月桂樹は裏切りをさす
終章
琉惟と男爵の連携により、出口を割出し、体力派の武斗と健治、そして自分の妻である香月を背負った麻斗が、施設工事の為に造られた通路から出た。
地上に出る頃には夜明けになっていて、そこから近い病院に駆け込んだ。
昼にはあの村が山火事になっていることを知った。
あまり深くは追及されなかったが、通っていた電気の漏電による多発火災と報じられた。
それから一か月。
香月を含めた三人の身柄は、守の血液検査をした病院に運ばれて、金糸雀組の適合者である河本龍介が、医師と解毒薬の治療で成果を上げている。
麻斗は仕事にも無事復帰し、守も幼稚園に通っている。
福寿草の黄色い花を持って、麻斗は守の手を引いて病院の個室のドアをノックした。
「あっ、麻斗さん、守。 来てくれたの?」
ピンクの毛糸を棒編みで編んでいるベッド上の香月が微笑む。
「お母さん、元気?」
香月が帰って来たとき、ぐったりしていたのを見て、顔を青くした守も、香月が元気になるにつれて、平穏を取り戻した。
あの上織村のことは、政府の高官に硬く口止めされ、琉惟自身も職場の上司に、記録を提出した。
闇に葬られた事件だが、結局、椎野は見つからなかった。
しかしことがことだけに、警察庁は極秘捜査を行うことを権利として聞かされた。
家族の安全も政府が責任を持ってくれるそうだ。
「それ靴下か?」
ピンクの小さい編みかけのソックスに、香月が頷く。
「ええ、新しい女の子のね。生まれるのは夏ごろだけど来年の冬用にね」
今回の事で麻斗は改めて家族の大切さを知った。
香月と守、そして新しい家族の幸せはもう奪わせない。
麻斗は二人の笑みを見て固く決意した。
終わり
もしこのストーリーを最後まで、読んでくださった方。
ありがとうございます。
いろいろ至らないところもあったと思いますが、また、別の作品で会えたらとも思います。
以上作者よりでした。




