第四十話〜新技〜
「あっぶねぇーなぁコノヤロウ!!」
「こいつは、ゴーレムですね・・・。それにしてもアスカ、よく避けましたねぇ〜。私はもうてっきり、潰されてしまったかと思いましたよ」
ルークが嘲る様に笑った。アスカは、「あっそう」っと言わんばかりの表情を浮かべた。
「いくぜぇ!!」
勢いよくアスカが前へ飛び出し、ゴーレムの懐へ飛び込んだ。
「食らっとけ、『龍波』!!!」
アスカの正義の魔力が、竜王の刃から放たれる!!・・・が、アスカの龍波は、ゴーレムには効かなかった。
「こいつ、見かけ通りすっげぇ硬いんですけど〜どうするんだルーク!!」
アスカが溜め息を吐きながら、ルークに尋ねた。
「今私は、このゴーレムから逃げる作戦を考えたのですが、そういう訳にはいかなくなりました。見てください、彼の背中を」
ルークに言われたとおりに、見てみるとゴーレムの背中には、マジックストーンがくっ付いていた。
「もしかして、マジックストーンって、なかなか見つからないんじゃなくて、なかなか取れなかった・・・いや取る事ができなかったんじゃないのかな?」
「たぶん、そうだろうな!!」
アスカがゴーレムの攻撃を防ぎながら、クレアに答えた。
「クレア、ルーク、援護頼む!!」
「了解!!」
2人同時に返事を返した。
「集え水よ、今一つとなりて、その恐ろしさを見せつけよ!!『スプラッシュ』!!」
「集え光よ、今一つとなりて、彼の者を貫き給え!!『ライトアロー』!!」
水が勢いよく、宙を駆け抜け、ゴーレムにダメージを与えた。そこへ、クレアの放った光の矢がゴーレムを貫いた。
「ぐぉぉぉぉおおぉぉぉぉ!!」
ゴーレムが地響きのような、声を上げた。
「倒したのか?」
「いやまだですっ!!」
「炎よ、我が剣に宿り、その力を貸し与えよ!!『フレイムソード』!!」
ハロルドが、自らの呪文で、剣に炎を宿し、ゴーレムに斬りかかった。
「だぁぁぁぁぁあ!!」
ハロルドの攻撃によって濡れていたゴーレムの体は急に乾燥し、それにより崩れやすくなった。
「今だよ、アスカ!!今ならこいつの体も脆くなって倒しやすいはずだよ!!」
「そんなこと言ったって、硬すぎて龍波が効かないんだ、どうしようもないだろ!!」
「龍波をもっと、一点に集められればいいんじゃないかな・・・?」
クレアの一言で、あることをアスカは思いついた。
「そっか、龍波の魔力をもっと一つに集めて鋭くすれば・・・」
そう呟くと、アスカは7、8歩後退し、勢いよくゴーレムに突進した。
「食らいやがれ!!『龍波衝』!!!」
剣でゴーレムを突き刺すように、剣を前突き出した。すると、今まで拡散していた魔力が、一点に集まりゴーレムの体を貫いた。
「ぐぉお・・がぁぉ・・・ぉおぉおおおぉ・・・・・・・」
ゴーレムが崩れるように倒れた。
「へっ!!どんなもんだ!!」
アスカが誇らしげに言った。それを見たルークは、少しあっけに取られた。
「この短時間の戦いの中で、新たな技を自ら生み出すなんて・・・この子はもしかすると恐ろしく強くなるのでは・・・」
こうして、見事にアスカ達はゴーレムを倒すことができたのだった。
次話〜『命』〜