第十三話〜術者〜
ルークの策で時計塔の中へ入ったアスカ達。その時計塔は、想像以上に広かった。
中へ全員が入るとルークが口を開いた。
「ライザさん、急かす様で悪いのですが、早速お願いします」
「・・・わかった。少し待っててくれ」
そう言ってライザは、床に手を置いた。すると、床に魔法陣のようなものが浮かび上がり、ぶわっと風が吹き上がった。
「うっうわぁっ!!」
「大丈夫かクレア?」
「・・・うん、大丈夫。ありがとうアスカ」
「・・・それにしても、こんな広い迷路で術者なんて本当に見つかるのかな?」
「きっとライザさんなら見つけてくれますよ」
ルークが余裕の表情を見せるように言った。
「・・・・・・残念だが・・・・・・」
ライザが重い口調で言った。
「どうしたんですかぁ?」
クレアが尋ねた。
「この塔には・・・人の・・・いや、俺達以外の生物の反応がまったくない」
「バッバカなっそんなはずはっ!!」
珍しくルークが動揺している。
「つまり、ルークの予想は外れて『エンシェントアックス』の入手が困難になった。しかも帰り道がすでに、変化してなくなっている為、生きてここから出ることすら、難しい・・・ってどうすんだよ!!」
「ただ、なにか・・・なにかを感じる。今はそれしか・・・」
ライザの言葉にアスカが反応した。
「ルーク、俺考えたんだけどちょっと聞いてもらえる?」
アスカが何か思いついた様だ。
「何ですか?」
ルークはパッとしない顔でアスカを見た。
「ライザさんの言う「なにか」は俺も感じるんだ。しかも、前にも感じたことのある。その感覚は、『神槍パラノーム』と同じ感覚だ。だからその「なにか」ってのは、もしかすると・・・」
アスカの言葉にルークが表情を変えた。
「『エンシェントアックス』・・・」
ルークとクレアがつぶやいた。
「それなら、そのなにかに向かって進むのが一番だろう」
「そうですね。では、その「なにか」に向かって進みましょう」
ルークがようやくいつもの冷静さを取り戻した。
一同は、感じる力を辿り、さまよっては、階段を上がり、を繰り返し数時間が過ぎた。
「ねぇ〜アスカ〜まだ着かないの〜?もうかなり時間が経ってるよ〜」
そうクレアが言った。すると、アスカが急に立ち止まった。
「おい、あれなんだ?」
ルークがそれに近寄っていった。
「これは・・・古代文字ですね」
そこには、古代文字が刻まれた石碑があった。
「クレア、あなた確か学校で古代文字の読み方など学んでいますよね?すみませんがこれを声に出して読んでみてください」
「了解。えぇ〜っと・・・これは・・・」
クレアが解読に入ると辺りに緊張感が張り詰める。
「よし、解読できた。じゃぁ読み始めるね」
全員が頷き、クレアが古代文字を読み始めた。
『常識に・・・囚われるべからず、ただひたすら・・・前へ進むべし』
クレアが文字を読み終えると、石碑がす〜っと消えていった。
「・・・あぁわっかんねぇ〜!!さっぱりわからねぇ〜!!」
誰もがアスカが言うだろうと予想した言葉を、アスカは言った。
「まぁ深く考えない方がいいですよ、アスカの場合」
「どういう意味だよ」
「そのまんまですよ」
ルークは笑いながら言った。
「さっ先へ行きましょう」
ルークは、笑いながらスタスタと進んでいった。
「まっ待ちやがれ!!」
アスカはムスッとしながらもルークについて行く。それにクレアとライザもついて行く。
数分歩き続けると、道が行き止まりになっていた。
行き止まりにたどり着いたアスカ達。引き返すにも引き返せないこの状況を、どう乗り越えるのか。次話〜術者(後編)〜