第五話〜決断〜
放課後クレアに呼びだされたアスカ。クレアに悩み事を相談し決心する、ロベルトへの返事はどうなるのか?
「ねぇアスカ。アスカの気持ちはどうなの?」黙っているアスカにクレアが問う。
「俺は・・・わからない。正直言うとどうすればいいのか、俺自身にもわからない」
「アスカのお父さんは任務で死んだ。だから自分もそうなっちゃうんじゃないか。自分も死んじゃうかもしれない。だからホーリーナイツに入ることが怖い。そうでしょ?」
「・・・・・・うん・・・」
「でもあなたを今必要としている人がいる。ロベルトがあなたに、アスカに頼んだ理由わかるでしょ?ロベルトがホーリーナイツに入ることを拒んだあなただから、親友だからロベルトはあなたに頼んでるのよ。わかるでしょ?」クレアは泣きそうだった。
「俺は、あいつの夢を奪った。そんな奴にあいつの夢を背負うなんてできないよ」
「でもアスカがロベルトを止めたのは、ロベルトを死なせたくなかったからでしょ。それは、ロベルトだって同じだよ。ロベルトだって誰も死なせたくなかったから、イビルナイツと戦うことを決めたんだよ。自分が戦って、アスカを、皆を守りたかったんだよ。だから、今度はアスカが皆を守ってあげる番なんだよ。私も、アスカが挫けそうになったり、苦しくなったり、辛くなった時は支えてあげるから、助けてあげるから、一緒に世界を守ろう、ね?」その言葉はアスカの心にぐっと来た。
アスカは無言のまま部屋を出ようとした。
「アスカ!!!」クレアが大きな声を張り上げた。するとアスカは首だけを振り返らせ言った。
「ば〜か、お前なんかじゃ支えきれねぇーよ。ロベルトのところに行って来るよ、それで言ってやるよ『俺に任せろ』ってな」にこっとアスカは笑い部屋を出て行った。
「・・・・・・告白だったのに・・・・・」っとクレアはアスカが出て行った後、ボソっと言った。
誰かが勢いよく走ってくる。バンッ!!ドアが開くとアスカが入ってきた。
「よっ!!決まったのか?」ロベルトが真剣な眼差しで問い掛けた。
「あぁ、もちろん。俺はホーリーナイツに入る」アスカはロベルトの問いにすぐに答えた。
「俺に任せろよ!!俺が、ロベルトのオヤジさんを超えた英雄になってやるからよ!!」
アスカの覚悟は本物だった。ロベルトはホッとした顔でルークを見た。
「それはよかった。私もロベルトがいなくなてしまって暫く任務を一人でこなさなくては、と思いましたよ」さらっとルークが言った。出ました必殺『嫌味な笑顔』心の中でアスカがつぶやいた。
「そうだっアスカ。これお前にやるよ!!俺からの餞別だ受け取れ」ロベルトはそう言うと壁にたてかけてあった、大きな大剣をアスカに渡すようルークに言った。
「これって、ロベルトの父さんの形見の剣なんじゃないのか?そんな大切な物もらっていいのか?」
「いいんだ。もう俺には必要ない、それにこの剣だって飾られてるより使われてる方のがいいだろ」
「でっでも・・・」アスカはロベルトに悪いような気がした。
「受け取ってあげてください」ルークがそう言うとアスカが剣を握り、ロベルトに言った。
「ありがとう、ロベルト」
「大刀『竜王』・・・」ボソッとロベルトが言った。
「え?」アスカにはその言葉がよく理解できなかった。
「その剣の名前、大剣って言ってるけど大刀に近いんだそれ」ロベルトは笑った。
「へぇ〜。じゃっよろしくなっ『竜王』!!」アスカは元気よく挨拶した。
すると、ルークがポケットから眼鏡を出し、それを掛けてクイっと中指で持ち上げた。
「そういえば、ルークって眼鏡なんか掛けてたっけ?」
「えっはいまぁ気分で掛けたり掛けなかったりですよ。明日から1週間あなたに戦闘の基礎を教えるには、この方がそれっぽいと思いまして」ルークがそう言うとロベルトは横で笑っている。
「じゃぁルーク、アスカをビシバシ強くしてやってくれ。まぁなんだ、できることならそこの窓から見えるところでやってくれ、アスカのやられっぷりが見たいからな」ロベルトは言いたい放題言ってまた笑い始めた。こうしてアスカの特訓が始まるのだった・・・
「アスカ・・・頑張ってね」クレアがドアに手を触れながら、中にいる三人には聞えないくらい小さな声で言い、その場を立ち去った。
ホーリーナイツに入り、ルークとともに旅をすることに決めたアスカ。出発の前に修行することになったアスカは乗り越えることができるのだろうか?そしてどんな修行なのだろうか?次話『〜旅立ち〜』