学校
「はぁ、今日から学校か」
翔太がため息をつく。
すると、隣を歩いている唯が翔太に
「仕方ないですよ。私と翔太さんは能力はありますけど頭はとても悪いんですから」
と言ってくる。
「唯は前のテスト、学年で何位だったんだ?」
翔太は、今朝、いろいろあって、唯のことを唯と呼ぶようになっていた。
「最下位です」
「・・・・・・は?」
翔太は驚きで変な声になる。
「最下位です」
「聞こえなかった訳じゃないんだけど・・・・マジで?」
「マジです」
唯が真面目な顔で答える。
「よくそんな成績でこの高校に転校してこれたね」
「まぁ、理事長の力ですよ」
「デスヨネー」
そんな話をしている間に学校に着く。
「じゃあ、私はあっちなので」
「ああ、きちんと勉強して来いよー」
と翔太が呼ぶと
「分かってますよ!!」
と怒ったような声がかえってきた。
€€€€€€
「おい、おいってば! そろそろ起きろよ転校生。もうお昼だぞ?」
突然、そんな声をかけられて、黒崎 翔太は、目を覚ました。
すると彼の肩を1人の男子が揺らしていた。
茶色っぽい髪に、平均的な身長。どこにでもいるような普通の男子だ。
翔太はその男子を見て、
「えっと・・・・誰?」
そう聞くと、その男子は笑って
「同じクラスの、青井 小次郎だ。よろしくな転校生」
と、言ってくる。
「あ・・・ああよろしくな」
「それで、お昼一緒に食べないか?」
「悪い。今日弁当を持ってきていないんだ」
「大丈夫だ」
小次郎は持っていたパンを翔太に渡す。
「いいのか?」
「ああ、自分のもあるからな」
「ありがとな」
パンを受け取る。
€€€€€€
翔太と小次郎がお昼を食べていると、後ろの席から、がたんという音が聞こえる。
翔太は振り向く、そこに居たのは、鮮やかな青色の髪に、無表情で何を考えているのかわからない、人形のように綺麗な少女だった。
「誰?」
翔太は小次郎に尋ねる。
「水原 亜紀。この学校で知らない人間はいないほどの有名人だぜ」
水原と呼ばれた少女は携帯を見て教室を駆け出して行った。
「どこに行くんだろう?」
「たまにこんな事があるんだ」
「こんなこと?」
「携帯を見て慌てて教室を出て行くことだよ。俺も何度か追いかけてみたけど全部姿を見失って諦めたんだ」
そんな話をしていると、屋上から変な魔力を感じる。
「悪い、ちょっとトイレに行ってくる」
と小次郎に嘘を言って翔太は屋上に向かう。
ーなんだこの魔力は?まさか<神人>か ー
翔太は走りながら<魔滅死>を学校全体にかける。
「これで学校には、被害がいかないはずだ」
階段を上りきり屋上の扉を開けようとするが、少し躊躇う。自分1人だけでなんとかなるのか、2人を呼んだほうがいいのではないかと思ったからだ。
だが、迷いながらゆっくりと扉を開ける。
するとそこに居たのは、軍服のような真っ黒の服を着ている水原だった。