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召喚勇者は現実主義者?  作者: まあ
第3章 王都周辺探索? ……襲われるような迂闊な姫など存在しない。
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第17話

「えーと……」

「はっきりしなさいよ。あの2人、行っちゃうわよ。悩んでいるなら、1人でいなさいよ。わたしは行くわよ」

「ま、待って、言うから待って」


 冬季はミリアに野盗の事を言うべきか言わないべきかを考え始め、その態度にミリアは冬季に見切りをつけようと思ったようで立ち上がり、2人を追いかけようとする。

 下手をすれば、ミリアが野盗に捕まってしまう事、最悪、殺されてしまう事も考えられるため、彼女の手を握り、引き止めた。


「それで? 何があるのよ?」

「俺達、朝に水浴びに行っただろ」

「そうね。女の子を放っておいて、言ってたわね」

「今は、その事は忘れて欲しいんだけど」


 どこから話すべきか、冬季は考え、水浴びの時に自分達を観察していた人間がいた事も話そうとするが、ミリアは自分が水浴びを後回しにされたのが気に入らないようで頬を膨らませる。


「そうね。今度は食事の下準備を冬季がやってくれるし、後で時間は取れるから、許してあげるわ」

「そうしてくれると助かるよ……って、それ、かなりの俺の負担になってるよね?」

「良いから、話しなさいよ。早くしないと行っちゃうわよ」


 冬季は村への滞在中に食事当番メインに任命されるのは納得がいかないが、ミリアに無視されるだけではなく、早く話すように促される。


「そうだね。水浴びをしている時にライさんが俺達を見ている人間がいるって言ってたんだ」

「それって……覗き?」

「いや、そうじゃなくてさ。野盗と内通している人間がいるんじゃないかって話」

「内通者? そんな人間がいるわけがないわ」


 察しの悪いミリアの様子に冬季はため息を吐くが、ミリアはギルド員に野盗と組んでいる人間はいないと言う。


「信じすぎるのもどうかと思うけど、それがあるから気になったんだよ。俺達の仕事はミルドさんの調査の護衛だろ。俺とミリアさんみたく、変な事になっていなければミルドさんの近くに控えているはずだろ。それなのにあの2人は林の中に入ってきている」

「だから、わたし達を探しにきてるんじゃないの?」

「それも考えられるけど、ミリアさんは街とかで誰かとはぐれた時にどうやって探す?」

「それは名前を呼んで? ……あれ?」


 冬季はあの2人が自分達を探しているように思えない理由があり、ミリアに人を探している時の捜索方法を聞く。

 ミリアはくだらない事を聞くなと言いたげにため息を吐くが、冬季の言いたい事がわかったようでその表情には驚きの色が現れる。


「そう。誰かを探しているなら、名前を呼ぶ。俺は新入りだし、面識がない人達も多いけど、ミリアさんは違うだろ」

「そうね……そう考えると怪しいわね。落ち着きもないように見えるし」


 1度、疑い始めると全て疑わしく思えてきたのか、ミリアは周囲を警戒しながら歩いている2人へと視線を向ける。


「どうしようか? ある程度の距離を取って追いかける? でも、それは危ないよね?」

「何を言ってるのよ。もし、裏切ってるようなら捕まえないと後々に困るでしょ」


 冬季は戦闘には自信がない事もあり、近付きたくないようだが、ミリアは裏切っている可能性があるなら、しかるべき処置をしないいけないと気合いを入れ始めている。


「いや、危ないって」

「2対2でしょ。戦う事になってもどうにかなるわよ。追いかけるわよ」

「あのね。野盗と接触する可能性の方が高いんだから、確実に不利だよって、話を聞いてよ!?」


 ミリアの頭の中ではすでに裏切り者を捕まえる事しか考えておらず、冬季は慎重に行こうと言おうとするが、既にミリアは動き出しており、息をひそめて2人組の後ろに回り込もうとしている。


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