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布団ちゃんには絶対負けない  作者: 伊呂波 ましろ
2/14

第二話 こころころころ あめもよう

 第2話です。少しでも楽しんでいただければさいわいです。


 あれから数日が経ち、なんとか周りにバレないよう、布団との生活を送っていた。

「……はぁ、このまま何も起きなきゃいいんだが」

 すると廊下から噂話が聴こえてくる。

「なぁ、知ってるか? 男子寮の女幽霊」

「ああ、夜な夜なご主人を探して歩き回っているっていう」

「昨晩も出たらしいぞ……」

「俺、男子寮近づけねぇわ……」

 あいつ、なんてことしてくれやがるんだ……帰ったら注意しないとな。

「ホームルームを始める。とその前に……今日は転校生が来ている。入っていいぞ」

「こんな時期に転校生? 珍しいな……」

 ガラッ……

「どうも、山田 布団です。よろしくお願いします」

「なっ!?」

 そこには布団が行儀良くお辞儀をしていた。

「あんなかわいい親戚いたんだな、お前」

前の席の土屋が話しかけてくる。

「俺も初めて知ったよ」

「?」

クラスは布団のことで盛り上がっていた。

「今日の放課後暇?」

「布団って珍しい名前ね」

「ラ、ライ〇やってる?」

「山田とはどういう関係なの?」

 クラスメイトの質問を相手にせず、真っ直ぐ俺の方へと向かってくる。

すると、布団は俺の腕に抱きつき最後の質問に答える。

「ご主人とは、夜を温め合う中です♡」

「ハートを付けるな、ハートを! あと誤解を招くような事を言うんじゃない!」

布団から逃げるように体を仰け反る。

「ご主人って言った? 今?」

「おい、山田てめぇ……」

「山田。覚えてろよ……」

「……ごほん」

 クラスメイトたちは先生の咳払いで各自席に戻っていく。

「山田くん、話があります。放課後職員室に来なさい」

「な、なんで俺が……」

漫画だと効果音にガックリってなってるぞ。そんな俺の横で布団はニコニコしていた。

 その後俺は職員室に呼び出され、布団とはどんな関係か、布団が言っていたことは本当か? と

質問攻めだった。そして布団は女子寮に部屋を構え、俺は元の生活に戻るのだった。

「とりあえず布団買いに行こ。」



 放課後、俺は「お値段以上」で有名な大型ホームセンターの前に立っていた。

「布団って高いんだよな……」

痛い出費だぜ。

「いらっしゃいませ~」

「……簡単な敷布団で済ませてしまおう」

視界の横にはどこか見覚えのある少女が座っていた。全体てきにふんわりとした……

「あ、あれは……」

布団ちゃん? いや、よく見ると違う。髪は赤っぽくピンクとも言える色で。髪も腰ほどまである。目は半開きで漫画に出てくる無口キャラのようだった。別人、いや、別布団か……

布団が擬人化したのってうちだけじゃなかったのか……

 巻き込まれると面倒だしバレてないうちに……

「!?」

今、絶対目があったぞ。

 自然と早足になる。

……ぽすっ

「ひっ!」

誰かが俺の背中に寄りかかる。

「見えてるの?」

「幽霊かっ」

ま、まずいついツッコんでしまった。

「見えてるんでしょ?」

知らん知らん。俺はお前なんぞ知らんぞ。

「んー」

すると彼女は目を瞑って顔を近づけてくる。

「なっ、お前何やって……」

彼女は人差し指を俺の唇に当てる。

「ママーあの人へんだよ~」

「こらっ見ちゃダメっ」

顔が熱くなる。みんな布団のことは見えるのになんでコイツのことは見えないんだ……。

「まだ続ける?」

両手を後ろで組み小悪魔のようなポーズを取るが、そう無表情だとなんか違うんだよなぁってなる。

「わかったよ。買えばいいんだろ、買えば」

「まいどあり」

結局俺はコイツを選ぶことになってしまった。布団については本当運ないな、俺。

 会計を済ませ店を後にする。

「そういえばお前名前なんて言うの?」

「名前……特に決まっていない。必要なら付けるといい」

「お前なぁ……」

「?」

何か? みたいな視線を向けてくる

「いや、なんでもないよ」

 そうだな、急に名前とか言われてもなぁ

「俺の名前からとってひかり、とかどうだ?」

「安直……」

「ははは……だめか?」

「まぁ、許す」

ひかりはなぜか上機嫌だった。

「……ひかり。いい名前だ」

声が小さくて後半何言ってるかよくわからん。

「? 何か言ったか?」

ひかりは首を左右に振り

「何でもない」

と答える。

寮まではそんなにかかることはなく、ひかりと他愛のない話しをしていたらすぐ到着した。

「じゃあそこらへんに座っててくれ」

「光太の膝の上がいい。」

ひかりは服の袖を引っ張る。

「何、馬鹿なこと言ってんだよ」

「こう言えば世の中の殿方は色んな場所が喜ぶと聞いた。」

「……誰から聞いたんだそんな話」

ひかりは俺の腕を強く引っ張る。

「ちょ、そんな強く引っ張ったら……うわぁあぁ!」

俺は体勢をくずしひかりを押し倒すように倒れる。

 目を開けると、俺の唇とひかりの唇は重なっていた。

「!?」

どこうともしたがひかりが腕を首に回し動けないようにしてくる。

いったいどれだけ時間が経ったのか? それとも数秒しか経ってないのか。

 ガチャッ

「遊びに来ましたよ~ご主人!」

ドサっ

カバンを落とし制服姿の布団が硬直して立っていた。

 俺はひかりから無理やり体を離す。

「ななななななななななにしてるんですか!?」

「ち、違う! こ、これは……」

「ばかぁあぁぁあぁぁあぁあぁああ!!!」











 今回はコメディ要素が少なかったです。

 最近まくらカバーを変えました。枕って頭を乗せるのではなく肩まで乗せるんですね。

どうりで肩こるわけだ。

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