黒崎 翔太
「あぶなかったー」
少年は右手にスーパーの袋を持って安堵していた。
「まさか最後の1パックしかたまごが残っていないなんて」
「おい!」
不意に後ろから声をかけられる。振り返ると黒スーツの男が立っている。
「お前が黒崎 翔太か?」
「そうだけど、何か用?」
男は翔太が応えたと同時に翔太に殴りかかってくる。
(遅い)
そのパンチを左手で止め、男を蹴り飛ばす。
「俺に何の用だよ。人に恨まれるような事はしてないと思うんだけど。」
男は翔太の問いに反応せず再び殴りかかってくる。だが、その速さはさっきの数倍速い。
(速い! でも)
翔太は両手を交差して防ぐ。
だが防いだ腕からバキッと何かが割れる音がする。たまごだ。
「俺に殴りかかるだけならともかく、せっかく贅沢して買ったたまごを割るなんて、お前は絶対に許さない!」
翔太からとてつもない殺気が放たれる。
男は後ろに跳びのき、手のひらから光りの弾を放つ。が、翔太はその攻撃に向かって駆け出す。翔太に魔力弾が当たる。
「殺ったか?」
男は呟く
「残念でした。俺にはそんな攻撃は効かないよ」
そう言って翔太は男を殴り飛ばす。
翔太の能力『魔滅死』は自分に触れた特別な力を消す能力なのだ。
「さてお前にこんなことを命令したのは誰なんだ?」
翔太は男に問いかける。だが男は答えない。
「仕方ない学園に連れて行くか」
翔太が学園に電話をするために携帯を取り出す。
その瞬間男は懐から何かが書かれているカードを取り出し翔太の足元に投げつける。
「しまった!」
カードを中心に周囲の空間が光り出す。
そして翔太の意識は途切れてしまった。