学校にて
学校での前半の時間はここに通っている下の年齢の子の先生となる。残りの時間が自分の受験勉強の時間になる。
私がいつものように昔に習った内容を子供たちに教えている間、王子様は校長室で学力試験をしていた。お父様が推薦する彼がどのぐらいできるのか・・・時計ばかり気になり授業は散々だった。
騒がしい子供たちを下校させてから宿題に出した計算の確認をした。きちんと正確な子もいれば、その逆もいる。一人一人の進度に合わせて明日出す宿題をそれぞれに選ぶ。結構大変な作業で、私と同じ立場にいる人たちはこんなに丁寧に授業を進めていないので「まめだね」とか「無駄だよ」と言われる。でも授業を進めるうちにこのスタイルになって、今ややめられない状況にある。最後に日誌に記録する。細々しているが、私、結構この仕事は好きだ。
深呼吸をする。
もうそろそろ結果が出る時間だろう。
周りに人がいないことを確認して校長室の扉にそーっと耳をつけた。何かが聞こえる。もそもそ何かが話している。この口調、もしかして怒られているのか。口元が緩んでいる自分を感じる。とにかく聞かないといけない。集中力に関しては自信がある。耳がんばれ。
「カナ。入りなさい」
聞こえたのはその言葉。まずい、ばれていたか。あまりに突然だったので身体が固まる。校長先生が扉を開けてもその姿勢は変わらないほどガチガチになっていた。
中には級友がすでに3人うつむいていた。
そして校長先生の机の前にはにこやかな王子様がたっている。
級友3人の横に促され、私もおなじようにうつむく。
これ傍から見たらおもしろい光景よね。
校長先生は試験用紙であろう紙を確認し、王子様に近づく。
「シャルはカナの家に下宿しているのね。なるほど。この時期のしかも17才の子の入学はふつう嫌なものだけど、さすがに村長が見込んでいるだけあるわ」
校長先生は王子様に握手を求めた。
「あなたが来てくれて、うれしいわ。シャル。歓迎します」
いつもムッツリしている校長先生が珍しく歓迎した。
え~~~なにそれ。顔を振り上げ、握手している二人を凝視した。私のときは校長先生そんなことしてくれなかった。かみしめた唇が悲鳴をあげている。いけない冷静にならなくては、落ち着くの。
「あなたたちもシャルのことをお願いね。シャル、これは許可書です。村長に渡して記名して明日までに持ってきなさい。なにか質問はありますか。今日はもう帰る時間です。無ければ下校しなさい」
質問があっても質問できないぐらい早口で出るように促した。




