第四十五話〜魔龍〜
「ねぇ、アスカ。私洋服が見たいんだけど」
「あぁ?この間買ったばかっりじゃんか?」
「いいから、いこっ!!」
そう言うとクレアはアスカの腕をグイグイと引っ張った。
「わかったわかった。引っ張らなくてもちゃんとついて行くから」
「早く早くっ!!」
こうやってクレアと遊んだり、笑ったり、話したり、一緒にいたりするのでこれで最後になるかもしれない・・・。
そう考えると切ない気持ちで心が溢れ返ってしまい、アスカの顔から少しずつ笑顔が消えてった。それはクレアも同じであった。
その後、洋服を見に行ったアスカ達は、食事をとり街を見て回り日が暮れるころにオーレグの家へと戻ってきた。
「遅いよ〜、アスカ君。クレアちゃん」
「人を待たせるのは、感心しませんね」
「ゴメン、ちょっと遠くまで行き過ぎた!!」
「ごめんなさい。私が無理を言ったから・・・」
反省する2人を見てルークが口を開いた。
「まぁ、いいでしょう。さっ、中へ入りましょう」
「おう!!」
「お待ちしておりました。作業の方は完了いたしました!!師匠もなかなかのできだと言っております」
「忙しい中、申し訳ありませんでした」
「いえ、お気になさらないでください。それより、師匠がお呼びです、こちらへどうぞ」
ローラに導かれ、オーレグのいる部屋へとアスカ達はやってきた。
「剣はできたぞ。そこにある箱にしまってある。開けてみるといい」
言われるままにアスカは、ふたを開け中身を取り出した。
「これが。俺の新しい剣・・・」
アスカが鞘から剣をゆっくりと引き抜くと鈍く光る鋭い刀身が見えた。
「そいつぁ、前の剣よりも軽量化して一振りの反動を少なくした。前よりも早く動けるだろう。ただ、剣自体のパワーと強度は落ちてるから剣に頼った攻撃、防御は避けるんだ。剣で攻撃を防ぐんじゃない、体全体で避けるんだ。でないと簡単に折られる。いいな?」
「おう!!」
アスカは、軽く二振りほど剣を振るとゆっくりと剣を鞘に収めた。
「おっと、大事な事を一つ言い忘れてた」
「ん?大事な事?」
「そうだ。その剣の柄と刀身に『マジックストーン』を埋め込んでおいた」
「だからどうなんだ?」
「マジックストーンは吸収した魔力を増幅させる増幅器のようなものだ。つまり、今までの龍波から放たれていた魔力が増幅され、さらに強力な龍波が打てるようになったという事だ」
「なるほど。それで総司令官はこれを・・・」
ルークが口開いた。どうやらマジックストーンを託した意図が掴めていなかった様だ。
「最後に、その剣の新たな名だが・・・」
「竜王じゃないのか?」
「マジックストーンによって魔力を肥大化させる剣。よってその剣を『魔龍』と称す!!」
次話〜『故郷』〜