第四十二話〜臨時休暇〜
コンコン・・・
「開いているよ。入りなさい」
「失礼します。マジックストーンの採取に成功しました」
「すまないなぁ。こっちも人手が足らなくてね」
「いえ、構いませんよ。命令ですからね」
「ん?アスカ君。その剣を見せてくれるかな?」
突然のことに、アスカは少し戸惑ったが言われるままに剣を渡した。
「だいぶ剣の刃がこぼれているね」
「は、はぁ・・・」
「ここへ行ってみなさい。ここには優秀な鍛冶職人がいる、この手紙を渡せば無償で剣を鍛えてくれるはずだ」
「えっあ、はい。わかりました」
「それと、これを持って行きなさい。きっと、役に立つだろう」
そう言うとダーヴァは、先ほど手渡したマジックストーンの欠片をアスカに渡した」
「あっありがとうございます」
「なに、気にすることはない。これは報酬だだよ。はっはっはっはっはっはっは」
なんなんだ、このオッサンは・・・ そう心の中で呟くアスカであった。
「戦争まであと一週間をきった。各自準備を怠らずにな。それから戦争の前日まで君たちには休暇を与える。家に帰って事情を話すといいだろう。もっともクレアちゃんとハロルド君は戦争に参加する義務はない。戦争が終わるまで実家に帰っていても構わない。命は大切にしなくてはな」
「失礼ですが、俺には帰る家はありませんよ」
ハロルドは笑顔で答えたが、そこには温かみはなかった。
「あの、私も参加させていただきます!!アスカだけ行かせるなんて心配で心配で・・・」
「クレア・・・」
アスカは少し嬉しかった。人にこんなにも思われているんだという事を実感できたからだ。
「はっはっはっはっはっは。そうか、ならば君たちの活躍と健闘を祈らせてもらうとするよ」
「ありがとうございます。では、失礼させていただきます」
「おっと、大事な事を言うの忘れていたよ。前日の正午に作戦会議を始めるのでな、それに間に合うようにしてくれたまえ」
先に言えよ・・・ 全員が呟いた。アスカの顔は心の声があふれんばかりの表情をした。
「あのおっさん、わけわかんねぇーよ・・・なんか精神的に疲れるわ」
「まぁ〜いい人なんだけどね。謎なところが多いよね」
「昔はもっと鬼のような人だったんですがね、ここ数年で穏やかにになってしまいました。それより、アスカの剣を鍛えてもらいに行きましょう。あまり時間もありませんし、急いだ方がいいですね」
「そうだな、よし鍛冶屋さんに向かおう!!」
次話〜『鍛冶屋』〜