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召喚勇者は現実主義者?  作者: まあ
第3章 王都周辺探索? ……襲われるような迂闊な姫など存在しない。
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第21話

「それで、どうかしたんですか?」

「うん……冬季、私はこれでも君の依頼主であり、後見人なんだけど、この扱いは酷くないかな?」

「酷いも何も俺は食器を片づけてないと、きっと、ミリアさんに殺されます」


 ミリアはギルド員の女性数名に連れて行かれ、ミルドは冬季に話をしようとするが、冬季はミリアにサボらないようにと食器の洗浄や夕飯の下準備を押し付けられており、片手間でミルドの話を聞こうとしている。


「まぁ、仕方ないか? 確かにミリアは怒ると怖いからね」

「……怒らせてるの、俺じゃないんですけどね」


 ミルドはミリア冬季を怒鳴りつけている姿を目に浮かべたようで苦笑いを浮かべると、冬季は彼女に怒られているのはミルドにからかわれたり、ロッドに面倒事を押し付けられた結果であり、力なく笑う。


「それで、どうしたんですか?」

「一応、報告しておこうかな? と思ってさ。それに冬季はミリアと1セットみたいだからね」

「……それ、ロッドさんが言いましたよね」


 ミルドはロッドやレイからの報告でまとめた物を冬季の耳に入れておこうと思ったようであるが、冬季をからかう事は忘れてなく、冬季は大きく肩を落とした。


「まあね。それに冬季の耳に入れておきたい理由は、これ」

「これ? ……確かに一気に戦力を片付けるなら、毒を盛るのは有効ですよね」


 ミルドは冬季の洗っている食器を指差すと、冬季は彼の言いたい事が理解できたようで眉間にしわを寄せる。


「やっぱり、冬季は頭の回転が速いよね。すぐにその考えが浮かぶなんて」

「そうでもないですよ。そう言う物を知識として知っているだけです」

「あれかい? ゲームやマンガってやつかい?」

「そうです。実際、そんな事になった事はないから、ミルドさんに言われるまで頭になかったです」


 ミルドは直ぐに自分の考えを理解した冬季の様子に感心したように頷くが、冬季は重大な事を押し付けられた事もあり、乱暴に頭をかいた。


「……下手したら、俺が見落としたせいで、ギルド員、全滅もあり得るって事ですよね?」

「そうだね。男性は殺されて、女性は売られて、私は身代金を要求された後に殺されるって言ったところかな?」

「……それ、笑いながら言う事じゃないですよね?」


 ミルドは笑顔で、最悪の結末を話すが、その言葉は冬季にとっては笑い事ではなく、彼の顔は引きつり、血の気まで引いて行っている。


「まぁ、なんだかんだ。良いながら、みんな最悪のシナリオって言うのはそれぞれ考えているからね。最悪にならないようにするのが、君の仕事、警戒するべき人に心当たりもあるだろう?」

「それは……でも、あの2人とは限らないですよね?」


 冬季はミルドの言葉が先ほど、林の中で見かけた2人組を指している事は理解できたようだが、野盗と内通している者が2人だけとは限らない事もあり、眉間にしわを寄せる。


「一先ずは、食事当番を手伝うって言ってきた人は警戒して、食事の味付けはミリアが主だから問題はないと思うけど、彼女が鍋のそばから離れる時は要注意。こっちでも警戒はしておくけど、ミリア以外なら、冬季が適任だろ?」

「確かに今の段階では適任なのかも知れないですけど……最初にこの位置にロッドさんを配置しておけば、何も問題なかったんじゃないですか?」

「それは結果論」

「そうですけど」


 ミルドは冬季の肩を叩き、周囲への警戒をするように指示を出すが、冬季は下手をすれば、自分1人にギルド員全ての命がかかっているため、どうして良いのかわからないのか、大きく肩を落とした。


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