第二十七話〜奇怪な村〜
翌朝、おいしそうないい匂いが漂ってきた。それに誘われるかのようにアスカは目覚めた。出発の準備を済ませてから、階段を下りて居間に向かうとすでにルークとクレアがいた。ルークはいつもどおりコーヒーを飲みながら本を、読んでいた。クレアは朝にもかかわらず、大きな声でおはよう、アスカっと言ってきた。アスカもそれに小声で答える。
「まだハロルドは、起きてきてないのか?」
「昨日一番最初に寝始めたのにね。まるで子供みたいだね」
「そう言えば、ハロルドって歳いくつなんだ?」
「俺は〜16歳だよぉ〜。ふぁ〜眠い眠い」
たった今起きたハロルドが欠伸をしながら、答えた。
「えっそんな歳だったのか?俺はてっきり同い年かと思ってたぞ」
「えっ!アスカそれはおかしいでしょ?どう見ても、もっと子供っぽいでしょ!16歳より下に見えるくらいだよ」
ハロルドは実年齢に比べ子供っぽい顔つきだった。
「よく言われる〜」
ハロルドが眠たそうに言った。それを見ていたルークとリザは、お互い目を合わせてからクスッと笑った。なんともいい雰囲気だ。
「さっ、冷めないうちに朝ご飯食べましょ!!今日も抜群においしいはずよ」
「よしっご飯食べようっと!!なんかリザさんは、お母さんみたいだなぁ。じゃぁ、いただきま〜〜す!!」
ハロルドはそう言って、朝ご飯を食べ始めた。それをクレアは寂しげに眺めた。
ハロルドの両親は白いコートの人達に殺されたんだったっけ・・・そんなことを思いながらクレアも朝食を食べ始めた。
「さて、朝食も食べ終わりましたし、そろそろ出発しますか」
一同は荷物を持ち、リザの店を出た。
「お世話になりました。俺、任務とか旅行で近くに来たら顔見せに来ます」
「リザさん、お世話になりました。今度お料理教えてください!!」
「リザさんのこと『お母さん』と呼ばせてください!!ていうか、もう息子にしてください!!」
「お世話になりました。また飲みにでも行きましょう」
一同はリザに挨拶、いや、一通り言いたい事を済ませた。
「また、来てね!!おいしい料理作って待ってるから」
手を振りながら一同は、町の出口に向かった。するとリザが大きな声で叫んだ。
「ルーク!!・・・あっあの・・・また会えるよね?」
もちろんですよ!!そう言ってルークはまた前に進みだす。昨夜何があったんだ!!そんなことを一同は思った。
「ルーク!!何があったんだぁ!!」
「何もありませんよ。ただ昨日彼女のグチやら苦労の話を聞きながらお酒を飲んだだけです」
「本当かよ?」
ルークは意外に女の子にモテそうだなぁ〜心の中でクレアがつぶやいた。
こうして一同は、料理の町『ディッシュ』を後にするのだった。
料理の町『ディッシュ』を後にしたあと、4人はいくつかの町や村、集落などを過ぎた。
そしてとうとう、目的地『サンライトタウン』が見える場所にまで来た。
「ね、あのちょっと遠くに見えるのって・・・」
クレアが指差した先には、まだ遠いがうっすらと光を振りまいている巨大なビル群があった。
「はい。あれが光の都市『サンライトタウン』です」
ルークがビル郡の方を見ながら言った。
「ここまで来れば到着までそう時間は掛かりません。今日はこの近くにある村に泊まりましょう」
「やっと到着かー。ところでその村ってどこにあるんだ?」
アスカが聞く。
「あと2,3kmといったところでしょう。その村は『レジェンド』というのですが・・・。奇怪な村でしてね」
「奇怪?」
「ええ。何度か泊まったことがありますが、町全体の空気が重苦しいんですよ。村人たちは何かに怯えているようにも見えました」
「怯えてる、だって?」
ハロルドが眉をひそめる。
「それにあの村の別名を知っていますか? ―――妖怪の村、ですよ」
次話〜『レジェンド』〜