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召喚勇者は現実主義者?  作者: まあ
第3章 王都周辺探索? ……襲われるような迂闊な姫など存在しない。
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第4話

「け、けつが痛い」


「ちょ、ちょっと、酷いね。街道の整備は提案しないといけないかな? まぁ、予算を出して貰えるかわからないけど」


 王都グリッツから馬車は走る。街道が整備されていると聞いていたため、冬季はそれなりに楽な移動ができると思っていたのだが、現実は甘くなく、街道は長年、使っていたためか、荒れており、進むたびに馬車は大きく揺れたり、地面から跳ねながら進んで行く。

 流石にミルドは長時間の乗車は無理と判断したようで、休憩を入れると冬季は腰をさすり、ミルドは苦笑いを浮かべている。


「だらしねぇな」

「だらしないと言われてもこればっかりはね」

「だいたい、車体が衝撃を吸収するように出来てないんだ。もう少し、考えてくれよ。車輪にゴム巻くとか、衝撃を吸収するのにサスを入れるとか」


 ライは2人の様子に苦笑いを浮かべるが、冬季やミルドだけではなく、馬車に乗り慣れていないギルド員達も腰をさすっている。

 冬季はミルドの馬車を覗き込み、衝撃を吸収できるようになっていないせいだとぶつぶつと文句を言う。


「冬季、何か言った?」

「別に何も言ってないですよ」


 冬季が馬車を覗き込んでいる様子に首を傾げるミルド。

 冬季は馬車に文句を言いたいものの、クレメイアが自分のいた世界とは違うため、無い物ねだりをしても仕方ないと思っているようで直ぐに首を横に振った。


「そうかい?」

「ミルド様、そろそろ、出発しないと日が暮れてしまいます」

「あぁ、そうだね」


 冬季に言葉を濁されて、若干、納得ができない様子のミルド。

 その時、馬車を運転している従者が、ミルドに再出発を提案し、ミルドは再出発をギルド員に伝えるとギルド員は渋りながらも馬車の中に乗り込んで行く。


「ミルドさん、今更ですけど、目的の場所って、遠いんですか?」

「あぁ、馬車で日が暮れる前に到着できるかって感じだね」

「日が暮れるって、言っても太陽が昇らないんだから、あまり変わらないんじゃないですか?」


 目的の場所はそれなりに距離があるが、精霊が魔王に捕えられてから、太陽が昇らない世界になっている事で、日が暮れるという事に納得がいかない冬季は首を傾げる。


「言いたい事はわかるよ。でもね。精霊様が魔王に捕らわれて日が昇らなくなっても、獣達や魔族の行動時間は変わらないんだ。私達だって、ある程度の時間で眠くなって休みにつく、だいたい、時間はいつも同じくらいの時間だろ?」

「確かに……体内時計は動いているって事なのか?」

「そう言う事で、夜行性の獣が動き出す時間を今も変わらず、夜と言ってるし、その時間の移動はなるべく避けたい。私達も眠くなるし、眠る時は見張りを立てる必要があるからね」

「そうですね」

「それに野宿より、屋根のある場所で眠りたいだろ?」

「それはそうですけど……俺はグリッツ以外の土地を知らないから、何も言えないんですけど、目的地は村か町なんですか?」


 太陽が昇らなくても、生物の活動時間は変わらないようで、安全面を考えての行動だと言うミルド。

 しかし、目的地の知らない冬季は首を傾げたままである。


「うーんとね。廃村だよ。精霊様が魔王に捕まってから、獣の勢力が大きくなってしまって、村を捨ててしまったんだけど、良い木材が取れるんだよ。冬季を預かる交換条件に王から賜ったんだけどね。何とか再建したいんだよ」

「再建したいって……大丈夫なんですか?」


 ミルドは目的の場所を告げるが、冬季はミルドが難しい事を言っている事が理解できるようで眉間にしわを寄せた。


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