第四話〜選択〜
前回、無事に『サンラド』に帰ってくることができたアスカ。目が覚めるとそこには、槍を持った青年ルークがいた。彼の話を聞き、ロベルトの話を聞きに行くアスカ。ロベルトの話とは一体・・・
部屋を出たアスカはロベルトの部屋のドアに手をかけた。
「話ってなんだろうな。もしかして説教かな?俺のせいでロベルトはケガしたんだもんなぁ」
アスカはそんなことをつぶやきながら、ゆっくりと目の前のドアを開く。
「・・・おっ!やっと来たか〜来るのが遅いからあのまま死んじまったかと思ったぞ」
ロベルトは、笑いながら言った。しかし、その笑顔には少し悔しさが紛れていた。
「あっあのさっ話って何?」
「いやさぁ〜お前の事だから『俺のせいだ〜』とか言ってるんじゃないかな〜って思っててさ」
図星だ!!ほんの数分前に言った言葉だ。アスカは心の中で驚いた。
「その顔はどうやら俺の言ったとおりだったかな?」相変わらずロベルトは笑っている。
「そんなことないよ〜さっ、本題に入ろうぜ」無論棒読みだった。
まだ笑っているロベルトは少しずつ話を始めた。
「もう聞いたかもしれないけどよ、俺の腕さ、肩から落とされちまったからよ使い物にならないんだとさ」その言葉にアスカは何も言い返せなかった。
「俺の夢知ってるよな?俺のオヤジ以上に優れたホーリーナイツの『英雄』になるってやつ」
ロベルトの父親は、元ホーリーナイツ第五戦闘部隊部隊長であり、『英雄』と呼ばれた戦士だった。
しかし、六年前任務中に殉職してしまった。それをきっかけにロベルトはホーリーナイツに入隊することを決意したのだ。アスカは頷き、話の続きを聞き続けた。
「けどよ、もう剣が握れないんだ。この手ではもう・・・」
「・・・・・・・・」
「だからさ、アスカ。俺の代わりに『英雄』になって欲しいんだ。俺の代わりにイビルナイツの奴らぶっ倒して、魔物達もぶっ倒して世界に穏やかな時を・・・」ロベルトが話している途中でアスカがしゃべった。
「いやだっ!!俺は・・・俺は・・・」アスカが何かを思い出すような言い方で言った。
実は、アスカの父親もホーリーナイツ戦闘部隊に所属していたのだ。しかし、ロベルトの父親同様、同じ任務で亡くなっていた。それ以来、アスカはホーリーナイツを自然と避けていた。
「お前の気持ち、わかるよ。だけど、俺の気持ちもわかって欲しい。急がなくていい、ゆっくり考えてからお前の返事を聞きたい。決心がついたら俺のところへ来てくれ」
その後、部屋を後にしたアスカはお気に入りの芝生の生い茂る丘にいた。ここは砂漠の町なのだが、なぜかこの場所だけ緑があるのだ、オアシスと言ったところだろう。
「父さん・・・俺、どうしたらいいのかな・・・」
「あぁ〜〜やっぱりここにいたぁ〜〜」クレアが後ろから声を掛けてきた。
「なんか用か?」考え事をしていたせいか、妙に冷たい反応だった。
「ひっど〜い、心配して捜してたのに。どうせ何か考え事でもしてたんでしょ?」
「・・・うん。」
「やっぱりなぁ〜。今日はもう遅いし、明日は学校あるんだから帰ろうよ、ね?」
「そう、だな・・・」
帰宅したアスカは遺跡に行った事やら帰宅時間が遅いやらと母親に1時間ほど叱れたのだった。
起床したアスカはいつもどおり着替えを済ませ、学校へ登校した。
「なんかいつもと違うように感じるな、日常が」
「おはよっアスカ!!」何故こんなに元気なんだ?とアスカは思った。
「今日学校終わったら私に部屋に来てねぇ〜♪」
アスカは曖昧な返事を返し、学校へ向かった。
学校ではアスカがクレアとイチャついてるなど、アスカには勿体無いなどそんな話が絶えなかった。
クレアは男子受けがよく、大人っぽさが魅力的らしい。しかし、アスカはクレアの髪の毛の色のほうが好きだった。自分でもよくわからないのだがあの銀髪のサラサラ感がいいとか。
無論それどころではないアスカにとってそんな話は耳に入らなかった。それどころか授業すらはいっていない、いつものことなのだが。学校も終わりアスカはクレアの家に行き、クレアの部屋のドアを2回ノックし、部屋に入った。クレアは自分のベッドの上にちょこんと座っていた。
「遅いってば!!」ムスっとするクレアにアスカは謝った。
「なんか用でもあるのか?」アスカは急かすように言った。
「ホーリーナイツに入らないか?って言われて迷ってるんでしょ?私聞いてたんだあの会話」
「・・・・・・・」アスカは少し黙ったまま窓の外を見つめた。
クレアに誘われ、クレアの部屋に訪れたアスカ。クレアと相談し、ついに決断したアスカ。果たしてアスカの返事は?次回『〜決断〜』お楽しみに。