第二十八話〜レジェンド〜
「妖怪!?」
3人の声がそろった。
「あわわわわわわ〜私は、そんな村に行きたくないよ〜オバケとか妖怪とか私はダメなのよぉ」
「大丈夫だろ〜そんなのいねぇよ!!」
アスカがその場に座り込んでしまったクレアの腕を掴み、クレアを立たせた。
「アスカの言うとおりですね。まあ、大丈夫でしょう。私が泊まったときに、妖怪なんて現れませんでしたからね」
ルークは微笑した。
「確かに空気がどんよりしてるよな。心なしか」
アスカが呟いた。
村全体に活気というものがないように思える。
「お、おい、あれを見ろ」
不意に4人の前に現れた村人の男が驚いた顔で4人を指差していた。
「お、おお! あ、あれは」
「も、もしや!」
「救世主様だ!」
男の声に集まってきた村人たちは、みな一様に4人を見て驚いた顔をしていた。
「何なんだ、一体?」
アスカが困惑気味に言った。
と、そのとき、村の奥のほうから1人の老人がゆっくりと歩いてきた。
「紅の少年と蒼の青年、銀髪の少女と童顔の少年。4人が訪れたとき、村は救われる・・・」
老人は静かな声で言った。
「この村に古くから伝わる言い伝えじゃよ。わしは村長のゴドというものじゃ」
ゴドは落ち着いた物腰の老人であった。
「・・・あの、救われるというのは?」
「この村は妖怪に取り憑かれておるのじゃ。もしも君たちが救世主であるのなら、この村を救ってはくれないか?」
ゴドは4人はしっかりと見据えながら言った。
「どうする〜?一応俺達急いでるんじゃないのか?」
確かにアスカ達は早急に帰還するよう言われていた。
「まぁどうせ、ここに泊まるんだからいいんじゃない?」
「・・・まぁいいでしょう。ゴドさん助けて欲しいとは、具体的にどうして欲しいのですか?」
「・・・いいのか・・・?」
アスカは本当にゴド達を助けるべきか少し悩んだ。もっとも権力のある総司令官からの「直ちに帰還せよ」との命令なのだから、こんな所で道草を食っている時間は無いと考えるのが普通だろう。目と鼻の先に目的地は見えているのだから、一歩でも先に進みたいと言うのが一般的な思想だ。辺りは明るい訳でもないが、日が落ちた訳でもない。次の村か町までは、どう考えても行けそうだというのに。何より、こんな不気味な村にいることがアスカにとっては、一番イヤで仕方がなった。それが本音だ。
しかし、アスカは頭の中で思ったこと、捨てることにした。
「実は、一週間程前に起こった事なんだが、山へ行った若い男たちが帰らないのだ」
「それなら自分たちで探しに行けばいいんじゃないか?」
「まぁ最後まで話しを聞いてください、アスカ」
「おっおう・・・」
できるだけここにいたくないアスカをルークが黙らせると、ゴドが話を続けた。
「無論、探しに行ったのじゃ。怪我でもしたのだろうと思い、村の若い男達に救助行かせたのだが結局誰も見つからず、救助に向かった男達も帰ってはこなかった」
次話〜『救助』〜