第十二話〜時計塔〜
エターナルについた一同は『エンシェントアックス』の場所について話し合い、時計塔へ。ルークの策とは。
「ここが・・・時計塔・・・」
アスカは上を見上げた、けれど雲で頂上が見えない。
「すっげぇ〜迫力。これ一階、一階が迷路になってるんだろう?」
「そのとおりです。これだけの高さがある塔です。一つずつ迷路をクリアしていては時間がたりません。おそらく私の考えが正しければ・・・」
ルークは言葉をきった。自分の考えに絶対と言う自信がなかったからだ。
その考えとは、「自分達は迷路をクリアする必要はない」と言うものだった。いくらなんでも一階、一階迷路をクリアしていては、きりがない。つまり、『エンシェントアックス』を入手する方法は他にあるのではないか?そう考えたのだ。そこで考えついたのは、迷路にかけられた『魔法』をどうするかだ。魔法と言うのは、魔術や呪文とは違い、永続的にその効果をもたらすと言われている。しかし、長時間術者から離れてしまうとその効果は消えてしまう。つまり、術者を倒せば『変化し続け、壊しても再生する』と言う魔法を解くことが出来るのだ。そうすると壁は変化しなくなり、壁を壊しても魔法の効果が消えている為、壁は再生しないのだ。これなら壁を壊しながら進み、簡単に迷路を攻略することが出来るとルークは考えた。
今も尚、魔法の効果は、続いている、魔法が消える気配はない。それは術者がこの塔の中にいるということを意味する。
「要するに、俺達は迷路を攻略することを考えるんじゃなくて、術者を捕まえて魔法を解くことを考えるってことなんだな?」
「はい。私は『迷路の突破』ではなく、『術者の捕獲』こそが『エンシェントアックス』の入手条件だと考えています」
しかし、一つ問題がある。それは、どうやって術者を見つけ出し捕らえるか、だ。その事をアスカも疑問に思い、ルークに尋ねた。
「でもさ、迷路の中から人一人探し出すのも、それはそれで大変だぜ?」
「わかっています。その為に彼を呼びました」
ルークが指差した方向には、一人の男がいた。
年齢は、三十代半ばといったところか。タバコをくわえながら頭をかいている、やる気のなさそうなところがアスカと似ていて、アスカ自身親近感を覚えた。
「彼は、ライザ・ディスカスさんです。ホーリーナイツ・エターナル支部で働いている特殊戦闘部隊の方です。彼には、クレアのように少し特殊な能力があるので今回急遽任務に同行をお願いしました」
「どんな能力なんですか?」
クレアの問いに、ライザという男は気だるそうに答える。
「感知能力さ。一定の範囲内に『生物』が存在するかどうかを感知することができる能力さ。護衛なんかに便利な能力だな・・・」
「この能力は今回非常に役立つでしょう」
ルークがにっこりと笑った。
「今回の任務は、彼を加えた四人編成の小隊で行います。準備はいいですか?」
「おう。いつでもいいぜ!!」
「おっと、大事な事を一つ言い忘れていました。この塔内部では、流れる時間の速さが通常の三倍のスピードです。ですから、行動は、迅速且つ、正確にお願いします」
「そんな大事な事はもっと早く言えよ!!」
「すみません。最近物忘れが激しくて。さて、行きましょうか」
ニコッとしながらルークが最初の一歩を踏み出した。
「ギイイィイィィィ」長い間放置されていた為か、嫌な音をたてながら目の前の大きな扉がゆっくりと開いた。
「うわっマジで広い迷路だな・・・こりゃ骨が折れそうだ」
アスカがため息を吐きながら言った。
ルークの策で術者を捕らえることに。果たしてルークの策はうまくいくのだろうか?次話〜『術者』〜