秘密
ねえ知ってる?三組のナナミって子、時々おかしくなるの。
あ、その話聞いたことある。ある時は静かになったり、ある時はすごく賢くなって絶対解けない問題も解いたり。
そうそう。なのにテストは点数良くもなく悪くもないっていうねー。
でも1番やばかったのはあれよね。
ー「新山事件」ー
♪〜〜
「また昔の夢を見た。」
約五年前、私は浮いていた。クラスからは変わり者と言われ、ひどい時はいじめられていた。
「今日は祝日。今日は誰が出てくるの?」
『今日はあたしが行きたいな〜。見に行きたいものもあるし』
私の心の中で別の人が話す。
そう、私にはある秘密がある。
誰にも言えない、秘密がね。
幼い頃から私は異常者と言われてきた。時には障害を持っていると言われ施設に入ったこともある。
母も父もいない。今は里親に引き取られ大学にも行かせてもらっている。そのため一人暮らしをしている。
『今日はアキナでいいでしょ〜??』
『だめだ。お前が外に出てナナミらしく振舞ったことはないだろ?』
また心の中で声がする。
「私らしくって、もうそんなの関係ないじゃん。いいよアキナで」
『やった!じゃあまた今日の脳内会議で会おうね』
今日の人格はアキナだ。
アキナは17歳の女子高生。私が小学6年生の時に出てきた人格で1番新しい。
私はいわゆる多重人格者だ。それもかなり重度だと言われている。
よく聞く多重人格者の元の人格は消えているらしいが、このように話し合って仲良くしているのは珍しいケースだと言われた。
アキナとナナミが入れ替わる。
アキナは押入れから派手な服を取り出した。前にアキナの人格の時にネットで買ったものだ。
人格がアキナや他の人の時の私はどこにいるか。
それは心の中だ。
まるで映画館で誰かの人生を見ているかのように1日が終わる。
強制的に入れ替わることもできるようになった。
それは体の元の持ち主である特権だろうか。
アキナはメイクをして外に出た。
それから1日が過ぎるのは早かった。
夜になって家に帰り、お風呂に入ってご飯を食べた。
アキナはスマホでメールを返した。
私は主にLINEを使い、他の人はメールを利用している。実はTwitterのアカウントもある。
ネット社会って便利なようで不便だけど。
夜の11時。アキナは布団に入って目をつぶった。
これで映画観賞はおしまい。
目を瞑った瞬間現れるのは真っ白い四角の部屋。
これが私の心の部屋だ。
そこに4人が集まる。
さあ、脳内会議の始まりだ。