少女、語る。
どーも!みんなのアイドル梓ちゃんでーす!キャハ!
・・・・・・うん・・・なんか、ごめん。キャラじゃないって言うかそんな目で見るなぁああ!!
って言うか何か自分で吐き気する、誰か背中撫でて、鳥肌ヤバイ・・・
じゃなくてね、コリーさんの采配で修練場から離れた後、二階の廊下でオリバー皇子とメイドのレミーリアさんの二人とは別れました。
って言うかあれ、皇子だっけ?あ、皇太子!
まま!取り敢えず、オリバーさんの雰囲気はまさに皇子!!って感じでした。
黒髪と言うか濃いグレーかな、そんな感じの色をした髪と赤い目のすらっと背の高い美人は魔族の皇子としては100点満点中120点って感じだった。
うん、だったんだけど、ねぇ?
なぁーんか、“臭い”んだよねぇあの皇子様。
ああ、臭いって体臭がとかじゃなくて・・・まあ、第六感?女の勘って言うか、オタクの勘。
あの皇子様ただの寡黙なクールビューティーじゃ無い気がするんだよねぇ。
まあ、皇子サマにもう一度会った時にでも確認すれば良いか!
また会えるか解んないけど。
そんな事を考えながら、さっき居たコリーさんの執務室に戻ったんだけど。
正直、道程長いよ!城広すぎだよ!
文句言えるなら言いたいし、言える雰囲気では在るけど実際言うほど子供でもないしオッサンに抱えられる様な事態は避けたい。
おっさん・・・ギルドマスターのギルさんは気の良いオッサンだし、フェミニストだけどクレアちゃんにセクハラしてたらしいしねー。
セクハラされるのも、そう言う対象外とか言われてへこむのもマジ勘弁!って事で黙々と歩きましたとも。
あたしと翔太の手続き放り出してきたから戻ってるけど、正直疲れた・・・
まあねぇ、諸手続きしないと東大陸居られないんだけどさぁ・・・。
翔太は知らないけど、私はこの国結構好きだなぁ。
意識朦朧としてたから顔は判らないけど、ここの皇帝陛下は優しい人だと思うんだよね。
あの妙な首輪と手枷外せって、私達に申し訳なさそうな、ちょっと怒ったような声で言ってたし。
女児とか言われたのはちょっとあれだけどさ。
その人が治めてる国なら居ても良いかな・・・と、私は思ったわけよ。
人生経験浅いガキが悟ったようなこと言うのはお門違いかもだけどね。
でも、ぶっちゃけると私、今までこの世界嫌いだったんだ。
これはこの世界の人になっちゃった翔太には言ってないんだけどさ。
嫌いどころか大ッ嫌いだった。
直ぐにでも帰りたくて、出来ないなら死にたい位。
何処にも居たくないし、第二の故郷にしたいなんて欠片も思わなかった。
私が、この世界に来たのは翔太の葬式が終って一週間後だったんだ。
そんなに付き合いの無かった子達は、もう翔太の事を忘れ始めてた。
私もそんなに付き合いは無かったけど、中高一緒で同じクラスに成った事も多かったからか変に印象が強かったし。
翔太は覚えてないけど、幼稚園も一緒だったから。
正直、切欠があれば友達に成りたかった位には好きだった。
だから私は忘れるなんて、まだ出来なかった。
違うか、忘れたくなかった。
何だかんだで、結構好きだったのかもね。
今みたいに、良いコンビに成れそうな気がしてたのかも。
だから、忘れてく友達に何かイラついてしょうがなかったんだと思う。
苛々しながら学校から帰る途中、私は“どこか”に落ちた。
ぶっちゃけね、前方不注意だったんだろうけど流石にマンホールが開いてたら気付くって。
だけど私は“どこか”に落ちた。
私一人がやっと通れる位の、暗くて狭い円柱の穴を落ちて落ちて、発狂しそうになるくらい狭くて暗い空間で歯を食いしばって目を瞑って鞄を抱きしめたら人の声がした。
驚いた様な、歓喜を隠さず神に祈る様な数人の大人達の声に目を開けたら。
そこは灰白色の石で作られた小さなドーム状の建物の真ん中だった。
手入れがされた場所じゃなかったみたいで、埃臭くて天井が欠けて、植物が好き勝手生えて蔦を伸ばすようなところで。
その真ん中に私が座り込んでいた四角い舞台みたいな大きな石が置かれていて、黒っぽく見える光の模様が静かに消えていくところで・・・。
“聖女様”とか“神の子”とか好き勝手私を呼ぶ大人達が私を連れ帰って、教会みたいな場所で風呂に突っ込まれて白いドレスに着替えさせられた。
石川梓だって、名乗っても「それは箱庭で付けられたお名前ですから貴方の真の名はこちらですよ」何て、聞き分けの子供に言い聞かせるみたいに勝手に付けられた名前で呼ばれた。
ヴィルジニア・トゥッリア・ゾーエ。
その昔、勇者と一緒になって西大陸から魔族を追い出した女の名前があたしに付けられた。
