第三十五話〜宣戦布告〜
「宣戦布告!?つまり、近日中に戦争が起こるってことなのか?」
あまりにも突然過ぎた為、アスカもクレアもハロルドも、ルークですら驚きの表情を隠せなかった。
「そのとおり。我々も近いうちに決着をつけようと思っていたところだったのでな。これで戦う理由が出来たということかな」
「それで、俺達を呼んだってことは、俺たちにも戦争に参加してくれってことなのかな?」
「ご名答、そのとおりだよ。えっと名前は確か、ハロルド君だったかな?」
ハロルドは、にこっと微笑みながら「はい」と言った。しかし、ハロルドの表情には、いつものあどけなさはなかった。
「そうか、君があの・・・」
「総司令官さん、そこから先は言わないでくださいねぇ」
「・・・そうか、すまなかったな」
「?」
「なんでだ?ハロルド」
「なんでもないよ。気にしない気にしない」
一同は、気になる気持ちを抑え、本題へと話を戻した。
「あの、それで決戦の日はいつなんですかぁ?」
「君はクレアさんかな?決戦の日は、2週間後になる。各自準備を怠らないように」
「了解しました。他の隊にはこのことは連絡済なんですか?」
「無論、君が一番最後だよ。それから一つ頼みごとがあるのだが・・・」
「・・・そうでしたか。で、頼み事とは?」
ルークは軽く笑いながら、話を聞いた。
「今週中に完成する予定の魔導砲の魔力増幅装置に使用する筈のマジックストーンと呼ばれる鉱石が足りないようでな、すまないが採りに行って来てくれるかな?」
「場所はどこですか?」
「アレクトリア鉱山地帯だ。行き方はわかるな?」
「・・・了解しました」
「失礼しました〜」そう言ってアスカ達はダーヴァのいる部屋を後にした。
「魔導砲ってなんだ?」
「魔導砲と言うのは、今我々の研究チームが開発している兵器のことです。使用者の魔力を魔力増幅装置に集めて、高密度の魔力をエネルギー弾へと変換して敵を攻撃するんです。魔力増幅装置に込められた魔力は、エネルギー弾に変換する前に魔力増幅装置内で高圧力で圧縮し、エネルギー弾として発射されます。弾数は使用者の魔力の量、つまり、魔力の量が多い者ほど有利になるんです。アスカにはピッタリの武器ですね」
「へぇ〜なんだかわかんないけど、すげぇ武器なんだな魔導砲ってのはさっ」
「さっ日没までにアレクトリア鉱山地帯付近へ行きましょう。この時間帯ならまだ日の沈む前には到着できる筈です。鉱山地帯の近くに鉱山の町アレクトリアがある筈ですから、今日はそこで一晩過ごしましょう。マジックストーンは採取量が多くは無いのでなるべく早くから作業に取り組まないと決戦に間に合いません。期限は大体一週間、それ以内に必要な分採取できるように心掛けて置いてください。それと採取中は坑道内に入る訳ですが、魔物の出現の可能性もありますので、戦闘が起きてもいいように各自注意しておいてください」
「じゃぁ〜出発♪」
クレアの掛け声と共に、アレクトリアへと向かう一同であった。
次話〜『鉱山の町』〜