第一話〜始まり〜
「・・・やっと到着だな・・・まさかここに来るなんて思ってなかったけどよ」
「そう言えばここは、あなたの故郷でしたね。それに到着するまで随分と時間が掛かりましたからね。収穫があればいいのですが」
「ふふ、そうだな」
「さて、行きましょうか」
「アスカ〜ここは、やめておいた方がいいよ。確かに何かありそうだけどさ〜」
落ち着いた女の子の声がする。
「うっせぇよ。なんなら1人で帰れよ。だいたい、クレアがここに行きたい、絶対何かあるって言ったんだろう」元気な男の子の声が狭い通路に響く。
「そっそうだけどぉ・・・」
そんな会話を続けながら、二人はこの「サンラド遺跡」の奥へ進んでいった。
暫く歩き続けていると内部には日の光が届かなくなり、辺りは真っ暗になっていた。
やっぱ地下は暗いな。そんなことを思いながらアスカは火を灯そうとした。すると、奥の部屋らしきところから光が漏れ出している。そっと部屋に近づき、中を覗き込むと黒い本を持った怪しげな男がいた。
「あれってもしかして解放の書?」クレアが自信のなさそうに言う。
「多分そうだろうな。つまり、イビルナイツってことだ」アスカがはっきりと言うとクレアがおどおどしながら、戻ろうよっと言ったがアスカは軽く聞き流した。
「あいつが何をしているのか、確認しておいた方がいいはずだ」アスカは少し興奮気味だった。
呆れたクレアはアスカの腕を掴み、無理やり連れて帰ろうとしたが、アスカがその手を振り払った。
その勢いでクレアが、ドスンっと鈍い音を響かせながらしりもちをついた。
「誰かいるみたいだな・・・仕方がないここは諦めるか」イビルナイツの男がそう言うと手に持っていた黒い本を開き、開いたページに手を置き、魔力を込めた。すると、本から封印されていた魔物が飛び出した。
「さぁ、そこにいる者を始末しておくんだ。あとは貴様らの自由にするがいい」そう言うと魔物たちはアスカとクレアに襲い掛かってきた。
「やっやばい!!逃げるぞクレア!!」
二人は全力で走った。それを魔物たちが追いかける。
「では、ご機嫌よう・・・」にやっと微笑を浮かべながらイビルナイツの男はすーっと闇に消えていった。
「だから戻ろうって言ったのよ!!だいたい、いつもアスカは・・・」っとクレアが言いかけたその時、広間に出た。すると先回りしていた魔物たちがアスカとクレアに襲い掛かった。アスカがふと横を見ると魔物がいない通路があった。が、魔物の方が速かった為、その通路に辿り着けそうにはなかった。
「ここまでか・・・」アスカが諦めかけたその時、目の前の魔物が二つに割れ、ボトッと倒れた。
「えっ!?」
「ケガしてないよな?」身長に合わないくらい、大きな剣を持った男が言った。
「はっはい!!大丈夫です」アスカとクレアが同時に言った。