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召喚勇者は現実主義者?  作者: まあ
第2章 ギルド登録?……テンプレなど都合よく存在しません。
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第5話

「と、こんな感じね。わからない事ってある?」

「いえ、特には……」


 ミルドをからかって、話を中断するのにも飽きたようで、ステラは改めて、冬季にギルドの説明を行うと冬季に質問はないかと聞く。

 説明を受けた内容は冬季の中にあるゲームやネット小説とほとんど変わらないものであり、冬季は若干、納得がいかないような表情をするが、直ぐに質問は出てこないようで首を横に振った。


「何か質問したい事があったら、私に言ってくれたら、その都度、答えるから無理に捻り出さなくても良いわよ」

「ありがとうございます。助かります」


 ステラは冬季の様子に何となく彼の考えている事が理解できたようで優しげな笑みを浮かべた。

 冬季はステラの様子に素直に礼を言う。


「それじゃあ、1度、屋敷に戻ろうか? これと言って、今は受けるべき依頼もないだろうし、冬季は戦闘訓練の方が重要だろうからね」

「そうですね」

「すまない。依頼を受けてくれないか?」


 ギルドの説明を終えた事で、ミルドは屋敷に戻ろうと冬季に声をかけた時、1人の男性が勢いよくドアを開けて、ステラの座っているカウンターに向かってくる。

 その男性の姿に大変な事が起きたのだと言う事は予想され、テーブル席で酒を飲んでいたギルド員達は視線を鋭くし、男性の声に耳を傾ける。


「……面倒な事になった」

「冬季、どうする? 屋敷に戻ろうか?」

「そうですね」

「ミルド様、新入りを連れて行かないでくれよ。せっかくなんだ。ギルドの仕事を体験してもらうってのもありだろ」


 男性がステラに依頼内容を話し始める姿に空気的に帰るわけにはいかなくなってしまい、冬季は眉間にしわを寄せた。

 ミルドは現状で冬季に依頼を受けさせるわけにはいかないと思っているようで、冬季に声をかけると、冬季はこれ幸いと思ったようで素直に頷こうとするが、2人の考えに気が付いていないギルド員の男性が酒の入った木製のカップを片手に冬季の首に手を絡める。


「……酒臭い」

「何だよ。良い年をして、酒も飲んだ事もないのかよ」


 冬季は顔のすぐそばで強烈な酒の臭いを嗅いでしまった事で顔を歪ませるが、男性は気にする事無く、彼の耳元で豪快に笑い、酒を飲む。


「……ライ、放してくれないかい? まだ、冬季を王都の外に出すのは危ないんだよ」

「危ないって言っても、城の兵士相手の訓練じゃ、意味無いだろ。あいつらは命をかけた戦い何かした事がほとんどないんだ。実戦を経験しなければ、いくら訓練をしたって無駄だ。人の命も魔物の命も魔族の命も奪えない奴は外に出たって死ぬだけだ」


 ミルドは男性の名前を『ライ』と呼ぶと、冬季を王都に連れて行くのはまだ危険だと首を振った。

 しかし、ライは彼なりに考えがあるようで冬季を外の世界に連れて行くつもりのようであり、視線を鋭くする。その表情には先ほどまでの酒を飲んでいた酔っ払いの表情ではなく歴戦の戦士の顔をしている。


「確かにその面も否定はできないんだけどね」

「……無理です」


 ミルドはライの言葉には納得できる部分もあるのだが、実戦経験をさせるまでの冬季に実力はなく、冬季は直ぐに首を振った。


「盛り上がってるところ、悪いんだけど、今は冬季くんを連れて行くような依頼じゃないから、ライ、あんたも要らないわ」

「……」


 その時、男性の依頼を聞き終えたステラは大きくため息を吐くと盛り上がっている3人には用はないと言いたげに追い払うように手を振り、3人の周囲には微妙な空気が漂っている。


「ここは俺が依頼を受ける空気じゃないのかよ!?」

「空気とか言ったって、いきなり、無理な依頼を受けさせるわけにもいかないでしょ。力量を考えての依頼の采配は私がするわよ。冬季くんにはまだ早いし、ライにはこんな依頼より、他の依頼を任せたいのよ。わかったら、さっさとライは酒を抜く!!」

「ラ、ラジャー」


 冬季は流れ的に自分が依頼を受ける事になると覚悟を始めていたようでが、ステラはそんな覚悟など知らないとバッサリ切り捨て、ステラの様子にライは素直に頷く。


「……ステラさん、強いですね」

「まぁ、彼女じゃないとここのギルドは回せないかも知れないね。それじゃあ、邪魔になっても困るから、私達は屋敷に帰ろうか?」

「そ、そうですね」


 ライを一声で黙らせた事に冬季は顔を引きつらせると、2人はギルドを出て屋敷に戻って行く。


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