第一話 はじめまして、布団ちゃん
どうも、存在感0です。
初投稿です。
文章としても作品としても至らないところが多いですが、
一人にでも多く楽しんでいただけるとうれしいです。
冬の朝、起きなきゃいけなくてもどーーーしても起きられない今日この頃。
冬の布団はマジで強敵。一度少し横になるだけ、と入ってしまったのなら次に目を開けると朝になっているという
ドラ○エかよ! とか突っ込みたくなる仕様。
そんな布団と俺、山田 光太は今日も戦い、敗れ夢の中であった。
アラームの音が部屋に響き渡る。
布団から手だけを伸ばして、アラームを止める。
「……は!? もうこんな時間。走っても間に合わねぇ! くそ、少し横になるだけのつもりだったのに……!!」
優勝一歩前で負けた運動部のようなリアクションをとる。
しょうがない、学校の準備をしよう……。
こういうときってなんかテンション下がるんだよなぁ。
毛布をどけ、着替えようとし、……。
「さ、さむっ!」
な、なんだ!? 俺の寝ている間に地球は氷河期に突入したのか?
……………………なわけないか。
しょ、しょうがない。まだ時間があるしあと少しだけ。ほんとちょっとだけ横になろう。
確実に遅刻への破滅ルートだと分かっていても吸い寄せられるように布団にかららだが向く。
……もぞもぞ。
どうやら俺は寝ぼけているようだ、布団が動いた気がするんだが……。
……もぞもぞもぞ。
た、確かに動いとるぅ……てか、寝相悪すぎだろコイツ。
おかしい、ここは学校の男子寮で、この部屋には俺しかいないはずなんだが……。
ど、どうせ友達の土屋とかだろう。あいつ隣の部屋なのに俺の部屋で寝やがるからな。自分に言い聞ながら正体を暴くことにする。
「い、いくぞ? せ、せーのっ」
布団を意気よい良くめくる。
ふとんがふっとんだ
断じてダジャレではないぞ。
おいそこ、無理に笑うな、死にたくなる。
「うぅ、さむっ」
もぞもぞの正体が寒がっている。
……お前もか。
「こ、これは?」
一歩下がり、硬直する。よくあるオーバーリアクションだ。
べつにリアクションのレパートリーがないわけではない。
だけどこんなものを目撃したら誰でもこんな反応になるはずだ。
なんとそこには雪を連想させる艶やかな髪(寝癖のついたセミロング)に純白の服を着用し(服といってもパジャマだが)、おまえ外出たことないだろってレベルで肌の白いふんわりとした印象の美少女が寝ていた。
ここ男子寮なんですけども? 不法侵入ですよ? 犯罪ですよ? でも可愛いから許す。
太陽の光が窓から部屋にさし、美少女の格好がしっかりと見えてくる。
寝ている間に服がはだけたのだろう、ところどころパジャマの間から肌が顔をのぞかせていた。
なにしろはだけが多すぎず、ベストな露出をしているところにエロスを感じる。
な、なんてえろいかっこしてるんだ……! 健全な童貞男子にはきついものがあるぞ、これ。
「てか、だれ⁉」
美少女が目をこすりながら上体をおこす。いろいろ見えてるぞ、おい。
「あ、ご主人もう朝ですか?」
「???」
頭の上に無数の?が出現する。
聞き違えでなければご主人と聞こえたのだが……
こんなエロかわいいメイド雇った覚えはないのだが?
自慢じゃないがこんな美少女とは話したことすらないぞ、おれ。
「ご主人? おれが?」
再度確認する。
「はい! 紹介しましょう! ご主人様を温めるために生まれてきた……私の名前は」
この間に緊張を覚え、生唾を飲む。
「……名前は?」
何だこの間は、早くしてくれ。
優勝発表を思わせるな……。
美少女の口が開く。
「布団ちゃんです‼ 情けないご主人様のために人になった次第でございます!」
「は?」
自分でも驚くくらい間抜けな声が出た。
つまり、俺の布団が擬人化、人化したってことか?
そんなエロ漫画みたいなことがあってたまるか。
てかさりげなくディスってんじゃねぇよ……ひとに言われるほど情けなくねぇよ。
「あ~、ありえないって顔してますね」
頬を膨らまし、リスのようになる。
「あたりまえだ」
布団がこんなエロくてたまるか。
じゃあ証拠として といながら彼女、自称布団ちゃんはベットの下を探り始めた。
「な、おまえ何故それを⁉」
彼女の手にはベッドの下に隠していた世間一般では薄い本と呼ばれる本が数冊おさまっていた。
「ふっふっふ、これで信じてくれましたか? ……ご主人、マニアック」
「かってにみてるんじゃねぇ‼」
自分から読んどいてひくなよ! 傷ついちゃうだろ!
布団ちゃんの手から強引に本を奪い取る。
「へくちゅっ」
なんだこいつ、くしゃみむっちゃかわいいな……じゃねぇよ。なんてことしてくれたんだ。くそ、完璧に隠せてると思ったのに……。
「さむいですねぇ」
「まぁ冬だしな」
人間って順応能力高いよなって思う。
布団はなにか悪いことを思いついた子どものようにニヤッとする。
彼女は神に願うように手を合わせ甘い声と上目遣いでこういった。
「ご主人、布団のこと……あっためて?」
ぐふぅ。銃で撃たれた人のように胸を押さえる。それは童貞男子には刺激が強すぎではないか!? なにか大切なものが音を立てて壊れた気がするぞ。
くそ。これが噂に聞く石化魔法か……。
「ご主人、急に中腰になってどうしたんですか?」
おまえがかけた石化魔法だろうが!。
「ひょっとして……布団に発情しちゃったんですかぁ~?」
口を手で押さえ、ぷぷっと笑ってくる。
「てめぇ……」
股間を両手でおさえ、涙が滲む。
「いじめかっっっ」
寮内に悲痛な叫びが響いた。
――これが俺と布団の出会いである。
読んでくださってありがとうございましたm(__)m
寒くなってきてとうとう冬到来って感じですね。
作者は毎朝毎晩布団と死闘を繰り広げております(笑)
作者んちの布団はこんなに可愛くなく隙あらば命を狙ってきます。
休む暇もありません(笑)
コメントお願いします。作者のやる気になります
よかったら次も見に来てください。
それではまた次の話で会いましょうノシ