」


特に疑問も無かったので、早速依頼受けることにする。

「では、なにか依頼をお願いします」

「初めてでしたら、こちらのゴブリン討伐はいかがですか?」


ゴブリンは、この大陸でよく目にする魔物の一つだ。 主に集団で行動し、通りすがりの人を襲う少し厄介な奴らだが、基本的な戦闘能力は低いので、物量にさえ負けなければ何とかなる相手だ。


「では、それでお願いします。 それと武器の貸し出しなんて無いですか?」

それを聞いた野次馬たちは、大爆笑だった。


「武器も無いのに、冒険者やろうってか。笑えるね」

「おいおい、ゴブリンなんかに負けんじゃねえぜ」


受付嬢は少し申し訳なさそうな顔をしながら

「簡単なものでしかご用意できませんが、よろしいですか?」

「はい大丈夫です」

「承知しました。こちらへどうぞ」


受付嬢に付いていき、隣の部屋へと移動した。そこには、いろいろな武器、防具があったがどれも質は良さそうではなかったが、タダで貰える物だ。偉そうには出来ない。

「では、このロングソードと革の鎧を頂きます」

「はい。お気をつけて」


受付嬢の心配の視線と野次馬たちの好奇な視線を受けながらギルドから立ち去った。


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