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私に価値がないと言ったこと、後悔しませんね? 〜不実な婚約者を見限って。冷え性令嬢は、熱愛を希望します  作者: みこと。@ゆるゆる活動中*´꒳`ฅ


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4.対決!ランバート

 一斉ダンスを控えて、会場の熱気は高まっていた。高揚する人々の間をすり抜けて、クローディアはランバートを探す。


 タバサを伴い、友人たちと談笑しているランバートを見つけ、クローディアはグッと気合い入れた。


「こちらにいらしたのですか、ランバート様。そろそろ一斉ダンスに備えてお近くに」


「なんだ、クローディア。お前まだ帰ってなかったのか」


「は?」


「いい加減察しろよ。パートナーもいないのに一斉ダンスに出ようなんて惨めだろ。俺なら恥ずかしくて会場にいられないな。早々に帰るのが、察しの良い人間の立ち回りってもんだろう」


 (あざけ)るランバートに、彼の友人たちも面白そうにニヤつく。

 いよいよ本心を隠さなくなってきたらしい。


(そう。私を見世物にするってわけね?)


「──私のパートナーはランバート様では? それともタバサ様に切り替え、私に恥をかけと、そうおっしゃってます?」


 冷静に確認する。


「恥? お前は存在そのものが恥だろう? 春呼ぶ(うたげ)に野暮ったい厚着で参加するなよな」


「っ!」


(これは厚着とは言えないわ! 首元こそ隠してるけど二の腕出てるし、超絶寒いもの。男性のズボンが心底憎いと思うほどに! 厚着というなら、せめて全身モコモコで覆わせてよね)


 クローディアは心の中で、ゆっくり六数えた。


 もしクローディアが逆上して取り乱すのを待っているのだとしたら、決して乗ってやるものかと思いながら。


「お言葉ですがランバート様。ご承知の通り、一斉ダンスは家門の結びつきを知らしめるダンスです。婚約者であるあなた様が私と踊らないということは、婚約が消えた、と他家から解釈されても文句は言えません」


「そうか? なら、それでいいじゃないか」


 平然と、ランバートが言い放った。


「いい加減、お前との婚約は破棄したいと思っていた。父から命じられた婚約だが、しょせん"鉱石姫"など、さほど役には立つまい。同じ伯爵家の娘ならば"宝石姫"と名高いタバサのほうが、俺も侯爵家も活気づくというもの。父上も喜ばれよう。なぁ、皆」


 芝居がかった仕草でランバートが問えば、彼を囲む男友達が、そうだ、そうだと笑いながら賛同する。

 紳士らしからぬ振舞いの彼らに、遠巻きに見ている貴族たちが眉を顰めた。


(新年祭に出た極上酒を飲み過ぎたの? ずいぶん気が大きくなってるわね) 


「……なるほど? ランバート様のご意向は婚約破棄、ということなのですね。そしてズワース侯爵も同意されると」


 大仰にランバートが頷く。


「そうだ。だが──泣いて(すが)れば、考えてやっても良いぞ? 俺の満足する装いと振舞いをお前が出来れば、の話だが」

「ちょっと、ランバート様」


 あくまで自分優位に話を進めようとするランバートの袖を、タバサが引く。

 そこは彼らの打ち合わせになかった部分らしい。


(私が(すが)ったところで、この調子なら破棄は時間の問題。それに言いなり状態で結婚したところで、私の幸せはないわ)


 何よりランバートは思い違いをしている。


 クローディアとしては、この一斉ダンス、彼に与えたラストチャンスのつもりだったのだ。

 ふいにしたのは、ランバート。


(心置きなくとは、このことね)


「ランバート・ズワース侯爵令息様。婚約破棄、承りました」


 意外そうにランバートが片眉を上げた。


「誰が何と言おうと、復縁は一切受け付けません。そちらの皆様がた、家名にかけて証人となってくださいましね」


 明快な声でランバートの友人たちに目を向ければ、彼らは一様に息を呑んだ。


 それはそうだろう。友人と言っても実質取り巻き。

 ランバートより下位の貴族子息が、甘い汁を吸うため侯爵家に(おもね)っていたに過ぎない。

 家同士の約束ごとに巻き込まれるなど、計算外。万一とばっちりが来たら、とても責任は取れないだろう。


(度胸のない人たちばかり。でもこの注目の中、女にここまで言われて拒否すれば笑い者。(いや)とは言えないはずよ)


 他ならぬ証人は、今この場を見ている広間の貴族たちなのだから。


「生意気な……!」


 平然としたクローディアの様子に、ランバートが歯ぎしりをした。

 自分から始めておいて勝手極まりない思考だが、主導権を握られるのは我慢ならないらしい。


「そうだ。ちょうど一斉ダンスが始まる。相手を見繕うのも大変だろう。俺が手伝ってやるよ」


 ランバートが両手を広げ、声を張り上げる。


「誰か、行き遅れ確定な哀れな女性と踊る物好きはいないか? ここに"鉱石姫"があぶれてるんだが」


 反応は、すぐあった。


「彼女のパートナーには、私がなろう」


 張りのある声が響き、左右に分かれた人波の中央を、黒髪の貴公子が堂々と歩いてくる。


 見慣れない相手。けれども只者ならぬ威厳に、ランバートは気圧されたようだ。

 虚勢を張るよう、乱暴に「誰だ?」と問いかける。

 が。リアンが(こた)える前に、クローディアが腰をかがめ、青年に向けて淑女の礼をとった。


「ラグナスが王太子殿下に、ご挨拶申し上げます」




 いっきに文字数少なくて1900文字くらいです。ううう、最初短編で書いたせいもあって、区切り箇所がマチマチで申し訳ないです(´Д⊂ヽ


 クローディアの6秒。

 カッとなった時に数える"6秒ルール"に根拠はないらしいですが、一説には放出される感情ホルモンのピークが6秒だとか。なので、それ過ぎてもやっぱり怒ってたら、まあ…仕方ないんですけども(苦笑)、反射で行動して失敗することは避けれるかもね? という位置づけの6秒なようです。なるほど~。


 あ、別場所でご意見いただきました「鉱石姫」という名、理由は後ほどで出てきますので、ぜひ最後までおつきあいください(∩´∀`*)∩

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― 新着の感想 ―
おお、よく我慢したなあ。 お陰でランバートの小者感が引き立ってる(^^)
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