第三話 ひかりだ。よろしく。
毎度ありがとうございます。
「なぁ、布団……」
「ふんっ」
ぷいっと反対側を向く。
今日はずっと朝からこんな感じである。やっぱ昨日のことだろうか?
「そんなに新しい布団買ったの怒ってるのか?」
それにしては怒りすぎな気がするんだが……。女子ってよくわかんねぇな。
「なぁ、転校生の話知ってる?」
「ああ、超絶美人らしいな」
「転校生のことを見た男子がマリア様……とかいって拝めてたらしいぞ」
「なにそれ怖っ」
「なんか髪が綺麗な色してたなぁ……赤とピンクを混ぜたような色で……」
「お前見たのかっ? 転校生を」
クラス内は転校生の話で盛り上がっていた。
最近転校生多いな……ん? 今一瞬ひかりのことが頭に浮かんだんだが……
「お、おいっ今赤とピンクを混ぜたような髪の色って言わなかったか?」
「あぁ、言ったけど……」
「なんかそいつ目が半開きで無口キャラみたいなやつか!?」
「そうそう、って。なんだ? お前も見たのか?」
見たとかのレベルじゃねぇよ、もっと先までやらかしちゃったよ……。っていってもその転校生がひかりと決まったわけでもないし……。
「お前らぁー席つけぇー」
「おい! 早く転校生紹介してくれよ先生!」
「俺はお前らの彼女紹介役になった覚えはねぇぞ」
ドアが開き、転校生が教室に入ってくる。
「ひかりだ。よろしく」
またか、またなのか……。俺に平和な高校生活はもう訪れないのだろうか?
手で顔を覆い、肩を落とす。
「なぜだぁああぁああぁああぁああぁああぁあ!?」
教室内に俺の叫びが響く。
それからといえば、ひかりは俺にべっとりで、とにかく男子からの視線が痛かった。
「くそ、なんであいつばっか……」
男子の地を這うような低い声が聞こえたが、聞かなかったことにしとくのが身の為だ。
「お昼を食べよう、光太。今日は私が作ってきたのだ」
「……まぁ、それくらいなら」
机を寄せ合い弁当箱を開ける。弁当の中身はご飯に唐揚げ卵焼きだった。
「うまそうだな」
「えっへん」
そういうのは口で言っちゃダメだろ……。
「はいあーん」
「自分で食えるって、あと真顔であーんとか言われても何とも思わないぞ」
「うぅー」
ひかりは口をすぼめ明らかな落ち込み方をする。ラノベのヒロインかっ
――放課後
「で? なんでお前らは俺の部屋にいるんだ?」
寮に帰るとそこには布団とひかりの姿があった。
「わ、私はご主人が変な気を起こさないように監視をですね……」
「光太の婚約者として当然の努め」
「……なっ!? ご主人があんたなんかと婚約するわけ無いでしょう!?」
「もうお腹に赤ちゃんが居る」
「!? いつしたんですか! いつ!?」
「あなたも見てたはず。キスをすると赤ちゃんができるって言ってた……お母さんが」
「そんなんで子供がデキてたまるかってんですよ! そんなんで赤ちゃんできたら日本は少子化で悩まされていませんよ! ガルルル……」
「それなら光太に聞いてみるといい」
「ええ、いわれなくてもそうしますよ!」
「光太」「ご主人」
「「そこのところ……どうなの!?」」
「お前らな……いい加減にしろぉおぉおお!!!」
二人の襟元を掴み外に放り投げる。ああ、愛しい平凡な日常よ、どうか戻ってきてくれ。
部屋の片付けをしていると部屋に俺のものではない物が置いてあった。
「? こんなところに枕カバーあったっけな?」
純白のレースで装飾されたさっきまで使われていたような温もりのある枕カバーがあった。
――そのころ
「あ、光太の部屋にパンツ忘れた……」
「何かってにご主人の部屋でパンツ脱いでやがるんですか!?」
最近朝寒すぎて布団から出られないのでストーブを出しました。作者です。
少しでも楽しんでいただければいいなと思っております。
それではまた次の話で。
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