第二十九話〜救助〜
「要するに、山へ行って私たちが事件の謎を暴けばいいのね?」
かなり危険な頼みにもかかわらず、クレアはやる気満々だった。
「しょうがねぇなぁ〜じゃぁさくっと終わらせて、サンライトタウンに行こうぜ〜」
「おぉ〜引き受けてくださりますか!!ありがとうございます!!」
はぁ〜〜っとアスカが溜め息を吐くと、クレアとハロルドが走って山の入り口まで行ってしまった。
「何やってんのよ〜早く行こうよ〜!!」
「なんでそんなに急いでんだよ!!クレアもハロルドも!!」
「よくわかんないけど、クレアちゃんが急いでるから早く行こ〜う!!」
どうやらハロルドは、クレアが走り出したのにくっ付いて行っただけの様だ。
「さて、あいつら行っちまったし、俺達も行こうか」
「そうですね〜」
二人が歩き出そうとした時、ゴドが二人を呼び止めた。
「お二方!!一つ忠告がある、この山には獣がおるのじゃ。普段は、獣除けの薬を身にまとうのだが生憎薬をきらしていて・・・だから気をつけて行くのじゃ」
「そういうことは、もっと早く言えっての!!」
「まぁまぁ、私達の旅は元々危険なんですから」
ルークに言われ、ムスッとした顔でアスカは歩き出した。
こうして山の入り口へアスカ達は、向かうことになった。
山には鬱蒼と木が茂っていて、まだ昼間なのに薄暗かった。
4人はそんな中を当てもなく歩き続ける。
「どこにいるのかなぁ、村の人たち」
あたりをきょろきょろと見回しながらクレアが呟いた。
「見当もつかねぇよ。こんなとき、ライザさんがいればなー」
アスカはそう言ってから黙り込んだ。
ライザはもう、この世にいないのだ。
この沈黙を断ち切るかのように、ルークが口を開いた。
「油断だけはしないでくださいね。獣に襲われてもすぐに応戦できるように」
ルークがちらりと3人を横目で見ながら言った。
「分かってるよぉ。・・・ん?」
ハロルドが前を見て声を漏らした。
「あれって、洞穴じゃないかな?」
ハロルドの指差す先には、切り立った崖があり、岩に大きな穴が開いていた。
「巨大な洞穴ですね・・・。中を調べてみましょう」
「うっわぁ〜なんかワクワクするねっアスカッ!!」
「バカッ!!人の命が、かかってるかもしれないんだぞ!!そんな事言ってる場合かっての」
アスカが怒った為、クレアがしょんぼりしてしまい、辺りが静かになった。静まり返った山は、不気味さを増した。
そして、4人は小走りで洞穴のほうに向かった。
次話〜『拳』〜