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召喚勇者は現実主義者?  作者: まあ
第3章 王都周辺探索? ……襲われるような迂闊な姫など存在しない。
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第2話

「お、新入り、さまになってるじゃないかよ」

「そうですかね? ……って、酒臭!?」

「何だよ? この良さがわからないって事はまだまだガキだな」

「あの。そんな状況で、王都の外に出て危険じゃないんですか?」


 ミルドの護衛を了承して、2日後の早朝、ミルドの屋敷から4台の馬車でギルドの前まで移動すると、ギルドの前には20名を超えるギルド員がミルドの到着を待っている。

 冬季は多くも人間が集まっている様子に、戸惑いながらも馬車を降りると先日、出会ったライが冬季を見つけて声をかけてくるが、朝の早い時間にも関わらず、ライは酒を片手にしており、彼の体からは酒の強烈な臭いがしている。

 その臭いに冬季は驚き飛び退くが、ライは気にする事無く、酒を飲んでおり、冬季は初めて王都の外に出るのに不安要素が増えているとしか思えないようで大きく肩を落とす。


「冬季くん、おはよう。緊張してる?」

「ステラさん、おはようございます……それは、まぁ」


 ギルドの受付をしているステラが外が騒がしくなってきた事で、冬季とミルドが到着した事に気が付いたようで顔を出し、冬季と朝の挨拶を交わす。


「緊張って、ガキじゃないんだ」

「いや、普通にガキなんですけど、それより、かなりの人数ですね」


 ライは冬季の様子を笑い飛ばすが、冬季には初めての事のため、緊張は直ぐに解ける事はなく、辺りを見回し、人数の多さに驚きの声を上げている。


「そりゃ、ミルド様の全面バックアップのお仕事だからね。魔物や魔族は人数差なんて気にせずに仕掛けてくるかも知れないけど、野盗相手なら、人数が多ければ簡単に仕掛けてこないわよ」

「野盗警戒のためですか?」

「そう言う事、この辺での野盗の目撃情報だと7~8名で行動しているみたいだからね。この人数では仕掛けてこないでしょう」

「それなら、魔物に出会わなければ安全ですね」


 ミルドがこれほどの人数を集めた事には意味があり、冬季は胸をなで下ろす。


「冬季、ライ、そろそろ、出発しないと遅くなるから、用意してくれるかい? ステラ、頼んでいたものは準備出来てるね」

「はいはい。冬季くん、ライ、馬車に荷物を運んでくれる」

「荷物ですか? ……結構な量ですね」

「そりゃ、この人数の食糧だからね。現地調達もあるとしたって、用意はしておかないといけないだろ。さあ、冬季、君の力の見せ所だよ」


 その時、他のギルド員と打ち合わせを終えたミルドが3人に声をかける。

 ステラはミルドの言葉に冬季とライに付いてくるように言い、後に続いた冬季は店の中に置いてある荷物に驚きの声を上げた。荷物はかなりの量であり、朝からこれを馬車に詰め込むのは重労働だと誰の目から見ても明らかであり、冬季の顔は小さく引きつって行く。

 そんな彼の様子にミルドは苦笑いを浮かべると冬季の利点である腕力に期待していると彼の背中を軽く叩く。


「力の見せどころって言っても、俺は同じ体格くらいの人間より、多少、力が強いだけですよ。こんなに運べません」

「別に1人で運べとは言ってないよ。それに早くしないとライが重たいから、ここで少し片付けようって言い始めるからね」

「片付けるって? ……待て。この酔っ払い」


 無茶な事を言わないでくれとため息を吐く冬季。ミルドはそんな彼の視線をライへと向けるとライは荷物の中にある酒樽を開けて、酒を飲もうとしており、冬季は眉間にしわを寄せながら、彼の首根っこをつかむ。


「何だ? こんな荷物になるなら、少し量を減らした方が良いだろ?」

「そうだね。それなら、酒は置いて行こうか?」

「そうですね。酒を飲んで寝入って襲われたら、洒落になりませんしね」


 ライはミルドの予想通りの言葉を吐き、冬季とミルドは彼の様子に生死にも関わり合う事のため、酒を置いて行く事を選択する。


「ま、待った!? さっさと、運びこむぞ。新入り」

「ミルド様と冬季くん、ずいぶんと息ぴったりじゃない」


 ライは酒を置いて行くわけにはいかないと酒樽を持って駆け出して行き、ライを言いくるめた2人の姿にステラは楽しそうに笑う。


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