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出会い

なんで!


通称・風の国といわれるザール公国の片田舎。私は最近見つけた秘密の隠れ場所、ひまわりの中に逃げ込んだ。


こんな田舎の学校で私が首席から陥落するなんてありえない。


私は今日返され、くちゃくちゃに丸めた成績表を丁寧に広げた。何度見てもかわらない58人中の2番目だ。あいつに負けたんだ。その結論が頭の中に表れたとき、目から怒涛のように涙があふれた。

身体を丸め座り込み、スカートで涙をふきとる。





半年前、村長の父が連れ帰った青年。

今まで見たことない、目を見張る程きれいな青年。母と私、男である弟さえも言葉を失った。

私に父は言った。

「お前より2才だけ上だ。年が近い。仲良くやってくれ。彼はシャルークリフという。今年の村の代表として、王都へ行かせるつもりだ」

村の代表。私は耳を疑った。

「王都って・・・。私が行きたいってこと、知ってるでしょう」

父は私を哀れむかのようにため息をついた。

「いや、シャルを推薦する」

お父様の本気を感じ、鼓動が大きくなる。

「なぜその人なの。わたし今年15才になったから王都の役人になるための学校に入って勉強したいって、お父様に何度も私、言っていたわ。なぜ他の人を推薦するようなことを言うの?」


本で読んだ王都でもっと広い世界を知りたい、知らないものを学びたい。ほんの数日前にお父様はニコニコしながら、推薦するには学校で村一番の成績じゃないとな、って言っていたじゃない。確かに私の夢を語るとき、お父様がだんだんと苦い顔になるのは承知していたけど・・・


お父様は私を無視してお母様に部屋を用意するように指示した。

お母様は私をチラリとみて、まだ部屋にいたいとごねる弟と部屋からでた。

三人になった部屋の中で、青年は私の前で優雅にひざまずき

「シャルークリフです。シャルとおよびください。カナーディア様」

自然な動作。色素の薄い金の髪を持つ青年に絵本の王子さまを重ねてしまった。怒りも忘れた。

返事のない私を不思議に感じたのか、青年は透き通る緑の瞳で見上げた。


目が合った時、危ないと感じた。思わず叫んだ。今までこんな悲鳴をあげたことはない。自分の出した声に驚き、居間からとびでて自分の部屋に逃げた。

安楽の場所の部屋には弟が私の許可もなくベットの上で横たわり私を待っていた。私の勢いに驚きながらも「すっげーきれいな兄ちゃんだったな」としつこく言うのでうっとうしかった。



私は納得がいかず、これからお父様と青年を無視することに決めた。












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