第十一話〜時の町〜
クレアとのデートを楽しんだアスカは、ルークに早く寝るよう言われ休むことに。そして一同はエターナルへ
「お帰りなさいお二方〜明日の出発は朝早いのでなるべく早めに休んでおいてください」
ルークはいつもどおり本を片手にさらっと言った。
「じゃっ明日の朝、支度が出来次第ロビーに集合。それからエターナルへ向かおう」
「了解!!アスカ、ルークおやすみ」
「明日は自分で起きろよ、クレア」
「わかってるよ〜」
アスカの言葉に頬を膨らませながらクレアは部屋に向かった。
「相変わらず仲がいいですねぇ〜」
「ん?そうかぁ?」
「はい。とても仲がよく見えますよ」
「ふ〜ん。まぁいいや。じゃぁ俺も疲れたし、もう寝るよ。ルークも早く寝ろよ」
「わかっています。コーヒーを飲み終えたら寝ますから」
「じゃぁ、おやすみ〜」
アスカは部屋に戻り、眠りについた。
午前六時頃出発したのにエターナルに到着した時には、午後二時を過ぎていた
八時間以上歩き続けたアスカとクレアは、げっそりとしていた。ルークは仕事柄こういう事に慣れてしまっているのか、一人平然としている。
「とりあえず、どこかで昼食をとりましょう」
ルークの一言で、三人は近くのレストランへ入った。
「・・・落ちつかねぇー。なんか落ちつかねぇー」
店内を見回しながらアスカが言った。それもそのはず、店の壁一面には様々な時計が並べられていたのだから。
「エターナルでは『各家庭及び、職場には最低50個以上の時計を置かなければならない』と言う、法律に近い決まりがあるんですよ」
「へっ?50個もぉ!?そんなにあっても意味ないんじゃないかなぁ」
「まぁ意味があるかどうかは、ここに住む人達が決めることですから。部外者の私達がどうこう言う問題ではないでしょう」
ルークの意見は、大人だった。
町を見渡せば、時計が必ず目に入る。しかしその時計は時計とは思えないほど可愛らしいデザインの物や、落ち着いたやさしい音のする時計まであり、ルークの言ったとおりいい町だった。
「時計ってなんだか奥が深いなぁ〜」
町を散歩した後、喫茶店に場所を移した三人はこれから向かう場所について話し始めた。
「まず、これから私達が向かう場所について話しておきましょう。・・・ここです」
ルークはテーブルの上に広げた地図の一点を指差した。
「ここへ来る途中に見えたと思いますが、この場所は町の中央にある時計塔です。高さなどは未だにわかっていませんが、とてつもなく高いです」
「ここに『エンシェントアックス』があるんですか?」
「はい。以前『エンシェントアックス』を回収しに来た隊は最上階で入手することが出来たそうです。しかし、その前の隊がここへ向かった時は最上階にはなったそうです。それに厄介なことにこの塔は、内部が巨大な迷路になってるんですよ」
「迷路〜?」
「おそらく最上階まで続いているのでしょう。それに先代の任務の結果から『エンシェントアックス』のある場所は毎回変わっているみたいです」
「は、果てしねぇ・・・」
アスカがボソッと言った。
「確か、本で読んだことがあるんだけど・・・」
クレアが視線を宙にさまよわせながら言った。
「迷路って片側の壁に手をつけながら進めば、八割の迷路はゴールに辿り着けるって書いてあったような気が」
「残念ですが、この迷路はその方法ではゴールに辿り着けない残り二割の方です」
ルークが深刻な顔で首を振った。
「あの迷路はですね、常に変化し続けているんですよ」
「変化?」
「時が経つとともに迷路の形が変化するんですよ」
「そんな・・・どうやったら攻略できるのよ、そんな迷路・・・」
クレアは口に手をあてた。
「事実ですから仕方がありませんよ。おそらく魔法でしょう」
「なぁちょっと疑問があるんだけどさ」
アスカがルークに尋ねた。
「先代のホーリーナイツの隊員は入手できたんだろう?なんでその人達からのヒントとか攻略法がないんだよ?」
「それはですね、イビルナイツのスパイや裏切り者がその情報を盗聴など出来ないようにする為に、以前お会いしたラムダ元帥や先代の情報部代表、つまり、情報部総司令官に、その任務を行った小隊の隊長が直接報告するからですよ」
「じゃぁ、どうすりゃいいんだよ」
「そこでですね私なりに考えて、もう手は打ってあります」
困った様子のアスカにルークがにこっと笑って見せた。
時計塔に向かうことになったアスカ達。ルークの策である人物と行動を共にすることになる。次話〜『時計塔』〜