第二十六話〜消えた三人〜
リザに言われ、お祭りに行ってきた二人。二人が帰ってくるとそこには誰もいなかった。
祭りを満喫した2人はリザの家へと帰ってきた。 二人の片手には、金魚の入った小さな袋があった。どうやら金魚を捕る事が出来たようだ。
「ただいまー」
アスカがそう言ったが、返事はない。
2人は顔を見合わせた。
「ただいまー」
再び言ってみたが、やはり返事はない。
「どうしたんだろうな?」
何かあったのだろうか。ただちょっと出かけているだけだろうか。
2人が立つ玄関には、本来あるべきルーク、ハロルド、リザの3人分の靴が忽然と消えていた。普通は、靴は履いたまま中に入るのだが、リザは靴を脱ぐように言っていた。つまり、ここに靴がないのは、出掛けている証拠なのだ。
三人を捜すか、ここで待っているか二人は暫く話し合った。その結果少しの間待ってみることになった。
「たくっどこ行ったんだろうな〜もしかして俺達を捜しに行ったんじゃないか?」
「とにかく、帰ってくるのを待ってよう。もしかしたら皆で出かけたのかもしれないし」
居間で、話し合っていると二階から誰かが階段を下りて来る。
「誰かいるみたいだぞ。ちょっと様子を見に行って来る」
「気を付けてねぇアスカ」
心配そうな顔で見つめるクレアを、背に、アスカは階段に向かう。
「誰かいるのか?」
「ふわぁ〜〜寝ちゃったよぉ〜。あっアスカ君お帰り♪クレアちゃんとのデートはどうだった?俺だけお留守番ってのは寂しかったんだぞ!!」
「なんだ、ハロルドか。泥棒かと思ったぞ。それよりルークとリザさんは?」
「一人寂しくお留守番していた人を泥棒扱いするとは、ひどい人だなぁ。あの二人ならデート中だよ」
「へぇ〜ルークがリザさんとねぇ。ほっほっほ怪しいですな」
アスカが不気味な笑みで笑っているとクレアが話し掛けてきた。
「きっと、そんなんじゃないよ。あのね、リザさんは結婚してるの。でも旦那さんは先日亡くなっちゃたんだ。その旦那さんの名前は『ライザ・ディスカス』。あのライザさんなんだよ」
クレアは小さな声で言った。暫く三人の間に沈黙が訪れた。暫く黙り込んでいるとアスカがあることに気が付いた。
「ん?待てよ。ハロルドはここにいるのに玄関にハロルドの靴がなかった。なんかおかしくないか?」
そう言いながら、アスカはハロルドの足元を見た。なんとハロルドは、靴を履いたまま、家を歩き回っていたのだ。寝ぼけていたせいだろう、普段の生活習慣が自然に出てしまったのだ。「ハロルドっ早く靴脱いで来い!!リザさんに怒られるぞ!!」
「うわっ!!やっばぁ〜さっき外に出た時脱ぐの忘れちゃったんだぁ」
アスカ達がアタフタしていたその時、ガチャッとドアが開く音がした。どうやらルーク達が帰ってきたようだ。
「あれ?もう帰ってきてたんですか?もっとゆっくりしててもよかったんですよ」
「そうよ、そうよ〜もっとゆっくりしてればぁ〜いいのよぉぉぉ」
ルーク達はバーでお酒を飲んでいたらしく、アルコールの匂いがした。ルークの意識は、はっきりとしていたが、リザは完全に酔いつぶれていた。ルークは、リザを寝室まで運び、居間に戻ってきた。
「一応皆さんに話しておきたいことがあるのですが・・・」
「リザさんの旦那さんはライザさんです。だろ?」
アスカがそう言うと、ルークは一瞬驚いた。
「知ってたんですか」
「あぁさっきクレアから聞いたんだ。クレアはお風呂でその話をリザさんから聞いたんだと」
「ねぇ〜今日はもう遅いし、明日ここを出るんでしょ?もう寝ようよ」
ハロルドが言うと一同は、リザに借りた部屋に行き、眠りについた。
次話〜『奇怪な村』〜