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dance×××

作者: 水銀

その靴を履いた少女はね

ずっとずっと踊っていたのよ


その靴が脱げなかったからですって

本当かしら


大好きな真っ赤なお靴

おばあ様に買って貰った綺麗な靴

いつも履いていたらね

まるで体の一部のようになったのよ


教会へも市場にも

履いていったわ、だって私には

この靴しか無かったのだから。


あるとき門番が注意したわ

あまりそれに執着するのはやめなさい


聞かないわそんなもの

私の靴は、私のものだもの。


またあるとき、門番が言ったわ

決して離れてはいけないよ


そうしたらもう、靴が貼り付いてね

足から離れなくなってしまったの


そして私の足を勝手に踊らせて

踊らせて人を傷つけてぶつかって転げて

あんなに輝いていた過去から

どんどんどんどん遠ざかっていった


あんなに幸せだった頃は

こんな風に踊り疲れてなんていなかったのに

私の足は休まずにステップを踏み、

跳ね、何かを探すように

森を抜けていった


そうしたら木こりのおじさん

気味が悪いと私に吐き捨てた

嗚呼待ってください

あなたのその鎌で

私の足を切り落として


唖然とする木こりの前に

舞狂う私の素敵な赤い靴


顔を歪める木こりは切り落とした

鮮血に濡れる赤い靴は

私の足を連れて

また森へ帰っていった


ありがとうございます

もうこれで歩けないけれど

踊らなくていいことが幸せで


辺りに散るのは私の血

その色は、赤

とても、綺麗な



そこで私は知った

その踊りの意味と

赤い靴が何を繋ぎ

何を探していたのか。


もう関係のないことだけれど

私の頬には

一筋の涙が伝っていた




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