いざ村へ
「落ち着いてください! 時間がたったら思い出せるかもしれませんし、ゆっくり休めば他のことも思い出せるかもしれません。 さぁ村へ急ぎましょう」
と、体を支えてくれた。
「すまない...みっともなく取り乱してしまって」
二人は、遠くに煙がのぼる方へと歩き出した。
道中の会話はほとんど無かったが、ミラは薬草を取りにここまで来ていたと話してくれた。
これも神のお導きのおかげだろうか。
いざ村についてみると思っていたより大きかった。もっとこぢんまりしているイメージだったが、様々な施設が立ち並んでいた。
「びっくりしましたか? この村は、この大陸で3番目に大きいんですよ。」
顔に出ていたか分からないが、読まれてしまっていたようだ。 果物屋や武器屋、防具屋を抜けた先に教会があった。
「はい、着きました。少し司教様と話してくるので、座って待っていてください」
と言い残し、奥のほうへ走っていった。
教会の中は、数人が祈りを捧げていた。ステンドグラスから差し込む綺麗な光は、今にも天使が舞い降りてきそうだった。 などと考えているとミラが戻ってきた。
「司教様に部屋の使用許可を貰いました。体の調子が戻るまでの間自由に使って良いとのことです。」
「ありがとうございます。こんな丁寧にしてもらって」
「いいんですよ。困っている人の為の教会なのですから」
なぜ教会に部屋があるのかを聞くと、なんでも旅人だとか、怪我人のための部屋なんだとか。
案内された部屋に入ると、真っ先にベッドに目がいった。体はもう限界だったので死ぬように倒れこみ、夢の世界へと旅立った。