第六話〜旅立ち〜
ルークに基本戦術を学ぶように言われたアスカ。そしてルークと訓練をすることに。
家に帰ったアスカは、親に入隊することを告げ色々と言われたがなんとか許しを得た。
「あぁ〜〜どんな訓練するのかな。やっぱ大変なんだろうな・・・まっ頑張らないとな!!」
そう言ってアスカは、明日の訓練に備えて眠りについた。
「さて、始めてもいいですか?アスカ君」
「いつでもいいぜ」
翌朝になり、いよいよ訓練が始まった。
「まずは、構え方を教えます」
「おう!!教えてくれ」
「私と同じ体制をとってみてください」
「こっこうか?」
「もう少し脇をしめてください」
この日は、構え・受身・防御・その他の戦闘知識を教わり終了した。
三日ほど、同じような内容でルークと修行したアスカ。そこへロベルトが付き添いの看護婦と歩いてきた。
「どうだ?しっかりと身についているか?」
「まぁ最初に比べればよくなってますね〜まだまだ未熟ですけど」
「うっせぇな〜まだ始めたばかりなんだから未熟で当然だろう!!」
「じゃぁそろそろあの技教えてみるか?」
その言葉にアスカは、新たな楽しみを感じた。
「あの・・・技?」
「そう。俺とルークの共同開発の技だ!!その名も『龍波』だ!!」
「ならさっさとやろうぜ!!さくっとその『龍波』ってのを覚えてどんどん強くなってやる」
アスカは、すっかり強気になっていた。
「まぁそう慌てないでください。今から技の説明をしますから。簡単に説明しますと、剣、つまり『竜王』にあなたの『魔力』を込めて、その込めた魔力を斬撃として飛ばすんです」
「おぉ〜なんかよくわかんねぇけどすげぇ〜!!」
アスカは、はしゃいでいたが事の重大さにまだ気付いてはいなかった。なぜならアスカは呪文や魔術を自分の意志では使ったことなどなかったのだから。
「アスカ魔術とか呪文使えるよな?」
確認の意味を込めてロベルトが尋ねると、アスカはそんなもの使ったことありませんと答えた。
「仕方ありませんね。とりあえずアスカ。魔術と呪文の違いがわかりますか?」
「いや、よくわからない」
アスカはルークが自分のことをアスカって呼び捨てで呼んだっと思いながら返事をした。
「はぁ〜。では、簡単に説明します。魔術と呪文の違いは、発動条件と魔力の消費量です。魔術は術の名前を唱えるだけで、術を発動することができます。ただ、魔力の消費が大きい為、頻繁に使用すると魔力が底を尽き戦闘は愚か、動くこともできなくなってしまい、最悪の場合死に至ります。それに比べ、呪文は魔力の消費が少なく、長期戦に向いています。しかし、呪文を発動するには、詠唱と呼ばれる歌を詠わなくてはなりません。また、歌に込められた意味をきちんと理解しないと呪文は発動しません。それに、詠うことで隙が生まれやすいので個人戦は向きません。まっこんなところですね。わかりましたか?」
アスカは、なんとなくルークの説明が理解できた。
「なんとなくだけど、わかった。で、それがどう繋がるんだ?」
「この間の件でわかったのですが、あなたは体内に大量の魔力を持っているということがわかりましたので、魔術を発動する感覚で『龍波』を覚えてもらおうと思います」
「具体的に何をすればいいんだ?」
「ここに昨夜私が作ったロベルト人形があります。これを刀身を触れずに二つに斬ってください。つまり『龍波』で斬るということです」
「なんで俺の人形なんだよ」
「まぁ細かい事は気にしないでください。さっアスカ頑張ってくださいね〜私たちはそれが終わるまで、何も教えることはないので。では、頑張ってください」
そう言って、ルーク達は帰ってしまった。
「よっしゃぁ!!さくっと終わらせてやる」
アスカはそう言って修行に集中した。
三日後クレアがアスカの様子を見ようと先ほど作ったお弁当を持って歩いてきた。すると、修行をせずに、座っているアスカの姿が見えた。
「何サボってるの〜ルークに言いつけちゃうよ」
「サボってる訳じゃねぇよ。どうして『龍波』が発動しないのかわからないんだ。ちゃんと集中して刀身に魔力を込めてるのに」
「ねぇ〜ちょっとやってみてよ」
クレアに言われてもう一度やってみるアスカ。
「魔力を刀身へ・・・はぁぁぁ・・・だりゃぁぁぁ!!!!」
またも空振りに終わった。
「あぁ〜やっぱりできねぇ!!!」
「う〜んなんでだろうねぇ。あれだけ魔力込めてれば何か起きるはずだけど。とにかく、クレアちゃん特製手作り弁当でも食べて、悪い所を考えてみよ〜う」
そう言ってクレアは、持ってきたお弁当を広げた。
「クレアその肉とって〜・・・あっそのサンドイッチも・・・うっ!!肉がのどに詰まった!!飲み物くれ・・・」
「そんなに慌てるからだよ〜。で、どうおいしい?」
「ん?おう。結構うまいぞ!!また腕を上げたんじゃない?」
「ほんとっ?ありがとう!!あっそうだ、アスカは技を出す時魔術で出すのそれとも呪文?」
「えっ?魔術で出そうって言われてるけど。なんで?」
「魔術なら技の名前言わなきゃダメなんだと思うよ。呪文でも詠唱があると思うし」
「なるほど!!早速やってみるよ」
そう言ってさっと立ち上がり、アスカは剣を構えた。
「集中・・・集中・・・集中・・・『龍波』!!!!」
掛け声とともに地面を這うように斬撃が飛んだ。
「でっでた・・・」
「うわぁ〜〜ロベルト人形真っ二つだね〜」
アスカ達が成功を喜んでいると、誰かがパチパチと拍手をしながら近づいてきた。
「いや〜三日で習得するとは思いませんでしたよ。とにかくおめでとうございます」
それはルークだった。どうやらルークは影からアスカの修行を見ていたようだ。
「急かすようですが、これを。」
ルークはアスカにバッジのような物を手渡した。
「これは?」
「これは、ホーリーナイツ仮入隊の証です。これである程度の身分証明にはなるでしょう。正式な手続きは、ホーリーナイツの本部で行なってもらいます」
「よっしゃこれで俺もホーリーナイツだ!!」
ルークはまだ仮ですよっと言おうとしたがやめた。
「出発は明日の朝。集合はここです。身体をゆっくり休めておいてください」
「おはようルーク!!!」
「あぁアスカ。おはようございます」
ルークは本を読みながらアスカに挨拶をした。
「さて、出発しましょう。目指すは、情報の町『ガルデニア』です」
「待って〜私も行く〜〜!!」
「クレア!!なんでお前まで来るんだよ!!」
「アスカの行く所には、私も行くの!!それに私治癒能力持ってるから何かと便利でしょ?」
「どうする?」
「まぁいいでしょう。彼女の治癒能力は確かに役立ちます」
「よ〜し。じゃぁ出発〜♪」
クレアの元気な掛け声で一同は町を出た。一同は情報の町『ガルデニア』へ旅立つのであった。
アスカは『龍波』を習得し、ついに旅に出た。向かう場所『ガルデニア』はサンラドと違いアスカにとって新世界だった。次話〜新世界〜