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召喚勇者は現実主義者?  作者: まあ
第1章 勇者の旅立ち……いいえ、旅立ちません。
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第3話

 とりあえず、わかった事をまとめようか? こう言う時は俺だけしか読めない字があるって言うのは便利だな。しかし、日が昇らない世界って言うのはなんか気分が鬱屈とするよな?


 冬季がこの世界に召喚され、彼の感覚で1週間が過ぎた頃、冬季は自分の部屋で状況を整理するために紙とペンを手に取る。

 1週間で理解した事は、この世界の名前は『クレメイア』と呼ばれる世界であり、冬季を保護した王国の名前は『グリッツ』と言う名であった。

 彼を召喚したであろう精霊様と言うものの恩恵を受けた世界であり、精霊様が突如として現れた魔王の手に落ちてしまったため、クレメイアは闇に包まれたと言う。

 その日から、太陽と同等のものは、顔を出さなくなり、暗闇の中で人々は生活をしている。植物などは太陽の光を浴びなくとも、大地に残っている精霊様の力を吸い上げ、成長する事は可能のようだが、大地に残っている精霊様の力がいつまで残っているかは誰もわからない。


 ……精霊様って言うのが魔王に捕まっているって事は最悪、魔王と本気で殺し合いをしないといけないって事か?


 冬季は自分を呼び出した張本人である精霊様に会い、元の世界に戻る方法のみの求めているため、魔王との殺し合いなどまっぴらごめんだと言いたげにため息を吐く。


 殺し合いするにしたってな……まったく、召喚されたんだぞ。勇者なんだぞ。それなのにこの低スペックは何なんだ? 普通はチートとか言う『俺、最強、カッコイイ』くらいの能力があっても良いじゃないかよ。


 冬季は初めて持った剣で、戦闘訓練も行ったが、今まで経験もない冬季は訓練に付き合ってくれる兵士と互角に戦う事など当然、できるわけがなく、自分の弱さにこの先、生きていけるのか不安になったようで眉間にしわを寄せる。


 ……まぁ、そんな勇者を召喚できるなら、異世界の人間に助けなんか求めないわな。ただ、これは異世界の人間だからなのか、多少、同じような体格の人間より、力が強いって事、後は何故か、この世界の文字の読み書きが実はできた事、流石にこれがなければ、世界を救う旅に出る以前の問題だからな。本当に良かったよ。まぁ、文字が書けるとなると追い出される可能性があるから、まだ、秘密にしておくけどな。


 自分が低スペックである事を理解した上で、この先、生き残るために自分のクレメイアにおける長所をかきだす。

 戦闘訓練では、兵士達の動きにはついて行けないものの、冬季の力はこの世界の人間より、強いようで攻撃の破壊力は長所だと思ったようで紙に記す。

 文字も王が用意してくれた文官に教わったのだが、冬季自身も理由がわからないが文字の読み書きは行えた。この世界での最低限の生きる能力は備わっていた事は重要であり、できなければ、グリッツを出て行かないと宣言した事もあり、今のところは誰にも話してはいない。


 ……そして、最大の利点は回復魔法。と言うか、回復魔法って、確かに重要な魔法だけど、ゲームとかじゃ、僧侶とか神官とかの魔法だろ。勇者っぽくないよな。まぁ、これはこの世界の人間には使えない魔法らしいけど、回復魔法が使えるなら、俺を守るために命をかける脳筋バカの騎士でも引きつれて、延々と回復魔法を使っていれば良いんじゃないのか? その方が安全だし。


 冬季のみが使える魔法と言う事で優越感を覚えるものの、どこかで、強力な攻撃魔法へのあこがれはあるようで、残念そうに肩を落とした後、自分を守るための盾が必要だと思ったようで紙に盾と記す。

 その考えは勇者と呼ばれるべき人間の考えには程遠いが、自分の身の安全しか考えていない冬季にとっては当たり前の考えである。


「……失礼します。冬季様、ミルド様がお呼びです」

「は、はい」


 その時、部屋のドアをレミがノックする。冬季は誰にも読まれない文字ではあるが、昔からの習性なのか、慌てて、書いていた物を隠すとドアを開けた。

 レミは冬季の姿に1度、頭を下げるが、冬季は悪さをしていた子供の心境なのかバツが悪そうな表情をする。


「冬季様、どうかしましたか?」

「な、何でもありません!? あ、あれです。様付けされるのがなれないんで、ちょっと、慌ててしまっただけです」

「そうですか」

「は、はい。だから、冬季で良いです」


 冬季の表情に首を傾げるレミ。冬季は誤魔化す必要などないのに全力で何もなかったと言うとレミの冬季に対する呼び方になれないと主張するが、その様子は明らかにおかしい。


「いえ、冬季様は世界を救ってくれるお方ですので、それはできません。ただでさえ、お名前でお呼びするのもご無礼ですのに」

「そ、そうですか?」


 レミは冬季の様子に何か感じてはいても表情に出す事はなく、冬季の主張を否定し、冬季はメイドとしての仕事を全うするレミの様子に苦笑いを浮かべる、


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