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召喚勇者は現実主義者?  作者: まあ
第2章 ギルド登録?……テンプレなど都合よく存在しません。
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第1話

「……ミルド様、良いんですか?」

「何がだい?」


 ミルドの案内でギルドに向かう事になったのだが、貴族であるはずのミルドは護衛を連れ歩く事無く平民と同じ格好をし、平然と王都の中を歩いており、この状況を理解できない冬季は眉間にしわを寄せるが、当の本人に気にしている様子はない。


「ミルド様って、一応は貴族だろ。良いのかよ?」

「そう言う事なら、気にする必要はないよ。一応は王は自分の身を守るために王都を強固な塀で固め、兵士を配置している獣も魔族も簡単に近づいてはこないさ」

「いや、貴族が護衛も付けずに街中を歩く事に問題があるって言ってるんだけど」


 あっけらかんとした様子で王都内は安全だと言うミルド。

 しかし、冬季が心配しているのはそんな事ではない。

 彼が現実世界でよく目にしていた物語やゲームのようなファンタジーと言われる世界では貴族同士の足の引っ張り合いは多々あり、スキを見せれば殺されてしまう事も心配されるためか、自分の後ろ盾でもあるミルドに危険が及ぶ事は避けたいのが本音である。


「護衛は勇者の君がいるから問題ないよ」

「あのな。何度も言うけど、俺は今のところ、戦う術なんて持ってないぞ。今日だって、訓練所で兵士達にボコボコにされたんだからな」


 ミルドは護衛は冬季が居れば、充分だと笑うが、冬季の戦闘訓練は上手く行っていないようであり、冬季は大きく肩を落とす。


「その割には元気だね」

「この世界にはない。回復魔法の使い手なんでね。まったく、回復魔法が使えるってわかったら、大変なんだぞ。ボコボコにされても、直ぐに『回復して、訓練だ』だからな。人権無視だ。元の世界なら、訴えて、勝訴だぞ」

「よくわからないけど、一応は戦闘訓練は君が望んだ事だろう?」

「そうだけどな……こう言う時は可愛い女の子が治療してくれたりするんじゃないかよ。他には目を覚ますとベッドの上で、美人の女医さんや看護師さんが心配そうに顔を覗き込んでいるとかだろ。何が悲しくて、自分でケガを直すんだよ」


 戦闘訓練は散々だったと言う冬季。

 しかし、彼の姿からは戦闘訓練でキズをおった様子はなく、ミルドは首を傾げると冬季は自分で自分のキズを治療するのが納得できないようで不満そうに口をとがらせている。


「何を言っているんだい?」

「あー、気にしないでくれ。男には男のロマンって、ヤツがあるんだよ。だけど、この世界には王の嫌がらせなのかそれが存在していない事にどこか絶望しているだけだ。メイドもレミさんはおばさんだし、確かに優秀な人だけど、もう少し、夢を持たせて欲しかった」

「よくわからないね」


 冬季はクレメイアに来て10日近く経っても、勇者にも関わらず、美味しい目に合っていない事もあるのか、文句をぶつぶつと言っており、冬季が言いたい事のわからないミルドは首を傾げるしかない。


「別に良いんだよ。言ってもきっとわからないし、それより、本当にギルドって名前になったんですか?」

「あぁ、君からギルドと言う名を聞いてさ。所属するメンバーに話をしてみたら、異世界の言葉と言う事もあって、みんな、興味を持って満場一致で決まったよ」

「そうですか?」


 冬季は言っても伝わらないもどかしさに話を切ると、目的の場所がゲームやマンガで良く使われるものになっている事に違和感しかないようで首を傾げる。

 これから会う人間達は余程、ノリが良いのか異世界の言葉と言うだけで賛成してしまったようであり、冬季はノリだけで決めて良いのかと思いながらも、聞き慣れている名前の方が自分にも居心地が良いのではないかと思ってしまったようでそれ以上は何も言う事はない。


「まぁ、そんなこんなで到着だよ」

「ここですか? 酒場みたいな。感じかな?」

「元々、店主が亡くなった酒場を買い取って作った集まりだからね。イメージと違うかな?」

「いや、こんな感じですね。少なくとも俺の知識の中では」


 その時、目的の場所まで到着したようで、ミルドは立ち止まり、目の前の建物を指差す。

 その建物は冬季の知識の中にあるギルドと言われる物を連想するにはぴったりであり、冬季は呆気に取られながらもその建物を見上げる。



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