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布団ちゃんには絶対負けない  作者: 伊呂波 ましろ
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第六話 み、見た?

 少し時間が空いてしまってすいませんでした。

 ブレスレットのせいで今日一日大変な目にあった。授業中は教科書を忘れたと言い訳をし机をくっつけたりした。体育の授業がなかったのが不幸中の幸いだ。


「はぁ~、疲れたぁ~」

今日はブレスレットのせいで昼ごはんは教室ではなく屋上で食べていた。


「ご主人と私がラブラブなのが伝わって良かったじゃないですか」


 こいつ全く反省してねぇ。


「このままじゃ飯も食べられないじゃないか」

弁当はひかりから貰いあるが、片手が使えないので、とてもじゃないが食べられない状態である。


「私が食べさせて差し上げますよ? はい、あ~ん」

布団が箸で卵焼きを持ち上げ口元まで運んでくる。


「いいっていいって、そこまでしなくても」

卵焼きから逃げるように体を反らす。


「もう、ご主人の恥ずかしがり屋さん♡ そういうところも好きですけど」


「なに馬鹿なこと言ってんだよ!」

顔が赤くなっているのをバレないように下を向く。


「そう、光太も嫌がってる」


「その声は?」

顔を上げると、そこには腰に手を当て仁王立ちをした、すこし起こり気味のひかりがいた。

 瞬間、俺とひかりの間に風が吹き抜ける。

ばさっとひかりのスカートがめくれ上がる。逆光で影になり、よく見えなかったが、確かに見えた。


「み、見た?」

スカートをおさえ、しゃがみこみ睨みつけてくる。


「……み、見てない」

ひかりに見つめられ目が泳いでしまう。冷や汗が流れた。

ひかりは見られたことを確信し、ほっぺたがリンゴのように赤くなる。


 パシンッ

学校の屋上に乾いた音が響いた。




「ひどい目にあったぜ」

真っ赤に染まった左の頬をさする。あれからひかりには口を聞けてもらえていないが、なんとか学校は無事に終えることができた。今は男子寮の俺の部屋にいる。


「あの~、ご主人?」

布団は顔をすこし赤らめ、足をもじもじとさせる。


「なんだ? トイレか? 行ってこいよ」

布団は、気まずそうに手を挙げ、ブレスレットを見せる。


「一緒に来てもらえますか?」


「……我慢できないのか?」


「すいません無理です」

布団は俺の問いに少し悩んでから答えた。


「……分かった。ただ、ブレスレットじゃない方の手だけ使えよ?」

布団は小さく縦に頷いた。


――トイレにて

 気まずい気まずい気まずい。

布団がトイレに入り、俺は片手だけトイレに入れていた。

 ま、まだか? 時間の流れが長く感じる。

そんなことを考えていると、なにやら手にぷにっと柔らかい感触を感じる。

「お、おい! 片手だけで済ませっていったよな!?」


「わ、わかってます! しょうがないじゃないですか」

 こんなことになるのが分かってたんなら最初からするなよ。


「おい! まだ俺の手に何か触れてるぞ!?」


「もうちょっとだけ待ってください!」


 水が流れる音の後、布団が下を向いたまま出てきた。

 はぁー。あと少しで、いろいろと危ないところだったぜ。


「どうします? お風呂」

布団は噴火しそうなほど顔を真っ赤にし問いかけてくる。


「入れるわけねぇだろ、この状態で!」

やや叫び気味に言う。


「……でも、女の子は気にします。髪とか匂いとか」

ぼそぼそとつぶやく。


「……わぁったよ! ただし見えないようにな!」

しょうがなく布団のわがままに付き合ってやることにする。

 べ、別に下心があるわけじゃないぞ! 断じて!




 ……あんなことを言ったのが悪かったのだろうか?

俺は今、風呂で目隠しをした状態である。確かに、見えないようにしてあるけど! 水着とか来てくるのかと思ったわ!


 水が滴る音が風呂場に響く。この学校の寮は個人風呂付きで、かなり設備は充実している。寮目当てで入る人もいるくらいだそうだ。だが、風呂といっても寮なので一人分の広さしかない。二人だととても密着してしまう。


「なんか背中にあたってるんだが!?」

背中に柔らかい二つの感触がある。目隠しをしているため、とても感覚が敏感になって変に想像してしまう。


「狭いからしょうがないじゃないですか!」


「むぅ」

そう言われると返す言葉がない。


「それじゃぁ、洗いますね」

布団は石鹸のついた手を俺の背中にあてる。


「な、何やってんだ!?」


「だって、ご主人は両手が使えないから……」


「だからって手じゃなくても! ボディタオル使えばいいだろ!」


「なかったんです!」

 そうだった。擦り切れてもう捨てちまったんだ! はやく新しいの買っとけばよかったぁああぁ!


 布団の柔らかく小さい手は肩から背中へと下がっていき、腰まで降りたところで前に回す。

後ろから抱きつくように、手を回しているため胸が背中につく。そのまま布団は手を下へ降ろしていった。


「待て待て待て待て待て! そこまで行かなくていいだろ!」

布団の手はアレ(・・)の寸前でピタッと止まる。


「……」

布団は何も言わずそのまま手を下に降ろしていった。


「やめろやめろやめろやめてくれぇえぇええぇ!」

なにか大事なものが音をたてて崩れた気がした。



――風呂の後


「しくしくしく」

俺はまだなくした何かを思い泣いていた。


「まぁまぁそこまで泣かなくても……」

布団は俺の肩に手を置く。


「だって、あそこまでやんなくても」

肩を落とし、頭を抱える。


「確かに、調子に乗っちゃいましたけど。これでおあいこですからね!」


「いつ、俺がお前の触ったんだよ!」


「それは……」

布団は視線を俺からトイレのある方に移した。


「……」

なんか、もうどうでもいいや。


「それよりも、いつまでもそうしていると風邪をひいてしまいますよ?」


「ああ、そうだな。俺もう寝るわ」

畳に横になる。すると、そこに布団が添い寝をする。


「なにしてっ、」

瞬間、安心するような暖かさと肌触りに包まれる。


「わたし、布団(・・)ですよ?」

にこっと笑顔を向けてくる。そうだった。こいつ本当は布団なんだった。

 

 横になるとまぶたが自然と落ちてきて、眠っていた。


 次の日、目を開けると横には布団が寝ていてブレスレットも自然に外れていた。

ひかりにも必死に謝罪をし、今度の日曜日二人で遊びに行くということで納得してもらった。

 今日一日、いろんな意味で軽く3回は死にかけた……とんだ一日だったぜ。



 今回はお色気回となりました。

これからもよろしくお願いします!

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よろしくお願いします!

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