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朝まで悩んだ結論、無視する、は即効無駄になった。


使い古した白シャツと茶色のベストとズボンなのに・・・着る人が着るとさまになるのね。まるで王子さまだわ。思わず見とれてしまった。


「カナーディア様。おはようございます」


にこやかにほほえむ王子さま。私の気分は重くなる。私のために、てきぱき働く王子様。

温かい豆スープ。ふっくらパン。いつもの朝食がまぶしい。

「飲み物はいかがしますか?」

食卓の上、王子様が用意してくれたナフキンを右手でぐちゃとつかみ「水」と悪魔のような声色をだしてしまった。無視する予定だったのに・・・王子様はそんな態度を気にすることもなく、食器棚へ向かい「奥様。カナーディア様のコップはこちらでよろしいですか」と聞いてる、


お母さんは満面笑顔で「そうよ。シャル。ありがとうね~」と、私のお弁当を作りながらルンルンしている。そうよね気持ちのいい人は周りも明るくするのよね。私には無い才能だわ。比較しても仕方ないのに自分の態度の悪さにうんざりした。


前に差し出されたコップの水はゆるやかに揺れて止まる。私の心と正反対だ。



水を終わった後にお母さんから「カナ。あなたの気持ちは分かるけど、今日だけはシャルを学校まで案内してあげてね」お弁当と一緒に渡された言葉にげんなりした。身支度を整えて玄関に行くと、私を待っていた王子様がコートを渡しながら微笑む。やはり連れて行くのか・・・


「こっちきて」私はため息をつきながら案内を開始した。「私たちの学校はこの道をまっすぐいくの。30分ぐらいね。わかった?」

王子様はうなずく。カナーディアの速さにあわせて、黙って歩く。王子様の濃い色の古びたマントは歩くたびに緩やかな波をつくる。


学校は昔やはり村長だったご先祖様が建てたものだから、うちから近い。


大抵の生徒が働くために15才で勉強を終わらせる。それ以上の勉強がしたいという子は大学に行く。しかし大学入学には身分による制限がある。昔、身分の差で隔てられた人々は不満を抱き抗議をした。そこで当時のザール公爵は優秀な人材を獲得するためと民衆の不満をなくすために、18才までに関してはその所属している学校の推薦により受験できるようにした。その時に建てられたのがこの学校だ。

現在も近隣の町村の子弟が大学に進学するためにわざわざこんな田舎まで通学している。


そして目指す大学試験にもいくつかあるが、その中でも飛びぬけているのが王都の大学だ。

しかし二年に一度しかこの村立中学校からの受験は認められていない。

王都に行くのは、私の夢だ。


でもお父様はこの人を行かせようとしている。


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