検査と身体測定と魔法の勉強を強いられて、ヴィルジニア様と私を呼ぶ奴等はバケモノか神を見るような目であたしを見た。
好きな事も出来なくて、制服以外に持って来れた物を処分された。
制服は聖女が身に纏う聖成るもので、それ以外の持ち物は下賎な箱庭の物だからだって。
正直言って意味不明。
奴等が言う箱庭は聖女ヴィルジニアが身を休める為に隠れた世界だそーなのに、そこで作られた物は悪しき物とか道理が通って無いにも程がある。
じゃあそこで産まれて育った私も聖女どころか害悪をもたらす魔獣同然じゃん。
「いえいえ、貴方は確かに聖女様ですわ」なんて、馬鹿みたいな事を言う奴等に嫌悪した。
国から選ばれた勇者様に同行して頂きます、だって貴方はヴィルジニア様なのですから。
なんて言われて顔合わせした勇者が翔太で、訳が解らなくてちょっと泣いて。
頭のイカレた国から逃げる為にも翔太に着いて旅に出た。
好きになれる場所か、帰れる場所があるなら翔太には悪いけど速攻逃げよう。
でも、出来れば翔太にも一緒に居て欲しいとか自分勝手な事を思ってた。
旅した西大陸の中にはそう思える場所が無くて、梓と呼んでくれるのも翔太以外に居なくて。
だからあたしは一芝居打った。
魔力の暴走、魔法の失敗。
そう思われるように、瞬間移動の魔法を使って東大陸に向かった。
同行してたやつらはあたしをあたしとして見なかった国の神殿に送ってやった。
精々暴れてあの国ぶっ壊してよ。と内心で笑って、あたしと翔太は東大陸に。
目的地のゼノ帝国から離れた所に、次の勇者達があたし達を探せない国にと思って瞬間移動した場所は砦の国の修練場だった。
ああ、ここも好きになれない場所なんだなと思って。
じゃあこの世界丸ごと好きになれる場所が無いんだな、って諦めて。
翔太を残して自殺出来るほど、“私”の心は荒み切ってなくて。
ワザと負けて捕まった。
そうしたら、私が“あたし”に戻れる、好きに成れそうな国に辿り着いたんだ。
好きに成れそうな人が多い国に。
帝国ゼノに。
日本人の臨さんと、人間である宰相さんや魔法使いの男の人が好き勝手自由に生きて、それ相応の地位に付けて。
あたしを“あたし”として、石川梓って個人として尊重して人権を持って見てくれる国に辿り着けた。
来る?なんてあたしと翔太を見張りらしくない見張りを付けて連れまわしちゃうようなフリーダムな人たちに石川さんって、アズサちゃんって。
翔太以外の人から呼ばれて、涙が出そうで。
結構無理してハイテンションの猫を被った。
一応の地位があっても、関係なく好きに出来る国なんだなって。
勘も在るけど、優しくて穏やかな国なんじゃないかなって。
だから私は、帰れなくても此処で生きてられるなら。
それで良いなって、そこまで思った国だから。
放り出されたくないわけですよ。
語ってサーセン。
そんな訳で、翔太が戻りたいなら西大陸に戻れば良いじゃん。って覚悟を決めながら、似た様な廊下をひたすら歩いて居たら。
小柄な魔法使いのバンさん?だっけ?が、勝手にドアを開けた。
「あれ、ディック何してんのこんな面白味の無いところで。そっちはジェニーで良いのかな?」
ドアを開けて直ぐそんな事を室内に向けて言った魔法使いに、コリーさんが溜め息を吐いてクレアちゃんと臨さんが苦笑した。
どういう事?って言うか誰?
ディックとジェニーだっけ?
翔太に視線を向ければ、あたしと似た様な事を考えて居るのか困った様な顔をしていた。
「っと、あの?久松さん、誰が居るんですか?」
「臨で良いよ。誰、か。まあ、中に入れば解るかな」
「え、ちょ・・・ノゾムちゃんオジサン嫌ぁな予感がするんだけど」
帰って良い?と頬を引き攣らせるおっさ・・・じゃなくて、ギルベルトさんの顔面に向けてナイフを投げた臨さんがあたしと翔太を部屋の中に、呼び入れた。
ソファーに座って微笑んでいたのは人の良さそうな同年代の少年で、正直城の中よりも街中とか農村が似合いそうだと思った。
その横に座っていたのは・・・
「ガチ幼女キター!!っぐ!」
「いきなり騒いですみません」
かーわーいー!!とあたしが騒ぐとノーガードのお腹に肘がぶち込まれた。
こっち来てから腹に縦筋出来たけど、基本後衛の魔法使いだからまだポヨってるってのに!
ちくしょう翔太後で覚えてろぉおお!!
えーっとごめん、説明する。
純朴少年の隣に座っていたのはマジでお人形さんみたいな幼・・・女の子でした。
色白でピンクゴールドのふわふわな髪の毛を二つに括った女の子で、淡いピンクと白のふりふりワンピースを着てるわけよ!
ちょー可愛いから!マジ天使だから!
あー!のぞむおねーちゃんだぁー!とか、臨さんの脚に向かってぴゃーっと走る姿とかデラめんこいから!!




